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AJSインターン企画「外交官と話そう!」実施報告

日米協会(AJS)では学生インターンが、興味関心のあることについて学び、会いたい人に直接会って話を聞く機会を主体的に企画しています。今回は、3月に開催された「第1回外交官と話そう!」という企画をご報告します。外務省北米局の若手外交官の方をお招きしディスカッションを行いました。

(※イベント当時は、コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、写真撮影時以外はマスクの着用を徹底し、時間の短縮や手洗いうがいなどの予防策に努めました。また、2020年3月27日より日米協会事務局は一時的に閉鎖しております。イベントの再開等については、協会ホームページにてご案内いたします。)


―実施概要―
インターン企画 第1回「外交官と話そう!」
日 時:2020年3月10日 15:00-17:00
場 所:AJSオフィス
ゲスト:外務省北米局北米第一課 外務事務官 (当時)
川溿 晃平 (かわばた こうへい) 様


1.開催に至った経緯

AJSの学生インターンが外交官の方と直接議論を交わすことで、外交の仕事内容やマインドを知り、日本の外交政策や国際情勢への関心や理解を深めることを目的としたイベントを企画しました。題して、「外交官と話そう!」 AJSの学生インターンの中には、外務省での仕事や国際情勢に関わる仕事に興味を持つ学生が多く、実際に外交官を目指す学生もいることから、この企画は立ち上がりました。

2. ゲストスピーカー

今回は、外務省北米局北米第一課の川溿晃平事務官にお越しいただきました。北米局はアメリカ・カナダとの外交政策を扱っており、要人対応や電話会談、安全保障、経済、文化交流など多岐にわたる仕事があるそうです。川溿様は、大学卒業後、北米局北米第一課で勤務をされて2年目になり、これから4年間の海外での勤務に就かれるそうです。そんな川溿様からは、北米局でのお仕事の話に加えて、学生に近い目線で、進路・キャリアの話や学生生活に関する質問にも快くお答えいただきました。

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3.開催レポート

イベントにはAJSインターン13名が参加しました。川溿様の自己紹介、入省までの経緯と仕事内容について伺ったあと、以下の2つのディスカッションクエスチョンについて、インターンが事前に考えてきた意見の発表と意見交換を行いました。

―ディスカッションクエスチョン―
Q1:外交官になったら取り組みたい課題はなにか
Q2:外交官に必要な資質はなにか

Q1:外交官になったら取り組みたい課題はなにか
参加学生らは、身の回りで問題視している社会課題について取り上げ、自分が外交官だったらどのようにその問題に取り組みたいかについて考えました。中でも環境問題女性のエンパワーメントに焦点が当たり、当事者意識を持つことの大切さについての議論が盛り上がりました。例えば、環境問題については日本が他国に比べ環境問題への意識が低いことの指摘や、女性のエンパワーメントについては、実現のためには女性だけでなく、男性の育休や福利厚生などの制度の整備、意識面での改善などが必要であり、すべての人を巻き込む必要があるという意見がありました。他にも、多文化交流、人権問題、医療問題、官民連携について、学生自身が大学で専門に学んでいることや実際に経験したこととつなげて社会課題が提示され、それぞれ多様な意見で議論されました。

また、川溿様は、学生時代にアフリカの開発に興味・関心があったそうで、大学1年生次にウガンダへ渡航した経験についてお話くださいました。その際に、人権問題や内政課題への強い意識が芽生え、外交においては「人間の安全保障」が非常に大事なことであると考えるようになったそうです。脅威は分野横断的に幅広く潜在しているため、ODAを中心に様々なアクターと協力し、総合的な対処をする必要があると語られました。

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Q2:外交官に必要な資質はなにか
学生からは、「外交官に必要な資質」として、コミュニケーション能力、意見を伝える力、他と協力する力、人の話をよく聞く力など、Q1の目的達成のためにどのような力が必要かという観点で多くの意見が出されました。

川溿様からは、外交官として国への責任感をもつことに加え、問題意識を解決策に結びつける力、さらには一人の人間として、人としての魅力を磨くことも挙げられました。仕事だけで人生を終わらせず、幅広い視野を持つことを目指すという点には、多くの参加者が共感しました。また、入省から2年間、北米局で働かれた経験から、ビジネス、要人対応、同盟管理、交流、内政の分析が日米関係の強化につながることや、今後は日本のプレゼンスを向上させることも重要になるとの貴重なお話を頂きました。

4.参加者の声

学生1:
川溿様は大学時代、アフリカ地域に関して専門に勉強されていたそうですが、知見を深めるために就職先はあえて北米局を選んだとおっしゃっていたことに驚きました。広い視野を持ち世界全体を見ることで、自分の専門もより多角的に見ることができるということに気づかされました。大学生活のうちからたくさん経験を積み、自分と異なる価値観や文化を持つ人と交流し、深みのある人間になりたいと思います。
学生2:
イベント参加前は、外交官の仕事は漠然としたイメージしかなく、実際何をするのか、自分の将来とどう結びつくのかわかりませんでした。しかし直接話を聞いて参考になることが多くありました。特に川溿様の、1年目、2年目から自発的にアイディアを出し、実現させるパワーを感じました。特に、アドバイスいただいた「たとえ誰でもできそうな雑務であっても期待を超えるパフォーマンスを心がけることができる」という話に刺激を受け、私もそのようなマインドをもって丁寧な仕事をしたいと思いました。
学生3:
自分がやりたいことを達成させるために必要な資質を考え続ける姿勢の大切さを学びました。外交官だから、国家公務員だから、とその役職のために必要な資質、と考えるのではなく、自分は職業を通して何を実現させたいのか、どうなりたいのか、そのためには何が必要なのか、を常に考え続けていかなければならないのだと教えていただきました。
さらに、仕事だけでなく私生活においても、視野を広くもつことの大切さも知りました。何か一つの問題を解決するためにも、幅広い視野をもつことで、大事なことが見えてくることがあり、様々な経験を重ねてより良くさせることが大切であると感じました。川溿様が仰っていた「仕事だけが人生じゃない」という言葉が表すように、私生活、仕事どちらの側面も充実にさせてこそ、人としての魅力が引き出され、いろんな分野で輝けるのだと思いました。
学生4:
自分の将来を考える上でより具体的な将来像をつかむことができました。外交官になるという目標を持っている中、若手外務省員のリアルなお話を通して、自分の将来と向き合い、見直す良い機会となりました。また、川溿様の決して仕事をおろそかにすることなく、好きな生き方を貫く姿にはこころを打たれました。いつか自分の望む未来を掴み取れるように、努力を積み重ねていきたいと思います。

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5.まとめ・今後の展望

今回は、見学会や講演会とは違い、国家機関で働き国の窓口を担う外交官の方と実際にディスカッションしたり直接質問したりと、他にはない貴重な機会となりました。今回のように、参加者のディスカッションを主体とした、講演者と参加者双方にとって有意義な会を今後も継続して計画していきたいと思います。今後は、外務省の他の部署の方や、海外勤務経験のある方のお話もお伺いしたいです。引き続き、学生インターンの企画にご期待ください。


今回、ご多用の中、お時間を作ってくださった外務省の川溿様、本当に貴重な機会をありがとうございました。



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