見出し画像

小説【アラーム】3

@高校内

 チャイムが鳴り講師はそそくさと教室を出て行った。
 休み時間になったが睦月はメガネをかけたまま図書室から借りて来た小説を読んでいると突然前の席に座わる小柄でセミロングの弥生が振り返り言う。
「今度は何借りて来たの?」
 睦月は弥生を一瞥し背表紙を見せた。
「『アンドロイド』…SF?」
「たぶん…」
「そういうの好きだよね。睦月って」
「まぁな」
 睦月は弥生から本に目を移すとすかさず弥生は言う。
「何年の?」
「え? うん…」
 睦月は後ろのページを数枚めくり言う。
「昭和54年だって」
「それはまた古い物を…」
「そうでもないよ…」
 言いながら睦月は再び本に目を移すと弥生は邪魔をするように言う。
「ねぇ…」
 睦月は軽く嘆息し弥生を見ながら言った。
「何かよう?」
「バレた?」 とえくぼを作りながら言う。
「あぁ」
「うん。ちょっと…」
「何だよ」
「今日花火しない?」
「は?」
「小さい頃よく遊んだ公園あるじゃない。そこでしない? 花火」
「…別にいいけど…」
「今日掃除?」
「あぁ」
「じゃ玄関で待ってるから、一緒に買いに行こう」
「あぁ」
 弥生は前を向いてしまい、それから何も言わなくなった。

 二人は家が隣通しの幼なじみで仲が良く、でも付き合ってる分けでもなく、…微妙な関係だった。

≪続く≫


良いなぁと思ったら❤お願いします!


よければサポートお願いします!頂いたサポートは趣味に使わせていただきます。