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今を堅実に、過去を大切に、未来の自分へ種を蒔く。2023年を振り返って

ぼくは確かに成績が悪いよ。でも、勉強よりも素敵で大切なことがいっぱいあると思うんだ――。

学校帰り、駅前の本屋で1冊流し読みをすることが日課だった高校時代。なんとなく気になった本を手にとる毎日の中でひときわ視線を持っていかれた本があった。タイトルは「僕は勉強ができない」、ちょうど勉強に苦手を感じはじめた時期と重なってその本はタイトルから心に深く突き刺さった。

その本は短編集で、いくつかの章に分かれている。主人公として描かれる秀美くんは偏見や哀れみ固まりきった常識を厭う。だからマウントや体裁だけで人の上に立ってきた人間は彼に裏を見透かされているような気分になっていた。

登場人物の一人である脇山と同じく、私も秀美の自由さが羨ましかった。そして、その羨ましさはきっと自分に自信がないことと同義だった。誰かに植え付けられた常識にがんじがらめになってもがいていた。努力しないと、正しくないと愛されないと思わされていた。

現状に違和感を抱えていたわたしは、その自由さを求めて高校を卒業するタイミングで旅に出ることになる。6年間という長い時間をかけて、自分にとっての”ちょうどいい”感覚や”これ好き!”と思えることを探しに、たくさんの旅をしてきた。

そんな中で見た綺麗な景色、出会った世界中の人。すこし劣悪な環境に身を置いたこともあったけれど、その全部が経験という宝物になって自分の中に残った。たくさん学生という身分を使って「自由」という無限の贅沢をさせてもらった社会へ、次は自分が返していく。そんな覚悟を決めて2022年の12月は学生最後のヨーロッパ旅行をした。

そして2023年。大学を卒業したのがはるか昔のことのように感じる。春夏秋冬、とにかく仕事に打ち込んだ。春が来るのをじっと耐えるたんぽぽのようなイメージが常にあった。

誕生日に母親とディナー。若い頃の母親に顔が似ていると言われることが最近増えて嬉しい

「突き抜ける」今年1年間、この言葉が私の脳内を支配していた。高校の同級生や大学同期と違うことをしてきて、他人より2年間も遅れる選択をした過去を肯定できるのは、行動や結果で突き抜けるしかないと思っていたからだった。遅れた2年を取り戻して、誰よりも社会人を謳歌する人間になる。

でも仕事は最初全然上手くいかなかった。最初から器用にスマートにこなす人間にはなりきれなくて、ただがむしゃらに頑張ってもダメだってことは自分が一番分かりきっていながらもただ前に進むしかなかった。当たり前のことでつまづいて、当たり前のことすら全然できないこともあって、僕は仕事ができない。そんな言葉すらよぎった。いつだってできるやつと勝手に比べて、勝手にへこんでしまう。今思えば、そんなこと必要ないのに。

それでもすこしずつ、本当にすこしずつできることは増えていった。周囲に支えられていた。どれだけ不器用でも、周囲は自分を馬鹿にしたり笑ったりしなかった。だから、できないこととまっすぐ向き合えたんだと思う。いろんな"苦手"に向き合って自分の中に自信ができた。何が嫌で、好きで、苦手で、得意で…。仕事の内容はもちろん嫌なことに対処する方法、自分の感情のコントロール法など、どんどんスキルが積み上がっていくのを感じていた。

仕事に関してはまだまだできないことが多くて難しい。されど、どこまでも上があるから面白いと思えていることが嬉しい。

そして今年の自分を褒めるなら、仕事嫌だとか辞めたいだとかネガティブを出すことなく毎朝遅刻せずに会社に向かえたこと。働きやすい環境のおかげでルーティーンが苦にならないのは良いことだと言えるかもしれない。

幼馴染の一時帰国時期に超突発で行った軽井沢旅行は今年唯一の国内旅行

“動”=たくさん動き続けたこれまでと、”静”=じっと堪えて研鑽を重ねた今年。似合わないながら、堅実さの択を取り続けた。1年で一度も海外に出なかったのは小学生ぶりのことかもしれない。旅行にはほぼ行けなかったけれど、必要な時間だったと思えるのでそれもまた良い。

そして、場所に動きがないからこそ季節の流れに強く意識が向くことに気付いた。そろそろあのコーディネートもいける季節か。この時期にはあの料理を食べたい。日が暮れるの遅くなったな。早くなってるな。オクトーバーフェストやクリスマスマーケット、そういった季節のイベントに目を向けることも増えた。

これまでとは時間の流れも、時間の使い方もまったく異なる日々だった。でもそれらを愛おしいと思えている今はなんだかこれまでより幾分か大人になれた気がして、これまたいい一年だったと思える。

今年は好きを追いかけることも増えた。趣味も増えたと実感する

今年良かったことがもうひとつある。それは、過去との繋がりを大切にできたこと。

過去は振り返らないのがヨシとされるが、過去がどうしても糧になる自分は常に頭の片隅に過去の経験がある。自分は意外とその場の一時の感情でなく、過去や事実の裏付けで行動や思考が変わるタイプの人間だということにも今年確信を持った。

これまで行ったことのある旅先の地名を見かけたり、その旅先のものを見つけて購入したり。あそこではこういう感じだったな、と思いを馳せることも増えた。

あとは中学・高校の同級生と話す機会が増えたこと。すこし大学時代に疎遠になっていた人たちと久しぶりに会って、お互い大人になったけど相変わらずだねとお酒を飲めたこと。人が好きな自分にとって、これはとっても嬉しいことだったな、と振り返りながら思った。

高校の同級生の舞台へ。夢を追うってかっこいいなと改めて思う

動のこれまでと、静の今年。来年はもっと海外に行きたいなと思いつつ、仕事に夢中になれる時間も人のご縁も続けば良いなと思う限りです!

それでは今年もありがとうございました!
来年も何卒、引き続きよろしくお願いいたします。

#今年のふり返り

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