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スコーン研究の旅

2022/06/24

 イギリスに行って本場を食べたことはないのですが、中学生の時にお年玉で買った『赤毛のアン 手作り絵本』の中で一番シンプルで子供の私にも作れそうだったのがスコーンで、そのレシピで初めて作って以来、繰り返し何度も焼いてきました。



 当然、当時はインターネットなどなく、レシピに忠実に作ったものが"スコーン"というもので、つまり、甘くも塩っぱくもない、ケーキでもクッキーでもない、素晴らしく美味しいわけではないけれども空腹が満たされる異国情緒のあるもの、という認識でいました。

画像はAmazonより





 その後、90年代に入ってからアフタヌーンティーなるものの存在を知り、日本でもアメリカでも体験することができるようになりました。アフタヌーンティーには必ずスコーンがついてきます。ただ、食感や味がお店によって違うのです。



 ちなみに、アメリカでスコーンというと、ドライフルーツやナッツを混ぜてボテッと大きくまとめた生地を三角に切り分けて焼いたものが主流です。イギリスのものは、丸い型でサクッと抜いて焼きます。私が主に焼くのはイギリス風です。



 イギリス風でも、しっとり重めのパンっぽいものとサクッと軽いものがあります。私の好みは、よりサクッとした食感のものだということが分かってきました。サクッとするのは、バターが多め、水分が少なめのレシピです。粉は、中力粉に全粒粉を混ぜたものが好きです。



 ただ、写真などで見ると、美味しそうなスコーンは断面がパックリと割れているのですが、自分で焼くと、なかなかきれいに割れてくれないのです。



 私が長年焼いてきたレシピは、

中力粉 200g

ベーキングパウダー 大さじ1

砂糖 塩 少々

バター 100g

牛乳 60〜80cc



フードプロセッサーで粉類を混ぜ、冷やして角切りにしたバターを入れて数回パルスして細かく刻み、牛乳を加えて粉っぽさがなくなるまでパルスしてまとめて冷蔵庫で寝かせ、2センチ厚さで型抜きして200度で15分



 これが基本です。



 生地を層にしたり、出来るだけ断面がシャープになるように、型抜きではなく包丁で切り分けたりするのですが、パックリと腹割れしません。ベーキングパウダーを少し多めに入れて、フードプレッサーを使わずに指ですり合わせたら、若干いつもよりは割れました。





 でも、私が「美味しそうだなぁ」と思うスコーンのイメージにはまだまだです。ベーキング仲間の友達Rに話したら、彼女は、ハーブ研究家のベニシアさんというイギリス人女性のレシピを使っているとのこと。さっそく教えてもらいました。



 ベニシアさんのレシピは、私のレシピよりはバターが少なめ、液体は全卵に牛乳をほんのちょっと足す、という具合です(公式のサイトはないようですが、ブログに書いてらっしゃる方がおられるのでご参照ください)。ベニシアさんのレシピで焼いてみましたが、やはり腹割れしません。でも、牛乳だけより卵を入れた方が、風味が増して美味しかったです。



 ベニシアさんのレシピでも腹割れしなかったとRに話したら、彼女の行きつけの焼き菓子のお店、「おやつ研究所」のスコーンも、そう言われてみれば、そこまで腹割れしていないとのこと。

 

 Rが、お店のオーナーにスコーンの腹割れについて聞いてみてくれました。すると、「腹割れは、水分が多めだから」とのこと。さらに、お店で出しているスコーンは、「決して伝統的なイギリス風ではない」とのことでした。



 私がスコーンを焼くのは、CAをしている友人Tちゃんからイギリスのお土産にクロテッドクリームをもらう時なのですが、そういえば、クロテッドクリームと共にくれる市販の袋入りのスコーンは、どちらかというとパンのような食感です。スーパーで売ってる大量生産の商品だということは、イギリス人誰もが、「これぞスコーンである」というもののはずです。



 しかし、度々フライトでイギリスを訪れ、本場スコーンを食べ慣れているTちゃんも、バター多めで水分少なめのサクッとしたスコーンの方が好みだと言います。サクッとしたスコーンに、「塗る」というより「乗せる」と言うぐらいたっぷりのクロテッドクリームとジャムを乗せていただくのが最高だと。




 おやつ研究所でもサクッとした食感のスコーンを作っているということですし、本場と比較した結果その方が美味しいと言う人もいるので、私は今後も"本場"にこたわらず、サクッと派で通そうとは思います。ただ、バター多め水分が少なめのレシピでも、パカッととはいかずとも、少なくともフレイキーで美味しそうな断面写真を見るので、諦めずに研究を重ねたいと思います。



 けど、クロテッドクリームにしても、バターと炭水化物を凝縮したようなスコーンにしても、カロリーと脂質が気になるので、Tちゃんの次のイギリスフライトが待ち遠しいような怖いような、複雑な思いです。




 やっぱりまた食べたい……。

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