デザインリサーチ、始めました
こんにちは。プロダクトマネージャーだったはずがいつの間にかHead of Product Designという肩書を得てしまった私です。(相変わらずプロダクトマネージャーもやってます)
この肩書を得てからの3ヶ月、ひたすら採用活動にいそしみ、まだこの肩書を渡せる方は募集中ではあるのですが少しずつ採用の手応えも感じ始めました。(繰り返しますがまだまだ募集中です!デザイン×組織運営に興味のある方を募集しています!)
そして採用活動のほかにも、この3ヶ月でやったことがあります。それがデザインリサーチチームの新設です。
もともと私は「UXリサーチチームを作りたい」と言っていたのですが、ここに入る1人目のメンバーに「やることはデザインリサーチだから、チーム名もデザインリサーチにしたい」と言われたのでデザインリサーチチームと命名しています。ちなみにデザインリサーチとUXリサーチは包含関係にあり、デザインリサーチのほうがより広範囲のリサーチをすることになっています。
デザインリサーチとは
ちゃんとした定義は検索すれば出てきますし最近は生成AIもこういう問いに答えてくれますので、ここでは私の視点からデザインリサーチとは何かについて書きます。
デザインリサーチとは、体験を構築するにあたり必要なあらゆるリサーチ活動を指します。定量的な調査ではなく、定性的な調査も行いプロダクト開発におけるWhyを探していきます。
リサーチ全般、分析、アイディエーションを通して仮説のコアコンセプトを構築し、プロトタイプを作って検証しながらよりシャープな仮説を作っていくことを期待しています。
チーム立ち上げの背景
全ての企業にこのようなチームが必要なわけではありませんが、今のキャディにはデザインリサーチが必要な要因がいくつかありました。
プロダクトマネジメントの課題
私は、プロダクトマネージャーの重要な仕事のひとつは仮説検証から学びを得てプロダクトに反映することだと考えています。一方、実世界にはまだ「この領域で何かやるべきだということは何となくわかっているんだけどどんな仮説を立てるべきなのかさっぱりわからない」「仮説はあるんだけどあまりに大きすぎて検証が難しい」というものがたくさんあります。
私はプロダクトマネージャーとして、そういった不確実性にも対峙してきました。しかし現実を見たときに、プロダクトマネージャーなら誰しもどこかのタイミングでこんな状況に陥るのではないでしょうか。
既にエンジニアがアサインされていてプロダクトマネージャーの書くPRDや仕様書などのドキュメントを今か今かと待ち受けている
検証するべき仮説がプロダクトバックログにたくさん並んでいる
他のプロダクトとの依存関係の都合で緊急のタスクをひたすらこなさなければならない
こんな状況でそれなりに確実性の高い物事が目の前にあってそれに追われている時に、仮説すらわからない領域の探索をゼロからやる余裕があるかというと、相当強い意志とそれなりの諦めがない限り難しいのではと思います。
逆に言うと、エンジニアを持たない、つまりデリバリーへの責務を直接的に負わないという状況を強引に作り出せばいくらでもそういった不確実性の高い領域の探索行為をする余地があるのではと考えました。
プロダクトを取り巻く不確実性
私達が開発しているCADDi Drawerは製造業の図面データを活用するプロダクトです。このプロダクトの成長に伴い、「図面データを活用するとその周辺領域でやりたいことがいろいろ出てくる」という状況が発生し、これが新プロダクトCADDi Quoteに繋がっています。
ところが、やりたいことはCADDi Quoteだけではないのです。以前の記事でも書いたのですが、私達はCADDi Manufacturing事業を通してたくさんの学びを得て、その結果製造業の課題はこれでもかというほど発見してきました。
これからたくさんの新規機能、場合によっては第二のQuoteのような新規プロダクトを作ることになるでしょう。しかし、それらの多くは現時点で不確実性の塊であり、まさに先述したような「不確実性の高い領域の探索行為」というものが強く求められる状況にあります。
プロダクトの性質
もともと弊社にはデータマネジメントチームがあり、データ基盤構築やその他データにまつわる様々な活動をしています。一方、CADDi Drawerはプロダクトの性質上、もちろん定量情報も重要ですが定性的な情報を積極的に取得しにいくことがきわめて重要です。CADDi Drawer特有の事情もいくつかあるのですが、そもそもB2Bプロダクトはユーザー数が限られているため定性情報への依存度が相対的に高い傾向にあるのではないかと、C向けプロダクトを長くやっていた私は思います。
そのため、データ基盤でできることは当然継続していきますが、それ以外のアプローチ(定性調査)でプロダクト開発をサポートすることもまた求められます。キャディではよく「個に迫る」という表現をしますが、「顧客」という集合体へのアプローチだけでなく、「◯◯工業のAさん」のような「1人のお客様」の課題を理解することを非常に大切にしています。
デザインリサーチチームに求めること
このような状況で、まずはプロダクトマネジメントとは異なる独立した探索部隊をつくる必要があると考えました。このチームで、プロダクト開発にあたるスクラムチームとは異なる時間軸でもう少し未来にある大きな仮説を噛み砕いていくことをひたすら続けるということをやっていきたいと考えています。
いくつかのWhyの仮説を検証可能なサイズで定義しプロダクトマネージャーに渡すことが主なミッションだと考えています。プロダクトマネージャーとの役割の違いはいろいろありますが、現時点で見えている大きな違いは下記3点です。
時間軸
プロダクトマネージャーが近い将来、デザインリサーチャーはもう少し先の未来(年単位)の探索・仮説検証を行う
ゴール
プロダクトマネージャーは価値のデリバリーまで担うが、デザインリサーチャーはシャープな仮説を生み出す(含:プロトタイプレベルの検証)のがゴール
対象
プロダクトマネージャーは担当プロダクトに責任を持つが、デザインリサーチャーはプロダクト横断の体験構築にも責任を持つ
立ち上げてみてどうだった?
立ち上げたのはわかったんだけど、で、どうだったの?と聞きたくなるのが人情ですよね。わかります。
答えは…まだわからん!
実は、ちょっとフライング気味に稼働しているのですが、正式な組織化は7月からなのです。なので、この話はもう少ししてから「こんな成果が出たぜ、ドヤァ!!」という投稿ができる日を楽しみにしています。
最後に
さて、こういう記事を書くと大体最後は採用情報で〆ることになるのですが、なんと、デザインリサーチャーは現在募集しておりません…。
しかし、きっとこれを見てキャディのデザイン組織に興味を持ってくださった方がいることと思います。冒頭にも書きましたが、切実に、私の Head of Product Design という肩書をお渡しできる経験豊富なデザイナーの方を募集しております。
私が今回やったように、ある程度裁量をもって組織全体のあり方を変えていけるというのは大きな魅力だと思います。
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