『アイスクリーム屋課題』ってなに?
ツイッターでこんな文章が回ってきたのでなんとなしに読んでみた。
ジョンとメアリーは公園にいる。公園にはアイスクリーム屋さんの車も来ていた。メアリーはアイスクリームを買いたかったがお金を持ってきていなかった。アイスクリーム屋さんは午後も同じ公園にいるというので、メアリーはお金を取りに戻った。しばらくしてアイスクリーム屋さんは教会に行くとジョンに伝え、去っていった。その途中、メアリーの家の前を通ったアイスクリーム屋さんは、メアリーに教会に行くことを伝えた。しばらくして自宅に戻ったジョンは、宿題のことで聞きたいことがあり、メアリーの家に行ったが、メアリーはすでにアイスクリームを買いに出かけていた。ジョンはメアリーを追いかけて行った。ジョンはメアリーがどこに行ったと思っているか?
どうもこの問題、「アイスクリーム屋課題」として、広汎性発達障害があるかどうかを調べるための質問の1つとして有名なものらしい。
読んだ私の答えは、『そんなのわかんなくない?』であった。
是非皆さんも考えてみてほしい。
私がまずひっかかったのは、「ジョンとメアリーが公園にいる」という文章からは、2人が行動を共にしていることが確定されていないということ。
各個人でそれぞれ公園にいたのかもしれない。その後の文章を読んでも一緒にいたとは書いていない(のちのちになって、宿題を聞きに行くほどの仲であるなら一緒にいたのではないか、という想像はできるけれど、確定情報ではない)。
また「メアリーはすでにアイスクリームを買いに出かけていた」という文章も気になる。これが単なる地の文なのか、情報としてジョンに伝わったのかの判断がつかない。
結果、「わかんなくない?」っとなったわけだけど、ツイッター等を見ているといろんな意見があって面白かった。
仮に、公園でジョンとメアリーは一緒に談笑でもしていたとして、最後、メアリーの家を訪ね、誰かに「アイス買い行ったよ!」と言われたのだとする。そこまでお膳がととのっていれば、メアリーはアイスクリーム屋が移動したことを知らないはずだと思い(本当は知っている)、ジョンは公園に向かったはず。
――というのはわかる。実際、答えは「公園」らしい。
しかし「メアリーはすでにアイスクリームを買いに出かけていた」が、単なる地の文章で、ジョンはメアリーが「アイスクリームを買いに出かけた」ということを知らなかったとしたら、どこに行ったかはもう神のみぞ知る状態だ。「どこに行ったと思う?」と問われても、読者に知られていない情報があって、勝手にどこか目星をつけたと言われても仕方がない。
「家にはもういない。きっともうアイスを買いに出かけたのだ」と思った、という想像もつくけれど、これは事前にメアリーと行動を共にしており、メアリーがアイスを食べたがっていたという情報がないと出てこない。2人が行動を共にしていたという確定情報もなく、根拠に欠けると言わざる得ない。
1人称でジョンが主役なら、出てくる情報はすべてジョンが知ったことだけれど、これは3人称で書かれていて、主語がはっきりしないゆえにいろいろ判断しかねる文章になっているのではないかと思った。
そしてこんな文章で、障害があるなしが判断されるなんてあるのか? と疑問に思い、調べてみたら、実際にはもっとちゃんとした設問だった。
「AとBは公園にいます。
そこにはアイスクリーム屋さんがいました。
Aはアイスクリームが欲しかったのですが、お金がありませんでした。
アイスクリーム屋さんは、
『今日はずっとこの公園にいるよ。』
と言いました。
Aは『じゃあ、お昼過ぎにまた来るね。』
と言って、一旦家に戻りました。
Aが公園からいなくなった後で、アイスクリーム屋さんは
『駅前に移動してアイスクリームを売る事にしよう。』
とBの前で呟きました。
アイスクリーム屋さんが駅前まで向かう途中、Aの家の前を通りかかりました。
Aはアイスクリーム屋さんに
『どこへ行くの?』
と聞きました。
アイスクリーム屋さんは
『駅前に行くところ』
と答えました。
BはAにアイスクリーム屋さんの行く先を伝えようと、Aの家に行きました。
『Aはいますか?』
とAのお母さんに聞くと、
『アイスクリームを買いに行ったわよ。』
と答えが返ってきました。
Bは、Aがアイスクリームを買いに、どこへ行ったと思っていますか?
それはどうしてですか? 」
詳細は少し違っているけれど、こちらの文章であれば悩むことはない。
きちんとBであるジョンが「Aはアイスを買いに行った」という情報をもらったことが確認できる。Bは「アイスクリーム屋さんの行く先を伝えようとして」Aの家を訪ねていることから、事前に行動を共にし、Aがアイスを食べたがっていたことを知っていたことも類推できる。
なーんだそんな話かーと、思わずnoteを書いてしまった今日この頃。
「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)