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アメリカの元受刑者の人生を取材するジャーナリストのお話

*注意:なるべく色々な立場の読書の方に配慮できるよう心がけましたが、扱っている話が難しかったので、もしかしたら配慮が足りてない部分があるかもしれません。反対意見や、批判などがあればコメント欄に指摘してくださると嬉しいです。


今日、大学の新聞サークルが主催したイベントで、アメリカのジャーナリストのお話を聞く機会がありました。

1人はジャーナリストのペンダービスさんという方で、もう1人は撮影担当のブランドンさんという方で、二人ともジャーナリスト・撮影者としてアメリカでご活躍されています。

ペンダービスさんたちは、受刑者が刑務所での期間を終えた人々の人生を取材したプロジェクトについて教えてくれました。

このウェブサイトに取材された人々の人生が描かれています。

8人の方を取材したのですが、元受刑者の方はさまざまな人生を送っています。ある人は今までの罪を改めて教会の牧師になり、他の人は受刑者のカウンセラーとして刑務所に戻り、受刑者たちが今までの罪を償い同じ過ちを繰り返さないようサポートする人もいました。また、刑務所から出て、体調が悪くなったり、生活が苦しくなったり、亡くなってしまった人もいました。

ペンダービスさんたちは、この取材を通して受刑者の方は、囚人ではなく人間であることを示したいと言っていました。また、アメリカの大量投獄問題について疑問を訴えかけたいとも話していました。

アメリカの大量投獄問題 (mass incarceration)についてですが、アメリカの法律で、「奴隷は禁止であるが、刑務所の受刑者を無料で働かせるのは合法である」という法律があるため、アメリカの警察が大量に人を捕まえて刑務所に放り込んだということが問題になっています。ちなみに、ネットフリックスにこの問題についてのドキュメンタリーがあります。

ペンダービスさんたちに取材された元受刑者の中で、元学校の先生だった人がいました。彼女は、彼女の元愛人が殺人を犯し、彼女は元愛人をとても怒りましたが、警察に通報しなかったという理由で、20年もの刑を受けることになってしまいました。彼女が刑務所から出て、スターバックスに感動した動画があるのですが、そこで彼女も他の人と同じ人間なんだということが伝わります。

ペンダービスさんたちは、受刑者を人としてみなすことの重要さを唱える一方で、被害者の気持ちを考える必要性についても話していました。実際、受刑者から被害を受けたり彼らのせいで亡くなった人々がいるわけで、彼らの被害が見逃されるのは間違っているし、被害者の気持ちを第一に考えるのは本当に本当に大事です。ペンダービスさんも、ちゃんと被害者の許可を得た上で取材する必要があったと話しています。また、彼らの犯罪によって亡くなった人のことを考えると、取材する必要性について常に葛藤していたと話しています。

しかし、元受刑者の人を人間ではなく「犯罪者」として扱い続けても、実際アメリカでは何の問題解決にもなっていません。アメリカでは警察の力がとても強いですが、罰を犯すことばかりに集中して、余計警察と市民を分断させているようにも見受けられます。アメリカは大量投獄をしてたくさんの人をどんどん刑務所に放り込んだ時期がありますが、それで犯罪率は下がったとはいえません。

私は、誰がどんな処刑を受けるべきかについて話すことができる立場にはいません。しかし、元受刑者の人が私たちと同じ人間として受け入れられるべきであるということと、刑務所・警察などは社会を守るためにあるべきであるということは、ペンダービスさんたちの取材から伝わってきました。

学生の私たちにとって、人々が知るべきであるが知らないこと、人々がタブーとして扱っているが話さなければならないことを取材して社会に届けるジャーナリストの生き様は新鮮でかっこよく見えました。

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