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音楽プレイリストの重要性と戦略

  1. はじめに
    国内では、音楽配信サブスクリプションが浸透してきている。アーティスト、レーベルの側の反応として音楽ストリーミングサービスのシェアが上がってきている中で、日本の市場は3〜5年ほど遅れており、日本人が活躍していたポジションを他のアジア圏アーティストに取られている現状を把握し改善を行う動きがある。また、そういった動きの中で音楽プレイリストという音楽再生の1つの機能であったものが重要視されつつある。本稿では、昨今リスナーの変遷がある音楽プレイリストサービス、中心としたメディアを例に挙げ制作側の視点に立ち、プレイリストの重要性と改善点を含めた1つの戦略を示しながら、プレイリストという存在が音楽においてどのような役割を持っているかについて考察する。

  2. 音楽プレイリストについて
     音楽プレイリストは音楽を再生する順番をリスト化したものである。iTunesを代表するメディアプレーヤーでは、好きな音楽を集めユーザーがプレイリストを作る機能が標準で備わっている。また、ラジオやポッドキャストに代表されるオーディオウェブログでは放送された音楽のリストもプレイリストと言われる。近年では、動画配信サイトYouTubeやニコニコ動画では、アカウント登録した者が動画再生リストをまとめて、それを公開することができ、これもプレイリストの派生したものと分類される。ストリーミングサービスSpotifyにもプレイリスト機能が存在し、そのプレイリストを他のユーザーと共有するサービスも登場している。

  3. プレイリストが広げた音楽とメディアの重要性
     プレイリストは、単純な楽曲のリストではなく、音楽プレイリストをシェアできるサービスDIGLEを運営する西村謙太は、複数の楽曲がリストになることによって音楽に文脈がついたものだと述べている。プレイリストの持つ効果は、アーティストや楽曲による依存といえるコンテンツ消費だけではなく、文脈やシーンで楽しむコンテキスト消費を促進させているといえる。また、プレイリスト作成者にはおすすめの音楽について選曲を行うキュレーターの存在やメディアとレーベルから展開しているブランドなど多数存在しており、音楽シーンや気分によってプレイリストを選ぶ聴き方が広がってきている。
     プレイリストによって生まれた1つの変化として、ストリーミングサービスでの音楽消費の形を変えていった。ストリーミングサービスは利用が簡単であり、単曲をメインで聴くユーザーが多くアルバムとして楽曲の結びつきよりプレイリストでの結びつきが強固なものであるといえる。

  4. 未来の音楽プレイリストへの戦略
     ストリーミングサービスにおいての音楽プレイリストの受動的体験を中心に紹介したが、単に音楽を聞くだけではなく楽曲やアーティストに対する印象や評価を共有できる能動的体験を促し提供するメディアやプロットフォームが多数誕生している。例えば、SoundCloudである。SoundCloudでは、登録したユーザー自身が楽曲をアップロード出来る他、楽曲単体のみならず指定の箇所に対して良いねやコメントを付加することが出来る。音楽を中心としたユーザー間のコミュニケーションを創出しているという。これは、音楽を制作者から視聴者へと届け、それを音楽プレイリストでまとめる既存の一方的な提供を変化させ、双方がコミュニケーション可能なプラットフォームとなることで、より迅速にかつリアルな意見を拾うことが可能になった。

  5. 考察
     本稿では、プレイリストという存在が音楽にとって制作側と視聴側を繋ぐコミュニケーションの役割を持つということを紹介した。音楽にとってプレイリストは、単に聴くためのコンテンツの集合体から、様々な利用が可能な2次コンテンツとしての役割を持っていることが分かった。アーティストやキュレーターが持つ新たな可能性を理解した上で、メディアとプラットフォームが一体となって有益なプレイリストを提供することが、新たな音楽コミュニケーションの形成の場となるのである。

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