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マイグレーション

ITの世界では
ソフトウェア、システム、データなどを
別の環境に移設したり切り替えたりすることを
マイグレーションと呼ぶ。

このマイグレーションという作業は結構やっかいで
環境が変わるとうまく動かなかったり、
そもそも移設するのにとんでもない手間と
コストが掛かってしまう。

だから、
「最初にどういう環境でシステムを構築するのか?」
ということがとても重要な要件になってくる。

繰り返しになるが、それは一度構築されたシステムを
移設したり作り直すことは容易ではないからだ。

これはぼくたちの生き方にも全く同じことが言えると
思っている。

よくある自己啓発のセミナーや
コーチング研修などで「成功の法則」なんかを
習っても実際にはそんなに簡単に人は変わらない。

そんなに人が簡単に変わっていれば
今頃世の中は成功者だらけになっているはずだ。

ではなぜ人は変わらないのか。
それは、本当に変わろうと思ったら
システムと同じく、
人間も大規模なマイグレーション作業が必要となるからだ。

ただ、それには膨大なコストと時間、
そして「うまくいかないかもしれない」という
ある種の覚悟が必要になる。

しかし多くの人は、
このマイグレーション作業をする時間やコスト、
覚悟を躊躇し、取り急ぎ上モノのアプリケーションのみを
改修しようとする。

システムとは、
ハードウェア、OS、ミドルウェア、そしてその上で
動作する複数のアプリケーションが複雑に絡み合い
成り立っている。

だから、
断片的に一部を切り取って改修したところで
付け焼き刃にしかならず、
そもそも、そんなことをしても本質的には
全く変わらない、従来のシステムのままにすぎない。

「自分を変えたければ『決意』より
『時間配分』『住む場所』『付き合う人』を変えることだ」

これは大前研一氏の言葉だが、
要するに、「マイグレーションをする」とはこういうことだ。

どういう時間の使い方をするのか
どういう場所(環境)に身を置くのか
どういう人と付き合うのか

これをガラッと変えると自分の中でマイグレーションが起きる。

結果に満足するかどうかは別として、
この3つを変えると人生の結果は必ず変わってくる。

そして、
最も大切なことは、そもそもなぜ自分はそこまでして
自分を変えたい(マイグレーションしたい)と思っているのか?

ここに尽きる。

「今の自分」はダメだから新し自分に変えたい。
ということが原点にある場合、
残念ながらそのマイグレーションはうまくいかないと思う。

なぜなら「否定」からは結局「否定」しか生まれないから。

「ダメ」だったと思っているものに手を加え、
「まる」にしたところで、それは条件付きの「まる」だから
直ぐにまた「ダメ」なところををみつけ、手を加えたくなる。

例えマイグレーションは完了しても、
永遠にこの動作を繰り返すことになる。

ではどうすればよいのか。

これは逆説的だが、
「自分にはマイグレーションは必要ないんだ」
ということが理解できたときにはじめて、
本当のマイグレーションがはじまっていくのだと、
ぼくは信じている。

自分にはマイグレーションが必要ないというのは、
要するに「今の自分を認め、よしとする」ということ。

これは、親でも、子でも、パートナーでも、親友でもなく、
自分で認めなければならない。

自分を認めるというのは、
全部自分のことを好きになるという意味ではなく、
嫌いなところもあるけどそれでもいいと許すこと。
それも自分の一つのパーツで個性だと認めること。

これがしっかり腹落ちしてくると、
今ままで自分はなにをそんなに変えよう変えよう
としていたのか?と、疑問に思えてくる。

そして、「変えよう」ではなく、
「もっと自分らしく生きよう」という方に意識が向くようになる。

これが、本当にマイグレーションがはじまったサインだ。

本当のマイグレーションがはじまると、
これはこれで相当な痛みを伴う。

例えば、
今まで本当はやりたくないのに我慢してやっていたことを、
「えいや!」でやめてみようと思うかもしれない。

今まで本当はやりたかったのに我慢してやらなかったことを、
「えいや!」でやってみようと思うかもしれない。

今まで本当は言いたかったのに我慢して言えなかったことを、
「えいや!」で言ってみようと思うかもしれない。

これまでの自分の中でのルール(制限)を外し、
本当に自分の好きなように生きてもいいと許可を出して生きるのは、
想像以上に不安と恐れが伴う。

そう、
本当のマイグレーションには「不安と恐れ」が伴うのだ。

だから不安と恐れを抱えながら
それでも自分の心の声に従って行動しようとしているときは
本当のマイグレーションがはじまっている可能性が高い。

その先に、
自分の満足いく結果が得られるか、
それは誰にも分からない。
もしかすると後悔するかもしれないし、
多くのものを失うかもしれない。

実際やりたいことやったけど結局うまくいかなかった、
という話もしょっちゅう聞く。

ただ、
それでもぼくは自分の生きたいように生きたいと思うし、
これからも続けていきたいと思っている。

理由はない。
ただ、自分がそう思うから。
ただ、それだけだ。

いちいち理由なんて考える必要はないし、
「理由」にばかり意識をむけ出すからおかしなことになる。

ただ、自分がそう思うから。

それだけで十分じゃないか。


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