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『いつかティファニーで朝食を』読了

この8月に完結したらしい『いつかティファニーで朝食を』読了しました。

32歳のアパレル勤務OL麻里子さんの人間模様(仕事、恋愛、友情、家族…)が、その時々の「美味しそうな朝食」と絡めながら描かれる。

食レポ漫画の一つね、ふんふん、と何となしに読み始めた。確かにとっても美味しそうな朝食の数々で、「私もウェスティンホテルのモーニング、お小遣い握りしめて行きたい!」とかなる。

しかし、これ「働く独身女」の心理描写が秀逸なんです。麻里子さん(まりちゃん)、恋愛体質ののりちゃん、子育て中の栞ちゃん、ヨガインストラクターで心身ストイックなリサちゃんという親友同士4人、それぞれたまに一人称になりつつその心境が描かれるのですが

勤続10年のまりちゃん、急な週末出張を頼まれても、週末デートの予定もないので福岡とかにも行けてしまう。仕事が終わって、出張先で一人で食べる朝ごはん。

やっとできた彼氏と楽しく過ごしているつもりでも何かかみ合わず、年末を前に別れてしまう。一人で食べる朝ごはん。

30の誕生日、「社会人なんだから今さら誰かに祝ってもらいたいなんて」と寂しい気持ちをぬぐいつつ一人でスタバで午前0時を迎える。

心で泣きながら、「おいしい」と一人で食べるご飯。

味がするようでしないご飯。いくら脳に「美味しい!」と思い込ませても、味がしないご飯。

私も何度もあっただけに(いや この漫画は美味しく味わうよう描かれているんですが)、思い出して胸が詰まりそうになる。

「働く独身女」だけでなく、友達の仕事の話についていけず人知れず孤独を感じている主婦・栞ちゃんのエピソードも出てきます。

こういう孤独な時間は誰にでもあることを描いてくれる作家がいるということ、それに勇気づけられる。

私も、人の気持ちに寄り添うものがいつか書けたら。

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