相手の気持ちを考えて。

うちの妹が、揉めごとになると頻繁に使う、このフレーズ。

思い返せば、私はこの言葉にずいぶん縛られてきたように思う。

妹がこれを行使するのは「姉(私)が自分の思うような言動をしてくれなかったとき」であり「それを姉に分からせ、更に自分の要望を慮ってほしい」時である。

一見思いやりにあふれた言葉だが、自分のために相手に行使するとき、この言葉は、なんと利己的な、相手を見下す言葉になろうか。

これを言われる度に、私は妹の気持ちを汲み取りきれないことに、相手の気持ちを理解する姿勢が足りないのではないか、ということに、恥ずかしい心持ちになっていたように思う。

でもまあこの自虐的な受け取り方は、あくまで私側の問題であって、長年にわたる妹との関係性がよく現れているなあ、とも思う。

今の私は、このことを過去の学びとして振り返ることができるくらいの図太さと、横暴さを身につけたのかもしれない。

今、妹に同じことを言われたら?なんと返すだろう。

もしかして大笑いしてしまうかも。

「まだ、そんなこと言ってんの?
反射的に他責する前に、まずは自分を省みてみたら?」

ああ、そして私も限りなく上から目線で、見下せる相手と感じるや。自ら進んで見下しているのだなあ。

人を鏡に自分を知る。
生きることはその繰り返し。

姉に「私を大切にして」と遠巻きに要求する妹の心のうちを推し量り、寄り添える姉に、いつかはなりたいと諦めずにいたい。



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