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【韓活韓国語のすすめ】「使える」から「“超”使える」へ

会話学習は「使える」か

 コミュニケーションを取り扱うテキストを「これ使える!」という評価をよく見かけます。文法を練習するだけの教科書よりも「使える」ということでしょう。ただ、このコミュニケーション系テキストも本当に「使える」のでしょうか。「自己発信の会話」を口に出す練習をし、「こなれた」言い回しを暗記する。でも、ちょっと待ってください。フレーズを暗記しただけでコミュニケーションが取れるようになるものでしょうか。一方的に発信できても、相手の返しが分からなければ「使えない」ですよね。本当に会話が成り立つレベルになるには、生身の人間を相手にしたリアルな会話体験を重ねなければなりません。「使える」教科書だけでは、その役割を果たすには不十分に思えます。

 さらに、仮にコミュケーション力がついたとして、その会話力をいつ「使う」のでしょうか。韓国現地で韓国人と会話するシチュエーションはコロナ禍ではゼロです。渡航できたとしても、空港、ホテル、交通機関、ショッピング、食堂での会話がせいぜい。こなれたネイティブ会話の出番はありません。要するに、「使える」会話学習の唯一の「使い道」が、オンラインレッスン中の先生との会話というのが多くの人にとっての現実なのです。

 では本当に「使える」のはどんな学びでしょうか。万人に「使える」教科書が存在するという考えがまずおかしいですね。人によって「使える」は違うはずです。例えば「推しの話を理解したい」人には、自己発信会話は「推しへのメッセージ」で十分だし、会話というアウトプット学習より、推しが使う言葉を重点的にインプットするほうが「使えます」。そのインプットの中には自分は「使わない」言葉も多分に含まれるけれど、それこそが推しの理解に「使える」といえます。

テキストは「学習者が使う言葉」だけで構成されている

 あらためて既存の教科書を開くと、教科書のスキットは、学習者が「使う」前提の言葉だけを抜き出して構成されていることに気付かされます。学習者が女性と規定したとき、スキットに「オッパ」や「オンニ」は登場しても「ヒョン」は登場しません。「ヒョン」は男性間で使う言葉だからです。男性から「ヌナ」と呼ばれるのはあり得ることですが、そんなスキットすらほぼ見かけません。さらに言えば、大抵のテキストでは、家系図イラストを添え、単語として説明されるだけです。男性はヒョン、女性はオッパを使うのですと。

 推しの言葉を理解することが学習目的なら、アウトプット中心のコミュニケーション学習は、学習の方向性が逆です(アウトプット学習をやめなさいという意味ではありませんよ、学習してもあまり「使えない」というだけです)。アウトプット学習の主人公は「私」です。「私」が韓国語という外国語を使って、私という自己を発信をすることを目指しているのです。だから、「私」が登場しない「推し同士の会話」、「推したちの世界観」は登場しにくいのです。まずはコミュケーション力をつけ、現地に渡り、現地の社会や人々に溶け込む中で異文化を理解していく、という「遠大な道のり」においては、自己発信型コミュケーション力をつけることが最初の一歩に違いありません。コミュニケーション力だけはつけてあげるから、さあ、異文化理解の世界に勝手に飛び出して!というのが会話学習のスタンスです。磨いたコミュニケーション力で現地に住み、現地の教育を受け、現地で働き、現地で家庭を築き、子育てをし、老後を送る…人生をひと通り送ってみたら理解できるよ! …あまりにも遠回りですね。

「私が使うため」ではなく、「相手を知るため」の学習

 そんな遠回り過ぎない方法で、異文化理解に取り組むのが韓活韓国語です。韓活韓国語のフレーズや単語は、私発信のものに限定しません。Kコンテンツ中にいる彼・彼女たちの世界を覗くフレーズ・単語を取り上げます。私発信型学習が染み付いていると、最初「この言葉をどこで使うの?」と思うかもしれません。それらの言葉は、「私が使う」ためではなく、「相手の言葉を理解する」ためにあるのです。推しの言葉を理解するために「使える」フレーズなのです。私発信を超えた相手理解に使えるから「超使える」になるわけです。日常生活に韓国語を発話する機会はほぼなくとも、Kコンテンツの視聴は日常ですから、その意味でも「今すぐ使える」のです。


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