『豊かさ』のためのおおいなる一歩【#給付金をきっかけに】
『10万円、空から降ってきたら何に使うか』
そんな妄想を、生きていれば一度はしたことがあるだろう。「20万円の使い道」を聞けば、その人の価値観がわかる、なんていう話も耳にしたことがある。しかし現実のお話として、お上から10万円がふりこまれるなんて人生は本当に何が起こるかわからない。
そんな「あぶく銭」とでも言うべきこのお金。
どうせ使うならいいものに使いたい。でも、果たして「いいもの」ってなんだろう。価格の高いものなのか、機能性のあるものなのか。必要性の高いものが「いいもの」かもしれない。
あっちへ行ったりこっちへ来たり。頭を悩ませているうちに私の中で「いいもの」についてのひとつの結論が出た。答えは人によって違ってくると思う。だからこの答えは私だけのものだけれど。
「いいもの」。
それは人生を豊かにしてくれるものではないだろうか。
*
さあ、エンラクさん早かった!「人生を豊かにしてくれるものとか?」、はい答えは――お酒!お酒ですか、そうですね、それも豊かにしてくれるものでしょう。でもそうじゃない。飲んだくれも楽しいですけど、飲みすぎると嫁さんに怒られますからね。――ヤマダくん!座布団1枚持ってってー!
――謎の禅問答は置いておくにしても、この回答では「豊か」を定義しないといけない。そうでないと正解にはたどりつけない。そして私は、「豊か」を定義するために、冷蔵庫に買いだめしてある駄菓子を口に放り込む。
いざ回れ、脳みそ。
『考え事をするときの頭の中』って、さまざまな針が沢山回っているイメージなんじゃないか。そんな風に思っている。時計が沢山あるイメージにほど近い。
無数の針はそれぞれ勝手に回っているので、普段はまとまることはない。でも、ちゃんと考えてくださいねって好物の甘いものを与えて、よいしょしてあげると、まれに針の方向が重なるタイミングがある。そんな風にしてとらえた一瞬の方向性を伸ばすと、たまに長くつながるものがある。
それがアイディアが出てくるタイミングなのではないだろうか。
時計の数を増やすことも大事だけれど、結局は沢山回して確率上げた人の勝ちなのだろう。そんなふうに思って頭の中の針をまわす。そして、回したかいがあって、今も、そのうちの一つか二つが同じほうを向いてくれた。さあ、これでどうだろう。
「豊かさ」とは。
きっと、それは『お気に入り』のことなんじゃないだろか。
*
つまり、人生において『お気に入り』を増やすこと。
それこそが『豊か』になることなんじゃないだろうか。
……ちなみに、
これは先日まで「#ゆたかさってなんだろう」というコンテストをやっていたがために、考えていたネタであることはここに表明しておきたい。コンテスト最終日、仕事が終わったくらいのタイミングで、このネタにたどり着いたときにはお蔵入りを覚悟した。実際、その日に書いて仕上げるなんてことは無理だったので一度はお蔵にした。
でももったいないから、せっかくなのでこっちで使ってやろうという、ケチな根性のたまものだ。いや、考えようによってはこれはリサイクルであり、エコだ。再利用だ。時代の寵児だ。レジ袋の使いまわしだ。
きっともとからこの二つはつながっていたのだ。
そう、それは運命の双子なのだ。
*
*
……言い訳がましい話はこの辺にしよう。
お気に入りを増やす。つまり普段は高くて買えなかったけど、気になっていたもの。いつもなら選ばないけれど、お金に余裕があるなら選んでみようか、と思えるもの。
これまでの自分になかった新たな『お気に入り』を作るための一歩。それがこの天から降ってきた10万円に課せられた使命なのではないだろうか。
そんなわけで私は一つ買ってみた。「普段はなかなか買わないけれど、気になっていたもの」。人生を豊かにする、お気に入りのタネ。
それがこれ、わざわざの『残糸ソックス』。
『10万もらって、たったの1000円かよ』
……とか言うべからず。
これは人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍なのだ。大変に主語を大きくしてみたけれど、私にとってみれば、エポックメイキングであることは間違いないのだ。
だって靴下なんて安いものであれば、5足1000円とかで普通だ。ユニクロ基準でいけば、まとめ買いで3足1000円じゃないだろうか。それに比べれば優に4割増にはなってくる。プリウスにしようかな、と思っていたのに、ハリアーにするようなもんだ。
そう思うとこの贅沢っぷりが伝わるだろう。何事も大きいことはいいことだ。きっと主語もそうだ(そんなことはない)。
(そして届きました。感謝)
(思ったよりも厚手で、冬まで履けそうにありません)
(リネンの方は、色がなくてやめたのよ)
(買った商品を、使わずに寝かせる。それもまた豊かさ……?)
(てゆうか、考えれば考えるほど、たいして高くもない気がしてきた……)
(ひっぱった挙句ぶん投げるスタイル)
――いいの。とにもかくにも、これは一歩目に過ぎないの。
いつもと同じものを買うのではなく、いつもより自分を豊かにしてくれる、お気に入りのために使う。
この空からふってきた給付金をきっかけに、もっと「豊か」な自分を作っていきたい。そんな風に私は思っている。
「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)