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2021年 冬 道東 落石岬

 自分は旅が好きだ。その中でもどこかの果てを目指す旅が好きだ。岬は海に突き出している部分。この先にもう陸地はない。そんな岬が自分は好きだ。全国にも行きたい岬がたくさんある。その中で今回は、日本の果て道東の落石岬を訪れた。

 2021年3月、夜9時に日本最東端の街、根室にたどり着いた。北海道東日本パスを使っていたため、翌日の8時過ぎには根室を出なくてはならなかった。自分が根室で行きたい場所は2つ。納沙布岬と落石岬だ。日程的に厳しいが、どちらか1つには行ける。悩んだ挙句、落石岬を選んだ。

 翌朝、4時50分起き。根室駅近くのホテルに泊まっていたが、東根室駅を訪れるためにこの時間に起きた。歩いて30分ほど。市街地の中をずっと歩いていくと、板張りの小さな駅が見えてきた。

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 日本最東端の駅、東根室。東経145°云々。この駅を訪れたため、残るは最南端だけとなった(当時)。駅ノートはホームへと続く階段の下にあった。見つけられない人もいるだろう。そしてホームへ上る。

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 駅名標。隣駅は、数年前までは花咲駅だったが、今は西和田駅になってた。板張りの駅は好きだ。情緒がある。駅の周りだけ空き地が広がっているような感じがして、田舎の駅のように感じるが、決してそんなことはない。近くに高校もあり、利用者も多い。キツネも見かけた。

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 5時30分の始発列車で、落石駅へ向かう。2駅ほどだが、駅間距離が長く、20分ほどかかった。

 そして落石駅に着く。ネットで調べると、落石駅から落石岬までは歩いて片道1時間15分ほどかかる。往復2時間半だ。しかし、今回は1時間45分ほどしか時間がない。19歳だ。お金はないが体力はある。それだけを信じ、落石岬への道のりを走り始めた。

 大学に入って運動はしていない。バイト先までは25分ほど歩いて通っているくらいである。しかし、高校の時は学校のマラソンで210人中27位に入るほどの実力は持っていた。軽いジョギングで西へ向かう。2分ほど走って30秒歩く。このような感じで歩を進めた。

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 落石岬へ向かう途中、こんな写真を撮った。さすが道東だ。少し道を行っただけで、エゾシカ達に会うことができる。エゾシカは自分が近づくとずっとこっちを見る。愛くるしさもあって好きだ。

 25分ほど進むと、落石岬が見えてきた。しかし、見えてきたはいいものの、岬までは急な上り坂だ。上着を脱いで、水筒を飲んで、坂に向かっていった。

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 登りきると、このような場所に出る。すげぇ。日本中探してもこんな場所そうそうないよ。しかし、岬に行くにはまだもう少しある。

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 この木道を進んで行かなくてはならない。ところどころに木が抜けている部分もあるので気を付けてくださいとの看板があるが、冬季は雪が積もっているため、より気を付けなくてはいけない。ラストスパートとして、自分はこの木道を岬に向かって駆け抜けた。

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 こんな感じの場所。途中に開けている場所もある。雪上に人間の足跡は見当たらなかった。動物の足跡だけだ。そしてついに岬にたどり着く。

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 初めてネットで落石岬の写真を見た時の衝撃はすごかった。こんな場所が日本にあるのかと。それから何年も思い焦がれていた憧れの場所。19歳の冬にそれが達成された。最後は木道をそのまま駆け抜けて、草むらに寝転んだ。落石駅から走ってきた疲れが一気に吹き飛んだ。そのままこの場所で眠りたいくらいだ。しかし、時間が刻一刻と迫る。草むらから起き上がり、灯台の方へ向かった。歩くと、草むらにはたくさんのエゾシカの糞があることに気づいた。さっき寝ていた時についてたかもと思ったが、この景色みたらそんなことはどうでもよかった。

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 お気に入りのリトルトゥース帽と落石岬灯台。最高のツーショット。

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 散策する時間もあまりなく、すぐに引き返すことに。帰りと同じペースでいけば根室行きの列車に間に合いそうだ。

 順調に木道を抜け、坂を下りアスファルトの道路に出た。そして、林の方を見るとオジロワシがいた。

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 道東は本当に野生動物がすごいや。ワシが普通にいる。この後、翼を広げて飛んで行った。

 この辺で自分の体力が尽きてきた。そのためヒッチハイクをすることにした。あまり車の通らない道なので、通ったら確実に捕まえたい。2,3台の車が通ったが運転手が変な目で自分のことを見ていたような気がした。北海道ではヒッチハイクの文化が強く残っているため、通る車に向かって親指を立てることは普通のことだと思ってたのに。なにかやり方が違かったのだろうか。

 しかし、なんてことはなかった。リュックから上着のジャンパーが、でろんと大きくはみ出ていたのだ。客観的に見たら、こんなだらしない恰好した人は乗せたくないよな。そんなこんな考えていたら。落石岬に着いてしまった。待合室は地元の高校生でいっぱいだった。

ではまた。

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