見出し画像

「子ども」が「親の思いに応えたい」という心が、「本当の自分」でなく「偽りの自分」を演じてしまう

前回、次のように書いた。

「親」は「子どもを思い通りにしたい」。
「子ども」は「親の思いに応えたい」。

次のようにも書いた。

これらは「人間の性」。


私たち人間は、他人を思い通りにしたい、そう強く思わなくても、思い通りになってほしいと、少なからず思ってしまう。思ってしまうのです。


医師の内海聡氏は『心の絶対法則』の中で、「全人類アダルトチルドレンの絶対法則」と書いている。

その中で「アダルトチルドレン」を次のように表現している。

「家族や世間の中で幼少期から演じ続けてきた偽りの自分」

「子ども」が「親の思いに応えたい」という心が、

「本当の自分」でなく「偽りの自分」を演じてしまう。


無意識のうちに。自然に。

子どもはどう育つか。


保育所の所長をしていた時、次のような子どもに出会った。

5歳の女の子である。下に2歳の妹がいた。
製作の時間である。
簡単な図案があり、それを様々な色から、自分の「好きな色」を選んで塗るもの。そんなに難しくない。

保育士は、数名ずつ呼び製作させていく。
「好きな色を選んで塗ってね。」
しばらくすると泣き始めた子どもがいた。
保育士はなだめながら製作させようとするが、その女の子はやろうとしなかった。

その日の昼、保育士から相談を受けた。事情は上記。
その女の子が泣いて製作ができなかったのだから、理由があるのだろう。
二人で、様々その理由を考えたがわからない。
その時、ふと思った。

本人に聞いてみればいい。

幼児であるので、自分の気持ちを言葉で話すことが難しい子どもがいる。
だから、保育士はじめ、私たちは表情から読み取り対応する。

5歳児の女の子である。もしかしたら話せるかもしれない。
聞いて話せなかったら、その時はまた考えればいい。

お昼寝しておやつ。その後、保育士はその女の子に聞いた。
「どうして泣いてしまったの?」

すると話し始めたという。

「好きな色を選んだことがない。」

その女の子の洋服はシックな色が多い。黒が多く、えんじ色など。明るい色が少ない。妹もいるが同じだ。幼児が好きな明るい色やキャラクターものはない。

お母さんが好きな色、お母さんが決めた色を着ているという。
キャラクターものはお母さんが嫌いだから、着たことがないという。

さらに、いつも、妹のめんどうをみているとはなした。お母さんがいつも言うから。

などなど。

聞いた話からすると、たぶんいろいろな場面で、お母さんの言動に、そうしたことを含んでいるのだろうと思った。

その女の子はお母さんの言うとおりにしかできなくなったみたいだった。
お母さんの期待に応え、自分の思いは伝えられない。

そして、製作時の姿である。


「母親」は、「子どもを思い通りにしたい」などとは思っていないだろうが、言動はそうしてしまっている。

「親」の行動にはこうしたことが多い。無意識にそうしているのだ。

「子ども」は、自分の思いを押し殺し、「親の思いに応えたい」と思ってしまう。はじめは嫌だなと思っても、無意識に親の期待に応えてしまうのだ。

そして、これが日常、ずっとである。下手したら一生続くのだ。

これが、内海氏のいう「アダルトチルドレン」
「家族や世間の中で幼少期から演じ続けてきた偽りの自分」


こんなに簡単なのだ。

自分の思いを伝えることができず、親の期待通りに演じてしまう。
それが続くと、「偽りの自分」を演じ、「本当の自分」を忘れてしまう。


だから内海氏は、「全人類アダルトチルドレンの絶対法則」と書く。


私たちは、そのことを知り、「親」になったら、そうならないと自分自身が意識し、自覚し、そう覚悟して子育てをする必要がある。


後日、両親と面談をして理解を求めた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?