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2022年真夏の大冒険⑪亀かめそばの話

美味しいと評判の店に1時間並んで食べるよりも、ソコソコの味だけどすぐに食べられる店の方を選ぶ。基本バカ舌だと思ってて自分の味覚は信用してないし、突き詰めれば「質より量」のタイプだと思っている。だから食べ比べも苦手だ。
例えば沖縄そば。たまたまた入った店のそばが気に入ったら「沖縄そばはもうこの店だけでいいや」と他店との比較を拒否してしまう。自分が通っている店よりも美味い店を知らなければ、通ってる店がずっとナンバーワンだと思い込める幸せ理論。

今日の予定はなにもないので、まずは朝飯(10時を過ぎているけど)。
丸江弁当で何か買ってくるか、高良食堂で煮付けかな?二択で迷っていたら、神の啓示のようにTVで沖縄のそば特集が流れた。たちまち朝は沖縄そばに決定。
旭橋泊でそばなら徒歩10分で行ける「亀かめそば」一択だ。

沖縄に通い始めた20年前頃に不思議に思ったことがあった。
沖縄に来たからには沖縄そばは外せない。初めての沖縄そば、どうせなら美味いのを食いたい。ガイドブックなどで調べる。宿泊地に近い国際通りの店に入った。けっこうな繁盛店で活気がある。700円の沖縄そばを注文した。見た目にも上品で美しいそばだ。これが沖縄そばか。美味かったけど腰を抜かすほどではない。量も物足りない。おかわりしようかな。ふと見回すと店内は100%観光客。

地元の労働者はどこで飯を食っているんだろう?
当時(今はどうか知らないけど)沖縄県は日本一個人所得が少ない県であり、最低賃金も日本一安い県だった。そんな貧乏県民が1杯700円のそばを頻繁に食べるんだろうか?地元民が普通に食べてる店、もっと安くて美味い店があるはずだ。
この疑問から地元の人が集まる食堂や居酒屋探しが始まったのだ。

丸江弁当、高良食堂、三笠食堂、ルビー、波布食堂、嶺吉食堂、おとん、、、沖縄で知り合った人に教えられて通うようになった店は多い。
そして宿泊地も国際通り周辺のホテルから西町界隈のマンション1室貸しの民宿ばかりになった。西町や若狭界隈は那覇港を中心に発展していった古い街であり、観光客だけにターゲットを絞った店も少なくて、すぐに馴染んだ。

沖縄そばでイチオシされたのが西町の「亀かめそば」だった。
冷房もなく業務用大型扇風機が大きな音の強風で汗を蒸発させる店だった。店で最高位の「軟骨ソーキそば大盛り」が350円。ふーちばー(よもぎ)とネギと紅生姜はセルフで乗せ放題。
汗染みYシャツサラリーマンやタンクトップのガテン系ニーニー、事務服ネーネー、タクシー運転手などで昼時は大繁盛。スープがなくなり次第閉店のシステムなので間に合わなかったことも何度もあった。

よし、亀かめそばに行こう。
西町のサンシャイン通りだったよな。Google Mapで見てみると...無い。
調べてみると西町の店は閉店して若狭に移転したようだ。Mapで見たら...なーんだ高良食堂のワンブロック先だ。こんなところに移ってたなんて、気づかなかったなー。ぜんぜん徒歩圏内だ。12~3分かな。
なるべく汗をかかぬよう日陰を選んでゆっくり歩いて10分ちょっとで到着。

えっ、屋根がピンク?意表をついたカラーリングに戸惑った。
空き店舗を決めたらたまたまピンクの屋根だった。そば屋には絶対似合わないけど、ピンクで雨漏りするわけじゃない。余計な金かけるよりこのままだっていーんじゃない。別に大きな問題ではない。きっと店主にはこれくらいの葛藤があったと思う。
そう思うと、てーげーさ満載のオキナワンスピリットで好感が持てるし、名入の赤ちょうちんと幟旗は昔とおんなじだ。
でももし国際通り系の経営者だったら絶対ピンクは使わないと思う。
まだ11時なので行列もない。なんの躊躇もなく入店した。

かなり目立つピンクに戸惑う

券売機で軟骨ソーキそば大盛り。水はセルフ、ふーちばー乗せ放題も当時と同じシステムで安心した。
ただ軟骨ソーキそば大は800円。最後に食べたのは15年前、そりゃあ350円ってわけにはいかないわな。沖縄県民の生活水準も本土並みになったと喜ぶことにしよう。扇風機じゃなくてクーラーもキンキンに効かせてるし。
味の方は...バカ舌だから分析も表現もできないけど、店の立地・値段・味・満足度のバランスで評価すれば『沖縄そばは亀かめそばでいい』という思いは変わらなかった。

10年以上ぶりの亀かめそば軟骨ソーキ大盛ふーちばーてんこ乗せ
昔は素手わしづかみだった気がする

ふーちばーをてんこ盛りに乗せた大盛りそばで満腹&大満足で店を出た。
外は今日も沖縄晴れで陽射しがキツイ。汗が一気に噴き出した。日陰を選びながらゆっくり宿に戻ろう。
明日は石垣島だし、洗濯もしなきゃ。シャワーを浴びてマルタのロックで冷まして昼寝かな。

最後に書いておきますが、この文章をたまたま目にした方へ。
あくまでも筆者個人の感想です。筆者はバカ舌を自認しており、他のそば店もさほど知らず比較能力もありません。だから過大な期待はしないでください。
でも、那覇でそばが食べたくなったら私は迷わず亀かめに行きます。これだけは間違いない事実です。

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