インド1人旅 2

電車は6時発だったので、5時過ぎには起きる。周りを起こさないように二段ベットを降りて、ホテルから出る。外は想像よりも寒く大気汚染のせいなのか、冬の日照時間の関係か、はたまた両方なのかはわからないけど、随分と暗く、わずかなストリートライトでも霧がかってるのがわかる。昨日までの夜の喧騒は姿を消して、道端にはゴミの山が残り、野良犬が漁る。

ニューデリー駅には沢山の人だかり

ニューデリー駅からインドのあっちこっちに電車が到着し、発車していく。きっとここは眠らないんだろうな。
チケットのトレインナンバーを確認して、
プラットフォームへ。インドの列車はたくさんの座席クラスがあるため、車両が長く、駅もとてつもなくでかい。それが大きな駅だとなおさらだ。何人かに確認したあと、思いの外時間通りに電車が来た。列車が発車した後に気付いたけど、この電車は朝ご飯が軽く出るみたいだ。出された朝ごはんを食べて眠りにつき、
起きると青空が広がっていた。


ジャイプールに到着。
とりあえず、目星の宿まで歩いて向かう。

道には当たり前のように牛たちが行進をしており、
フンがあちこちにある。


駅から20分ほど歩いたところの街薬局が併設されているところに到着。
ホームページで見てたのとまったく違うけど、まぁ安かったしいっか。ここに決定。

4人部屋のドミトリーには1人すでにドイツ人のザックが横たわっていた。明らかに顔色が悪い。そして、部屋には古臭さとは違う少し異臭が漂う。
「おととい食中毒になったけどだいぶ良くなったよ、昨日まで何も食べれなかったけどやっと今日バナナ食えたさ」
なるほどね。正体はこれか。
少し元気の戻ったザックと少しばかり談笑したあと、次の目的地の電車のチケットを買うために再び駅へ。電車のチケット自体はオンラインでも買えるんだけど、今のところはローカルな方法でやってみたくて、駅の横に隣接されているチケットオフィスへ。
置いてある紙に行き先と日付と、希望座席クラスを記入し、駅員に渡す。列に並んでいると、当たり前のように横入りしてくるインド人が横行する。
まだ、これにイライラするほど心の余裕はなくなってはいない。
明日のチケットをもらおうと思ったけど厳しそうなので明後日のチケットでスリーパークラスで購入。

スタッフがパソコンに
購入者情報を打ち込む。

少し街を散策したあと、遅めのお昼ご飯。
駅近くの食堂でカレーをいただく。
デリーでも食べたけど、やっぱり少し油っぽいんだな。食べていると、さっきまでスタッフだった男の子が目の前でご飯(賄いかな?)を食べ始めた。慣れた手つきで食べているのをぼーっと眺めていると、自分のロティ(ナンより薄いやつ)を渡して食べろってやってくれた。

ホテルに戻ると、外からギターの音が聞こえてくる。外に出ると隣のカフェでギターを弾きながら歌を歌ってる男の子がいた。
コーヒーを頼んで少し聞いてると、弾けるのかと言われて、ちょっとね、と答えケータイの裏側にしまってたピックを取り出してギターを借りて弾いた。日本語の歌をやってくれよというので、好きな曲を歌った。
少し嬉しそうな顔を浮かべてて良かったな。
下手上手いじゃなくて、
音楽は共通言語なのだろう。

夜に帰るとザックはさっきよりも調子よさそうだった。隙間風が激しく、ドミトリーの中は寒い。フリースとフーディを着込む。

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朝起きて、ザックのおススメしてくれたマーケットにバナナを買いに行く。「バナナは世界で1番安全で美味しいフルーツさ」
食中毒になった男が言うと説得力違う。
よーし今日は観光するぞ。
インドの大都市には小規模だけど電車が走っているのでうまく使いたいんだけど、ホテルとは駅を挟んで逆側にあるので30分くらい歩く。
BGMはWeavesのWalkaway。
自分の歩くペースに曲が馴染むように、
目の前の視界をいつもより広く感じさせる。

メトロでトークンを購入


インドのメトロは大体がトークンと呼ばれるicチップのもので、改札でかざして入場する。
目的地の旧市街であるバディチョーパーまで
12ルピー(20円くらい)。

駅に着いて、改札を抜けると乾いて澄み切った青空とピンクに染まった街並みが見えた。
ジャイプールの旧市街の街並みは赤みがかった土の色に近いピンクに統一されていて、ピンクシティとも呼ばれている。ジャイプルが位置してるラジャスターン州という都市はタール砂漠の入り口になるので、気候でいうと乾燥している。そして太陽光は強烈で、影が色濃くなる。その眩むような太陽と青空と影の中を原色のサリーを着た女性たちが街を彩り、クラクションが音を立て、活気に満ちている。

観光として最初に向かったのはハワーマハル、
通称風の宮殿。
旧市街の中心地のバザールに面していて、かつて宮廷の女性たちがここから街を見下ろした。

建物正面は乾燥地帯の青空を突き抜けるように迫力があるんだけど、中に入ってみると奥行きは浅くて、不思議な作りだった。


次に向かったのはシティパレス。
ここは現マハラジャ(インドの皇族)が現在も住んでおり、一部が観光用として開かれており、博物館も併設されている。

ピンクシティの艶やかさそのものだった。


建物内部の中心部に衛兵と一緒に併設されている巨大な銀の壺。
これは1902年のエドワード7世の戴冠式に出席するための当時のマハラージャが持っていったと言われているもの。熱心なヒンドゥー教徒だったマハーラージャはこのツボにガンジス川の水を入れて、旅の途中でも体を清めれるようにはるばる船で運ばせて、毎日沐浴してたらしい。ギネスブックにも登録されている。


