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学者と研究者の違い

学者と研究者は違う

学者と研究者の違いってなんでしょう。
学者も研究者も同じという見方もありますが、個人の感覚として私は研究者にはなれても学者になるのは難しいんじゃないかと感じます。
研究をすることが好きなのですが、一つの学問を究めた学者を名乗る未来は到底見えません。

ただ研究することが好きなので、やるのはなんの学問でもいい。
だから私は大学も修士課程も後期課程も分野が違います。
自分が調べようとすることにより近い分野を追究します。

この分野が好きで、この分野の研究をやりたい!というタイプの方もいると思います。

やることは結局同じなので、学者と研究者は変わらないという話になりそうですが、向き合い方は異なるように思います。

先生方の意見

研究者は新しいことを見つける・探求する。新しいことを見つけることが出来るのならば、少々間違った知識を持っていてもかまわない。
学者は、その学問分野について人から問われたときに、正しい受け答えが出来る必要がある。間違った知識を流布するような真似は許されない。
(中略)
自らを物理学者とは呼べない気がするが、素人から見たら、私も学者であるのだろう。でも、物理研究者ではあると思う。

研究者と学者の違いって何?

東京大学 名誉教授
東京大学先端科学技術研究センター フェロー
谷口維紹先生

しばらく前に、ある高名な先生との会話で「最近、研究者は大勢いるが学者がめっきり少なくなった」との話題が出た。
(中略)
イマヌエル・カントは「啓蒙とは何かという著書において、人間の理性について、“私的使用”と“公的使用”とに区別している。
研究者が自分の研究分野に立ち、あるいは自分の研究分野のために知性を使用したり、あるいは企業人が自分の企業人としての専門的視点から、あるいは会社の利益を生むために自分の知性を使用するのはあくまで私的利用とされる。
では公的使用とは何か。個々の理性にもとづく思考、一人の市民として、専門分野や個人の利益を超えたところで知性を使うことが公的使用である。(中略)学者とはこのような理性の公的使用を(意識的あるいは無意識的に)行える人物を指すのではないだろうか?

研究者と学者

京極純一「教師・学者・研究者」『思想』1965年4月号(岩波書店)を紹介された。その骨子は、大学教師には以下の3つの役割があるというもの。

教師→教育役割「貯蔵された知識を流通回路に乗せて配給する」(配給所)
学者→学問役割「生産された知識を整理し、貯蔵する」(補給倉庫)
研究者→研究役割「ルールに従って問いかけ、新しい知識を生産する」(生産工場)

学者と研究者の違い:学者・学問役割の重要性に注目

学問への向き合い方

見解は微妙に異なりますが、とりあえず学者と研究者は違うという見方がされているのは伝わったかと思います。

学者の中心は、学問にあり、
研究者の中心は、研究にある、といえばシンプルな話になりそうです。

食に関するお仕事をしたいという場合、例えば栄養士(栄養の専門家)になるか、調理師(調理の専門家)になるかという方向性の違いが出てくる。

士と師の違い
「師」には教え導く者という意味がありますから、人に教えられる程その物事に精通している玄人、ある一つのことを職業にしているプロを指すときに使われます。導いてくれる先生に対しての敬意をこめた呼び方という側面があります。

「士」は官に仕える者という意味ですから、国家資格、民間資格が求められる専門知識を持って国に仕えるような職業名や、その資格名に多く使われます。特定の技能を習得した者、プロフェッショナル、知識や技能をもって事を処理する専門家を指す称号、敬称でもあります。

Weblio辞書

なんとなく違うけど、「師」と「士」は厳密に区別されているわけではないというのが現在の結論のようです。

ですが、興味深いのは、学士・修士・博士って言いますよね。
「学士」は学部卒業者以外に、学問をする者という意味でも使われる。
そして何かの知識を究めた者は大学の教師にもなる。あるいは講師にもなる。自身の職業に結び付くと“師”とつくような印象です。

学者と研究者の違いを考える理由は、
自分を理解することにつながると思うからです。

学問を究めなければ、研究も深まらないし、
研究を深めることが、学問を究めることにつながっていくだろうし、
自分がどういう傾向があるかを自覚して、
学者としてのあり方、研究者としてのあり方を考えて、意識的に足りない部分を補っていけたらいいのかなと思います。


お読みくださりありがとうございました。
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あかちゃん



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