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朝井リョウさんの「正欲」を読みました〈感想〉

皆さん、こんばんは。
名前を変えました。アキトになりましたので、今後はこの名前でよろしくお願いします。

今日の作品は、

朝井リョウさんの「正欲」



読んだ感想と思った事について書いていこうと思います。



この作品は2022年本屋大賞を受賞し、現在映画が一部映画館で公開中です。
私も映画公開の知らせと同時に気になったので買ってみました。

そしてつい先ほど読み終えました~
ちょっと書かざる負えない!!話させて!



〈あらすじ〉


あらすじはHPから引用します。

横浜に暮らす検事の寺井啓喜は、息子が不登校になり、教育方針を巡って妻と度々衝突している。広島のショッピングモールで販売員として働く桐生夏月は、実家暮らしで代わり映えのしない日々を繰り返している。ある日、中学のときに転校していった佐々木佳道が地元に戻ってきたことを知る。ダンスサークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也。学園祭でダイバーシティをテーマにしたイベントで、大也が所属するダンスサークルの出演を計画した神戸八重子はそんな大也を気にしていた。

同じ地平で描き出される、家庭環境、性的指向、容姿 様々に異なる背景を持つこの5人。だが、少しずつ、彼らの関係は交差していく。
まったく共感できないかもしれない。驚愕を持って受け止めるかもしれない。もしくは、自身の姿を重ね合わせるかもしれない。それでも、誰ともつながれない、だからこそ誰かとつながりたい、とつながり合うことを希求する彼らのストーリーは、どうしたって降りられないこの世界で、生き延びるために大切なものを、強い衝撃や深い感動とともに提示する。いま、この時代にこそ必要とされる、心を激しく揺り動かす、痛烈な衝撃作が生まれた。
もう、観る前の自分には戻れない。

映画『正欲』公式サイト (bitters.co.jp)


このような作品です。さまざまな登場人物が登場し、それぞれの視点で物語が語られていきます。始めは別の話をしているだけのものが、だんだんと繋がっていき、やがて一つの出来事に繋がるという不思議な物語でした。

そして深く考えさせられるような物語でした。日常では考えないような予想外のボールを投げられました。



〈感想〉



・・・

・・・・

・・・・・・・・。


この作品の感想を描くのかはすごく迷いました。なにせすごくセンシティブな話だと思ったからです。でも自分のなかだけで抑えることも出来ませんでした。それくらい考える内容でした。


タイトルの通り、メインで描かれているのは性的思考と人間関係の交差です。登場人物の中でも夏月と佐々木は水そのものに性的興奮を覚える人たちで、それをだれからも理解してくれないことに憤りと不平等を抱くも世間にあきらめを感じていました。他の人は性的な話を大っぴらに話しても何も言われないのになぜ自分たちは認められないのだろう、と言いながら自分だけの世界に閉じこもります。学生時代にその性癖を打ち明けあい、水道で二人で見つめ合った日を思い出し、同窓会を機に二人はまた連絡を取り合います。そこで二人は恋愛感情はなくても性的思考を共にする仲間としてどこにも行かないでと言い合い、暮らします。普通を体験するために愛し合わずとも性行為を行います。

それがなぜか私にはとてもきれいなものに移りました。性行為をしているのにもかかわらず官能的な雰囲気は一切なく、神秘が広がっているように感じてしまいました。



性癖なんて人に言うものじゃないし、いくら他の人が話していようとも自分は話そうとなんて思わないので、私にとっては大きな声で言いずらい話です。


 作中で小児性愛者についての話が出てきます。普通の人と同じように性的欲求を満たしただけなのに他の人からは異常性癖者だとか犯罪者だとか言われ、虐げられるという話が出てきます。

これに関しては正解が本当にわからない。

生まれ持った時からの性癖だし、自分が悪い訳でもないのに生まれた時から虐げられるなんてかわいそうだし、多様化と言っているならそれも認めてくれと思うけれど、でも犯罪をされてはたまったもんじゃなくなかなか認められない。


この論争は本当に終わりがない。可哀そうと思うのも変だし。


どうにもなりませんよね。と考えさせられました。
こういうのを研究しているのが心理学者や法律学者なのかもしれませんね。


人によっては胸糞作品になるのかな。

私も、読んだ直後はなんだか釈然としませんでした。


これを読んでどうしろと、と思いましたが、

なにも考えなくていいのかもしれませんね。
そういう人がいるという事実だけを知っていれば十分なのかもしれません。


ちょっと暗い話になりましたが、一度読んでみることをおすすめします。


新しい視点と不思議な気持ちになれると思いますし、自分の性癖についても向き合うことになるかもしれません。自分とは違う視点の意見を知り、自分の考えに落とし込む。それは、小説を読むことの本質だと思います。


あと題材に反して全然エッチエッチじゃないですからね!
あくまで神秘的な性を描いていますからね!




〈余談〉

一個だけ言いたいことがある。これは読んだ人しかわかってくれないと思うけれど、1つだけ登場人物にムカッとしたポイント!

「わかってほしいことがあるなら口にしないとわからないだろ!!」

登場人物が自分が異常だと知ってからどうせわかってくれないだろうと会話相手になかなか話さず、もういいですと諦めているようなそぶりを見せるシーンがあります。そこで私はムカムカしてしまいました。

わかってほしいのかどうでもいいのかわからないよ・・・

もしかしたら登場人物たちは自分の性癖について理解してほしいとは思ってなくてなにも聞かないでと思っていたのかもしれませんね。だからこそ歩み寄ろうとした人たちに冷たい態度を取ったり、何も言わなかったりしていたのかもしれません。

ただ私はその歩み寄る人への態度がすこし気に入らなかったなと思ってしまいました。優しい人がそばにいるのに小さくなってしまった人たちだとすこし下に見てしまいました。もうしわけない。

私、「察して?」系の言葉を軽々しく言う人嫌いなのですよ・・・



私の考え方が間違っているかもしれませんが、一度読んだだけではこのような一方的な意見が出てしまいました。




ここらで以上にしましょうか。ただ感想をどこかに書き込みたくてこの場をお借りしました。

でもみなさん、一度読んでみてください。

視点が広がるし、あらすじ通り、


読む前の自分には戻れません ――――――


それでは今回はシックな感じで終わります。

さようなら。おやすみなさい。

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