シティパレスから次の目的地に向かう前に、
少しお腹が減ったので、マーケットを突っ切り、ラッシー屋さんへ。

使い捨ての素焼きで出されるラッシー。
結構でかいサイズだけど、濃厚で美味しかった。

次の目的地に向かうバスはハワーマハルまで戻らなきゃいけなかったので、旧市街への道を歩いてる途中、大渋滞の中で目が合ったバイクドライバーが指をこちらに立てて招き入れるような乗ってけよの合図。
「どこ向かうの?」
「ハワーマハル!」
「乗れよ!」
彼の目つきを見る感じ、怪しくないので飛び乗り、渋滞を掻い潜って乗せてくれた

ハワーマハルに着くと同時に、
ローカルバスが運良く到着したので、
行き先を確認し乗車。

中心地から10キロほど、山道を駆け上がり、着いたのはアンベール城。

ゾウも歩いてた。
さすが、山の上に作られてるだけあり、周囲の街を見下ろし、圧倒してそびえ立っている。


ここで、観光中に、体調の異変に気づく。
行きのバスがかなりの山道だったので、バス酔いしたのかわからないけど体が重くて気持ち悪い。軽くアンベール城を見学したあとバス停に戻り、バスに乗ると、気持ち悪さで身体がやられそうになる。
やべぇ。確実にやばいやつだ。バスの入り口付近の席に座る。バスが発車し、山道を下る途中、強烈な吐き気に襲われる。
インドのバスは基本的に入り口の扉が無くて開けっぱなしなので、入り口にしゃがませてもらう。
下り坂で降りている瞬間、強烈な吐き気に襲われ、瞬間反応でバスの外に向かって吐いてしまう。やばい。間髪入れずに、もう1発、もう2発。やばい。吐くのが止まらない。バスはそんなことをよそに進み続ける。流れる景色と共に吐瀉物も流れていく。気づくと後ろで最初隣に乗ってたおじちゃんが背中をさすってくれてる。サンキューも言える余裕がない。
でもわかる。これ今吐いてるけど、バス酔いのレベルのやつじゃない。色も緑だし。
記憶辿る。
ラッシー当たったかもしれねぇ。
山道を下って街の中心部になっても吐き気が止まらず、バスが進み続けながら唾を吐くかのようにゲボを吐き散らかす。トゥクトゥクのおっちゃんごめん。絶対横のレーンを走るバイクにゲロかけてる。日本じゃあり得ない。
しゃがみ込んで立ち上がる体力もないので、
おりることもできない。数分経ちなんとかして、バスは駅付近に到着したことを感じ取り、下車。バスを降りる時に気付いたけど、背中をさすったおっちゃんはとうに降りていて、違うおじちゃんがバトンタッチ形式で背中をさすってくれていた。
いったんの吐き気は過ぎたけど、激しい頭痛、悪寒やられる。灼熱の太陽と乾燥した風にこれはきつい。なんとかメトロに乗り、最寄りで降りるけど、改札を出る前に座り込んでしまう。
水も飲めない。とりあえずホテルまでは30分ほど、トゥクトゥク使おうと思ったけど、
ホテルの場所をGoogleマップで伝えてもここはインド、金持ちそうに見える日本人には法外のぼったくり料金を平気な顔でふっかけてくる。
もうこれに戦う体力は当然ないので、諦めて、仕方なく、歩き出す。30分この距離にして2キロくらい。途中座り込み道に吐きまくる。かろうじて歩いてホテルに辿り着く前にコーラを飲む。こういう時って意外と水じゃ無くてコーラがのめる。
ホテルに着いた後、少し落ち着いたかと思ったらトイレに飲んだコーラをぜんぶ吐く。
何も受け付けてくれない。
ゲーゲー言ってるとザックが帰宅し、一瞬で空気を読んだ彼に、軽く状況を説明すると
すぐに答えを教えてくれた。

「お前、それ食中毒だぜ。」

多分、絶対ラッシーだ。
飲んでからちょうど症状出て2時間。
どっかの記事で吐瀉物が緑色で、ベンもだと、食中毒ってのを聞いた。
2つとも当てはまってる。
なんとか水を飲み、吐きを繰り返す。
頭も痛い。
3時間ほどトイレに篭り。
やっとの思いで吐き気は少し和らいだ。
それと同時に下の方が濁流のように止まらなくなる。あーーーこっちかーーーの絶望。
一瞬止まったことを見兼ねて、
隣の薬局で経口補水液のパウダーを買う。
こういう時は下痢止めではなく、水分をとって出すものは出した方がいいって見た。
持つべきものは知識だ。
ある程度の水分を摂ると上と下がそのまま出てくる。

ベットに横たわる。なんと無く、
峠は過ぎたみたいだ。

夜少しだけ元気になる。

なったのも束の間、また上と下から。
明日の電車のチケットは買ってしまってるので、電車乗るまでになおさねぇとなぁ。

部屋の寒さがかなり体に堪える。
奥歯をカチカチ言わせて、体を丸め込む。
ベットの隣にバケツを置く。

インド到着3日目、食中毒引き当てる。

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