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アメリカは、如何にしてアメリカになり、アメリカであり続けているのか

なぜnoteを書くのか


私はファイナンシャルプランナーです。
保険の代理店を営みながら、お客様の人生のお話を伺っています。
学校を出て、25年ほどになりますが、様々な職業に就いて
「聴く」ことのプロとして仕事をしてきました。
そんな私が、数年前より「聴く」ことに悩みを感じ始めました。
悩みとは
「もっとたくさんの方々に会って話を聞きたい」
「もっとお客様の悩みを具体的に解決したい」
の二つです。
要は「量」と「質」双方でもっとお役に立てないか?
ということなのです。
そこでこれからは「聴く」ことに加えて「伝える」ことにも注力したい。
そういう想いでペンをとりました。
仕事で、いろいろな方のお話に耳を傾けていると、
お悩みはだいたい次の3つに集約されます。
1お金 2健康 3人間関係
この3つは絡まり合い、相互に作用しています。
このnoteではこの3つのうち「お金」について書いていきます。
かねてからずっと気になっている映画の中のお金事情ということで、大好きな映画とからめて書いていきます。
さて、今回は

映画「ウインドリバー」のお金

世界で「最も貧しい人種」とされるアメリカ先住民

21 世紀のアメリカ社会において先住民は
「もっとも貧しい人種」だというのが現実です。
2013 年度から 17 年度における一家族 あたりの収入の中央値は、
アメリカ先住民が 40,315 ドルで,アフリカ系アメリカ 人(41,361 ドル)よりも低く,白人(66,943 ドル)の 3 分の 2 にすぎないとされます。
保留地に居住する先住民(都市部に住む先住民を除く)の平均収入は 29,097 ドルとさらに減少します。
また,2018 年度 における先住民の貧困率は 25.4%で,アフリカ系アメリカ人は 20.8%,白人は 8.1%,先住民の失業率は 6.6%で,アフリカ系アメリカ人は 6.5%,白人は 3.5%です。
参考:https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/762_01.pdf

先住民の貧しさはお金だけの問題ではない

差別や迫害の歴史が招いた先住民女性の深刻な被害

米国立犯罪情報センターなどによると、
行方不明の先住民女性は全米で少なくとも5000人以上。
先住民が多い西部モンタナ州では不明者の割合は白人の4倍。
保護区の先住民女性が殺される確率は平均の10倍との報告もあるとのことです。
それではこれらの加害者は誰なのか。ということになりますが、
一例として、先住民保護区の周辺に、外部から流入する石油などの資源採掘労働者を挙げられます。
こうした労働者は数千人規模の仮設住宅に短期間滞在します。
コロラド大の研究では、モンタナ州などの仮設住宅の周辺では2006〜12年に暴力犯罪が70%増加し、先住民少女の誘拐未遂なども報道されています。
参考:人身売買、殺害…アメリカで今なお先住民女性の被害深刻 差別や迫害の歴史が招いた負の連鎖:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

アメリカ大陸発見、独立記念日、戦うことで得た国

歴史の授業で学びますが、クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見したのが1492年10月12日。
そしてイギリスからの独立戦争に勝ちアメリカ合衆国として独立した、独立記念日が1776年7月4日。
「アメリカ」とされている土地が発見されてから530年、
「アメリカ合衆国」が出来た、独立記念日から247年。
これだけ短い歴史の中で数多の戦いを繰り返し、国を創り、拡大してきたのがアメリカです。アメリカは「最近の国」なのです。
これも歴史の授業で学んだことでありますが、わが国は紀元前660年2月11日が建国の日とされています。
計算しますと2023年+660年ですから2683年ですか。
加えて、アメリカに追いつけ、追い越せの中国は
「中国四千年の歴史」とか言いますけど、
「中華人民共和国」の建国は1949年10月1日ですからね。
これもまた「最近の国」と言わざるを得ないでしょう。
中国は「国連の創設国の一つ」みたいなことも言ってますけど、国連が正式に発足した年は1945年10月24日なんですけどね。
「あれ?あれ!」

映画のお話し

さてさて、脱線をたくさんしましたが、肝心の映画のお話しです。
この映画がとても好きで、かれこれ5回ほど観ています。
この作品で監督デビューとなったテイラー・シェリダンは、
同じく私の大好きな映画「ボーダーライン」では脚本を手掛けています。
アメリカが抱えるそれぞれの問題。
テイラー・シェリダンは上記二作に「最後の追跡」を加えた三作を
「現代アメリカの辺境を探求するひとつのテーマに沿った三部作の最終章」と位置付けています。
舞台はアメリカ合衆国西部のワイオミング州のウインドリバー先住民保留地です。
物語は、一面の雪景色から始まります。
静がだけど生活はとても厳しそうだなと感じざるを得ない風景。
遺体が見つかったところから、物語は静かに展開を始めます。
一番近い民家からも5㎞以上離れた場所で少女は亡くなっています。
第一発見者はハンターのコリー(ジェレミー・レナー)。
FBIの新人捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)が捜査を始めますが、捜査に不慣れであることに加え、厳しい自然環境が大きな壁となって彼女の前に立ちはだかります。
アメリカが抱える根深い問題。
ボタンを掛け違えたまま舞台に立った国はどうにか取り繕いながら物語を演じ続ける以外に進む道はありません。
世界中に横たわる理不尽な問題はいつも社会的弱者、マイノリティを標的にしますが、
雪に深く覆われた世界においては、マジョリティー側に属する人間さえ、苦境に追い込み、過ちを犯させます。
あまりにも、安直で愚かな行いがもたらした結果は、関係者を深く深く傷つけます。
題材は実際にあったお話しの様ですが、最終的な処し方が許されるものなのかは判断つきません。
個人の権利を何よりも大事にする国家は、国民の互いの権利を守り、生き方を尊重するのではなく、強いものが弱い者から搾取することで成立しています。
そして「平和ボケ」していると言われて久しいわが国の人たちは、ボタンを掛け違えたまま、舞台で物語を演じる国家に何時まで無限の投げ銭を続けなくてはならないのでしょうか?
生きることがどういう因果の上に成り立っているのか身につまされる作品です。
この作品をサスペンスだと思って視聴する人が多いかもしれんませんが、否。アメリカの抱える根深い問題がテーマの社会派ドラマです。
雪に覆われた大地に動物。
私には「北の国から」を彷彿させますが、同じくらい絶望。スケールは違えども絶望。
雪に覆われた真っ白な世界は静かで、それがまた心を締め付けます。真っ白な世界が連れてくる絶望の世界。
いつか暖炉のある家で、高級アイスを食べながらこの作品を観たいと思っています。

ウインドリバーを観るなら

U-NEXT
Hulu
AmazonPimeVideo

次回予告

茜色に焼かれる
監督:石井 裕也
主演:尾野 真千子
2021年 日本

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