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芸術初心者が、インスタレーション作品を見て感じること。

落合さん(藝大 院 GAP)の個展に行ってきた。

クマ財団1期生、スクリプカリウ落合安奈さん(一度で言えた試しがない。)

何がすごいって、彼女は今月だけでも三本の展示を開催していて、超絶パワフルだってこと。来週からも川口での展示が控えていると。エネルギーがすごい。

その3つのうちのひとつにクマ財団としてようやく行けたってワケ。
がんばれ、事務局の俺!

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何を隠そう、この財団の仕事に就くまで、「アーティストの個展」なるものにはそもそも興味がなくて、行くとすれば、

イラストレーターのNoritakeさんの展示販売会、

あとは、ほぼ日のTOBICHIで開催される小規模だけど、超アクの強い展示イベントくらいしか行ったことがなかった。

芸術が嫌いとかではもちろんなく、これまでのぼくは、その展示を観て、「何」を感じたらよいかわからなかった。芸術を高尚なものとして構えすぎていた。そう思わせた芸術側にも責任がある(何様?)

だが、今となっては、50人の奨学生たちの展示やパフォーマンスに、もはやほとんど趣味で観に行くようになり、高尚なとか言っていられなくなった。

素人なりに話を本気で聞いて、わからないなりに調べたり、質問をぶつけていくうちに、芸術とかクリエイティブに対する考え方が完全にひっくり返った。

べき論からの大転換。

何か「正解」と言われる感じ方があって、

それを当てにいくように考えるととてもつまらない。

まるで試験のようなプレッシャーだ。

そこでぼくは、ど素人なりに感じた、

率直なものやミーハーな疑問をアーティストに返してあげることにした。

話の中で出てきた「?」をその場ですぐに オウム返しするようになる。

はじめは、自分がこんなにもものを知らないものかと、絶望に浸ったこともあるが、それよりなにより学生から学べることが大き過ぎて、ぼくの興味領域をぐっと拡げてくれる。

またそれは、「きっかけ」でよいということ。
彼ら、彼女らをよく知るはじめの一歩でもあるし、各分野、絵画なら絵画、音楽なら音楽、版画、建築など…それぞれのはじめの一歩だ。

そんなアホな質問を続けていくうちにわかったことが一つあって、

アーティストやクリエイターが、「一般目線からの意見や疑問」を少なからず欲している、という事実。これには驚いた。

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そんな芸術童貞なぼくだが、

強烈な「はじめの一歩」感を感じるのが彼女、落合さんの作品。

現在開催されている個展「trance」は、

アーツ千代田3331の中のギャラリースペースだ。

アーツ千代田3331は、もともとは地域の小学校だったらしい。

B1に降りると、、懐かしい感じの水道場。

おしゃれだな、壁!

そして、Bambinart Galleryの入り口をあけると。

左側の壁一面。

光る顔写真が!!!


右側を見ると、、

作品の展示とともに、部屋の中心にある映写機(8台くらいあった?)で壁に絵を投影している。いろいろ調べると「幻灯機」というらしい。

幻灯機=スライド映写機の原型にあたる機械

個展名の「trance」とは、「恍惚」とか「夢中」とか「前後不覚」という意がある。まさにその名の通り、この部屋の中にいるとぼーっと時間が過ぎていきそう。プラネタリウム的な気持ち良さがある。

彼女の紹介文をあらためて読んでみる。

スクリプカリウ落合は日本(東洋)と ルーマニア(西洋)という2つの離れた国の両親を持ち、日本という島国で育ちました。そのバックグランドが、作品にも少なからず影響しており、重ねることや、レイヤー(層)を作ること、ズレることや交わることへの執着が、表現の特徴的な要素となっています。本展では、親族の写真をそれぞれ二枚ずつ向かい合わせに重ね、ライトボックスで照らしたシリーズ「One」と、古い日本と西洋のイメージが天体のように空間を巡る、幻灯機を用いたインスタレーション作品を中心に紹介します。

あれ、、インスタレーションってなんだっけ?

ここであらためてインスタレーションについて調べてみる。

インスタレーションを一言でいうと、展示空間を含めて全体を作品とし、見ている観客がその「場」にいて体験できる芸術作品のことをいいます。

つまり、インスタレーション作品は、

「観るもの」(客観)ではなくて、

「体験し、入り込み、感じるもの」(主観)ということ。

一歩、空間に踏み込んだ時点で、ぼくは作品の中にいたということ。

意味が違うけど、お釈迦様の掌の中状態だったってこと・・・。

恐るべし、インスタレーション。

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冗談はさておき、作品のお話を。

「One」シリーズ

「great grand mother」という作品。

つまり「ひいおばあちゃん」だ。(ひいおばあちゃん、美人だな)

自分の親族の写真をそれぞれ二枚ずつ向かい合わせに重ねているらしい。

「One」なのだから、ご先祖と、今の自分も肉体は分かれているけど、元は同じ。時間を超えた、同一感なのかな。

ここは作品を観たうえで、もっとじっくりインタビューしてみたいところ。

(この日は落合さんへの来訪も多く、ぼくはバンビナートギャラリストの米山さんと今後「エマージングアーティスト支援」について1時間くらい話し込んでしまった。)

幻灯機を用いたインスタレーション

ギャラリーで作品を観ていると、5分に一度作品の照明がおちて、壁に映写の絵がフィーチャーされる。それぞれがバラバラな動きを続けており、それらが交わったり、ぶつかったり、逃げていったりと、鑑賞者側の心理や見方によって解釈が変わるという。

ぼくは暗くなった時に部屋全体に漂う、余韻ある「恍惚感」が好きだ。

今後の彼女の作品が、どういった形で、何をズラして、何を重ねてくるか、楽しみだ。

今週末までの残りわずかな会期であるが、アーツ千代田3331自体もとても楽しげな場所でもあるので、ぜひ足を運んで欲しい。

先日の藝祭で撮った写真を。(右:落合さん)

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スクリプカリウ落合 安奈

個展「trance」

9/2 - 9/17 ※月火休廊
am12-pm7

Bambinart Gallery
(アーツ千代田3331 末広町/上野)
bambinart.jp/exhibitions/20…

ぼくも誰かの応援をしようと思います!