ミトコンドリアについて知る
皆さんこんにちは、川崎です。今回も海外の記事をご紹介します。
過去の記事でも海外の方の記事を数個ご紹介させていただきましたが、
書き進めている動機としては、ご紹介した元記事があるトピックについて分かりやすく説明されていて楽しく読ませてもらったこと、
そして私が論文紹介など自分自身の記事を書くにあたって、上手く説明されている記事を和訳することが大変勉強になっていることなどがあります。
ということで、今後も和訳紹介記事を書いていきたいなと考えておりますので、是非読んでもらえると嬉しいです。
今回はミトコンドリアについて紹介されている記事になります。
意訳、補足や抜粋等を行っておりますので、予めご了承ください。
それではご紹介していきましょう。
<参考記事>
あなたがもし以前にミトコンドリアについて学んだことがあれば、ミトコンドリアが「powerhouse:パワーハウス」と呼ばれていることをご存じかもしれません。(補足:エネルギーを作り出す場という意味合い)
この表現は的を得ていて覚えやすいものですが、サイクリングワークアウトにとって格言めいた情報とまではいきませんね。
この記事を通して、皆さんがより深くミトコンドリアを覗き込むサポートをしたいと思います。ミトコンドリアの深い理解が、あなたのトレーニングやライドの計画をより充実したものにするでしょう。
ミトコンドリアって具体的にどんなもの?
ミトコンドリアは赤血球以外の体のほとんどの細胞内に見られる構造物です。
どのような細胞も多くのエネルギーを必要とします。例えば筋細胞(線維)であれば収縮するためにエネルギーが必要ですね。
体の一つ一つの細胞の中に数百、場合によっては数千とミトコンドリアがあって、細胞が活動するためのエネルギーを供給します。
細胞内でミトコンドリアが担っている役割、それはエネルギー(ATP)を生み出すこと。ミトコンドリアは例えるなら細胞内のATP生産工場です。
そのため彼らは別名「パワーハウス」と呼ばれています。
ミトコンドリアは肺で取りこんだ酸素と燃料(糖、脂肪)を材料にしてATPを作り出します。細胞は何をするにもエネルギーが必要ですが、このATPはどんな活動のときにも使えるまさに共通の通貨のような役割を果たします。
そして細胞は自らのパワーハウスで作ったATPを、自らの活動のために消費します。
ミトコンドリアが果たす、ライド中の役割
サイクリングパフォーマンスにとってミトコンドリアは重要な役割を担います。
サイクリングなどの持久系のスポーツでは、酸素を用いたエネルギー産生能力(有酸素能力)に多くを頼ることになります。つまり、ミトコンドリアの出番です。
筋線維内にミトコンドリアが多ければ多いほど、筋収縮に必要なエネルギーをより多く作り出すことができます。より多くのエネルギーが作れれば、ワークアウト中に感じる脚の苦痛を和らげることができるでしょう。
どうすればミトコンドリアは増える?
ミトコンドリアの数、大きさ、そして能力は遺伝的な影響が多大にあります。そしていくつかの研究によれば、あなたのミトコンドリアはお母さま由来のものです。
もしあなたが素晴らしい持久系競技のアスリートであるなら、お母さまに感謝しましょう!
とは言えあなたの持久力の遺伝がラッキーかアンラッキーかに関わらず、トレーニングによってミトコンドリアの潜在能力を引き上げることが可能です。
多くの研究がトレーニングによってミトコンドリアの数や能力を高められることを証明しています。
最近発表されたレビュー論文では、トレーニング中に起こる生理学的なプロセスが紹介されています。その一つに、細胞のエネルギー需要がトレーニングによって増えれば、ミトコンドリアが作り出せるATPを増やす方向に適応が起こることが挙げられています。
細胞内の核や細胞質に浮遊しているある種のタンパク質がミトコンドリアを随時コントロールをしています。
つまりあなたの細胞たちはトレーニング中にエネルギーを欲し、それに応じてミトコンドリアが必要なATPを供給してくれます。必要なATPの絶対量が増えれば、細胞は自身のミトコンドリアの能力を必要に合わせて改築することになります。
長時間強い強度で走ることを目指すサイクリストは長時間強い強度を頑張ってトレーニングをして、同じトレーニングが以前よりも楽に感じるようになりますよね。
これはある意味でミトコンドリアの改築が進んだことの現れだと言えるでしょう。
どのようなトレーニング方法がミトコンドリアに効果的?
概して5分以上の有酸素運動がミトコンドリアに良い影響を与えます。さらに言うとトレーニング強度がミトコンドリアへの影響を左右します。
低強度のトレーニングはミトコンドリアの数を増やします。そして高強度のトレーニングはミトコンドリアのサイズや能力に影響するようです。
たとえ話をしましょう。
ミトコンドリアをスクールバスだと想像してみてください。座っている子供たちは酸素分子です。
スクールバスの数が多いほど、より多くの子供たちを乗せることができますね。そしてスクールバスが大きいほど一つのバスに多くの子供たちを乗せることができます。
同じようにミトコンドリアの数が多くなるほど、そしてサイズが大きくなるほどにミトコンドリアに多くの酸素を託せます。
そうして私たち細胞は、多くのエネルギーを確保できるようになるのです。
ミトコンドリアの数を増やすこと、大きくすることを両立することで大きな利益があります。そのため低強度と高強度のトレーニングを組み合わせることが効果的です。
ミトコンドリアは酸素を使ってATPを生み出す有酸素工場であるため、無酸素的な非常に高強度のトレーニングはミトコンドリアへの良い刺激にはならないと考える方がいるかもしれません。
しかし無酸素的な高強度のトレーニング(スプリントなど)は筋線維の乳酸輸送の機能を高め、有酸素能力の向上に役立ちます。
補足:非常に高強度のトレーニングもミトコンドリアの代謝能力(効率的にATPを作る機能)を向上させると言われています。
レジスタンス(筋力)トレーニングはミトコンドリアに影響するのか?
トレーニングルームでもミトコンドリアへ刺激を与えることができます。
ある研究によれば、普段レジスタンストレーニングを行っていない人が週に3回、12週間のレジスタンストレーニングプログラムを実施した結果、筋線維のミトコンドリアの能力に改善がみられました。
このミトコンドリアの変化は代謝能力、つまり一つのミトコンドリアがある時間内で生み出せるATPが増えるというものです。スクールバスのたとえでいえば、座るシートが増えるような変化です。
有酸素トレーニングのように、レジスタンストレーニングも細胞のエネルギー生産工場の機能を高めることができるので、トレーニングの一つとして取り入れてみるのも良いでしょう。
<記事終わり>
空気中の酸素を吸い込んで筋線維に届くと、筋線維は自分の中にあるパワータンク=ミトコンドリアに酸素を渡して、そこでATPというエネルギーが作られています。
もしライド中の一漕ぎ一漕ぎで絶え間なくミトコンドリアが頑張って酸素と燃料(糖や脂質)をATPに変えてくれなければ、もはや平坦でも前に進むことができません。
体重の1割はミトコンドリアの重さだとされています。75kgの私なら、7.5kgがミトコンドリア。
それほどに、ミトコンドリアという存在は私たちに必須の存在。
そんなミトコンドリアにスポットを当てた記事をご紹介させてもらいました。
ちなみにご紹介した記事中に出てきたミトコンドリアがお母さま由来であるということを、一つ前の記事(レビュー#24)でご紹介しました。
併せてご参照くださいね。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
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