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映画『ロボコン』の思い出② 長澤まさみさんも「愉快なペンギン型ロボットに夢中。」

 2003年9月に公開された映画『ロボコン』。撮影当時は中学3年生だったという長澤まさみさんが主演で、「高専ロボコン」大会で奮闘するチームの姿を描いた青春映画です。

 ロボットの操縦役を務めた主人公・長澤さんの脇を固めるのは、ちょっと頼りない部長役の伊藤淳史さん、クールな天才設計士役の小栗旬さん、‘不良’的な一面を見せつつも確かな加工技術でチームを支える塚本高史さん、ライバルチームのワンマン部長役の荒川良々さんなど、超豪華キャスト。そんな豪華キャストと共演を果たしたのが、新居浜高専が「高専ロボコン2002」の出場ロボットとして製作した『BigFatペンギン』です。

 映画中では「大島商船高専」の出場ロボコンとして描かれているこのロボット。映画台本が書籍化された古厩智之著『青春ロボコン 「理数系の甲子園」を映画にする』でも「ステージ裏の里美(長澤さん演じる主人公の名前)、愉快なペンギン型ロボットに夢中。」とト書きがあり、映画本編でもペンギン型ロボットが起き上がる様子に笑顔で目をやる長澤さんの姿が描かれています。
 この「BigFatペンギン」製作当時、新居浜高専ロボット研究部の顧問の一人だった松田雄二教授は、映画撮影があった時期をこう回顧します。

 実は、全国大会には新居浜からもう一つのチームが出てて。エキシビションマッチっていって、優勝はできなかった、推薦は得られなかったんだけど、ちょっと特異なロボットを作った高専何校かが選ばれるのがあって。どうせ出場校のロボットをトラックで運ぶんだから、同じトラックに載せて運んだらええやん、みたいなのもあったのかもしれないですけど、そんなんで、ペンギンも全国大会の両国国技館に呼んでいただいて。

 2002年の地区大会で、全国大会出場常連の強豪チーム「詫間電波高専(当時)」を破って優勝し、全国大会への出場権を獲得したのは新居浜高専の「燧のダイバー」という別のロボット。いわばその「バーター」として、エキシビションマッチに出場することになった「BigFatペンギン」。両国国技館での2002年全国大会の時点で、映画『ロボコン』の撮影構想は着々と進んでいました。

 その時に、(全国大会の会場である)両国国技館で「ロボコンの映画を作る。でも、映画のためにロボットは作らない。いま来てるロボットを使って映画を作りたいんだ」という話があって。
 その時の大会は箱を積み上げるコンテストだったんだけど、「BigFatペンギン」は吸盤で、箱をつかんで積んでいく構造だったから積める高さに限界はあったんだけど。ころころ動く姿がおもしろかったんでしょうね。

 撮影ロケ地に選ばれたのは、徳山高専。映画で「ロボコン」大会を撮影するパートは、古厩智之監督の「ロボットは、実際にちゃんと主人公である里美(長澤さん)に操縦してもらう」という思いもあり、実際の大会をそのまま再現する形で実施。1日1試合程度のペースで進む撮影は、短期間ながら貴重な体験の連続でした。

 撮影中のホテルが、我々も、キャストの皆さんも一緒なんですよ。だから、我々が乗ってるエレベーターに、長澤さんや小栗さんが乗って来ることもありました。いま考えると超豪華メンバーですよね。僕らは当時は疎いから、誰それ、みたいな感じでしたけどね。長澤さんは当時たしか中学3年生で「東宝シンデレラガール」みたいなのを獲った後で。僕らはウブだから、まさか話しかけれないし。握手なんかもできない。集合写真は撮りましたけどね。台本にもサインもらいましたよ。

 楽しげに当時を回顧する松田教授。撮影は20年以上も前ですが、‘今をときめく’俳優陣との共演は鮮明に記憶に残っている様子。
 誇らしげに、こう語ります。

 最後のエンドロールに、新居浜の我々の名前も出てくるんですよ。僕的には、映画のDVDを家宝にしたいくらいですね。


その①もあります。


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