2022年真夏の大冒険⑰与那国島3日目 ダイビングとマニアックな観光案内
暗いうちに目が覚めちゃったので、西崎灯台までぶらぶら歩く。「朝日は東崎、夕陽は西崎」が普通のイメージだと思うけど、西崎灯台からの朝日もなかなかどうして馬鹿にできない。2014年に撮った写真はPCの壁紙にずっと設定してるほど気に入っている。
西崎灯台に久しぶりに上がって来たら、新しいトイレが建てられ、新しいモニュメントが増えていた。道路側のアダンの茂みも刈り込まれて南側の海も見えるようになっていた。
日本人ってモニュメント建てるの好きだよね。龍飛崎でも思ったけど(龍飛崎にも◯◯の碑のたぐいがいっぱい経ってて最果て感ぶち壊し)、最果ての地になんらかの記念モニュメントを建てたくなる気持ちは何となく分かる。
もしかしたら昔の小学生が行った先々のペナントを部屋に貼っていた感覚と似てるかも。行った記憶は薄れても行った記録は残る、それのお大尽版ってとこかも知れない。
モニュメントってなんの意味があるの?建てた関係者も除幕式に出席するくらいで二度と来ないだろうし、たまたま立ち寄る観光客には縁もゆかりも無いものばかり、風光明媚を守るためにも「最西端の碑」ひとつだけにして、残りは全部役場前にでも並べりゃいいと思う。
新しく建った「3万年前の航海の碑」なんて、どう考えてもここじゃない、久部良のナーマ浜でしょが。
トイレも音姫付きの最新型、まあ助かるけど。
宿に戻ってハチローさんに「すごい豪華トイレが建ったね」と言うと「壊れるまでさー」
なるほど納得。この島の設備は台風や塩害なんかで壊れると修理はしない。必要ならば新品に取り替えるけど壊れたものの撤去はしない。
そう言われれば島にはいろんなものが放置されている。風力発電のプロペラなんかずっと落ちたままだったし、宇良部岳山頂のアンテナらしきものもそう。
最果ての島へ運ぶだけで膨大なコストがかかるのだから片道で済むならばそれで良し的な離島事情なんだろうな。
今日のダイビングは、①馬鼻崎Wアーチ:アカネハナゴイとキンギョハナダイ山盛りのイカニモな真夏の沖縄の海中風景。
②③は西崎、昨日と同じバラクーダとGT。今日の西崎も爆速。
与那国島の観光スポットを検索すると、西崎や東崎と並ぶランドマーク的な景勝地は祖内集落のティンダバナだ。
口コミでも眺めが良くて涼しい岩屋だと評価は高いけど、この巨大な岩の頂上が広い草原になっていることを知る人は意外と少ない。端っこに昔の狼煙台と言われる段々がある。そこに登れば六畳ビーチ付近から祖納港、空港、馬鼻崎まで島の北側を見渡せるのだ。島の北西部を見渡す展望ポイントはここと満田原(まんだばる)森林公園の東屋くらいしかない。
草原は牛の放牧場になっている。朝早くに行くと牛のフレッシュなウンコを踏んでしまう悲劇もありうるので暑いさなかに行ったほうがいいかも知れない。与那国の強烈な太陽は、フレッシュウンコも数時間で乾燥粉に変えてくれるからだ。
このティンダバナの草原を町の観光協会はなぜPRしないんだろう?もしかしたら個人所有なものかも知れないけど、立入禁止の柵もなく普通に車で行くことができる。草原内には車は入れない。
与那国島には道路に10cm幅ほどの溝を掘ったグレーチングのようなテキサスゲートというものが数カ所設置されている。蹄が挟まってしまうのか、馬や牛はこの溝を越えられないので先にも進めなくなる。
東崎の入口に設置のゲートで東崎から出られなくなり東牧場、比川集落カタブル浜に設置のものと久部良避難港手前に設置したゲートの間が南牧場になり、空港南側フェンスに沿って少し入ったとこに設置されてるゲートで馬鼻崎から出られなくなって北牧場になる。
つま先立てて渡ってくる馬も、元気よくジャンプで飛び越してくる馬も無く、柵がなくても馬を閉じ込めておくことができる便利なものであり、最少の数で最大効果が得られる最適な場所に設置してある。
この単純な仕組みが牛馬は牧場から出られず集落には入ってこれない仕掛けになっている。
島一周をすれば南牧場を通り抜けなきゃ先に進めないし、東牧場は東崎観光で立ち寄るだろう。海をバックに映えるのは東牧場かな。
いちばん見逃しがちなのが北牧場で、じつは個人的にはここがいちばんのお気に入り。
他の牧場ではのんびり草を食んでるか排便排尿中しか見たことはないけど、北牧場の馬は群れで走ることがある。車は入らないし訪れる人も少ないから自然放置らしく、自然死で白骨化したものまで見ることもできる。白骨は凹地にさらされてるのが多い。
北牧場は転べばケガ間違い無しの隆起サンゴの地面だ。足元には十分注意すること。そして先端の断崖絶壁の海はダイビングポイントとしてもよく使われるところ。身を乗り出して海を見てればウミガメの息継ぎシーンなんかは割と見れる。海から2-30mも高い断崖の上だというのにカニも歩いていたりする。
コトー先生が思いを馳せるシーンでよく使われたロケ地だが、コトー先生のようにボーっとしてたらコケて怪我するし、落ちたらたぶん死ぬ。
南牧場は大半が自衛隊駐屯所になってしまってDr.コトーエンドロールの自転車疾走シーンで使われている道路くらいしか見どころがなくなっちゃったけど、基地ができる前は暑さでバテた牛が入って涼む池があったり、猫がいっぱい住み着いてて仲間内では「猫牧場」と呼んでいた牛舎があった。牛と馬が共同生活してる牧場だった。
ちなみに、与那国で飼育されている牛はほとんどが仔牛だ。ある程度まで育てたら皆行儀よくフェリーに乗って石垣島に渡っていって、もっとデブにさせられてから石垣牛と呼ばれるようになる。
民宿の下のフェリー乗り場から乗船していく牛を見た日は「今日はドナドナがあったね」と話していたっけな。
毎日天気が良くて毎日潮が速い。夏の与那国らしいって言えばそうなんだけど、もう少し優しい流れになってくれないと毎回ビューンと流れてスパッと終わるダイビングが続くことになる。
明日はどんな潮だろう?当分天気の心配はしなくていいみたいだ。
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