「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 」を観ました

ずっと観たかった映画を見た。私は小説版の「若草物語」が十本の指に入るくらいに好きで、自作品も影響を受けているくらい大きな存在だ。実写映画が上映していたことは知っていたのだが、映画館に見に行き損ねていたので、最近アマプラで見られることを知り、ようやく念願の鑑賞が出来たのだった。

あまりに有名な作品であるので、知っている方も多いと思うが、この作品はアメリカに住む四姉妹を主人公とした、貧しくも幸福な日常を描いたものである。原作小説を読んだのは小学生の頃だったが、大人になった今、改めて映画を見て、また違った感じ方をすることが出来た。

 映画「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」は、四編に及ぶ「若草物語」を、美しく幸福な少女時代と大人になった主人公たちを対比させながら、二時間という枠に丁度良くまとめられた作品である。小説のまままの雰囲気や空気感で、ジョーたち四姉妹やお隣さんのローリーなども小説から飛び出して来たかのようにイメージそのままで感動してしまった。また、近代アメリカの街や屋敷、自然の風景の美しさを楽しめるのも、映画の醍醐味だろう。

小学生の頃、本を読んだ時には、ジョーたちとともにわくわくしたり、彼らの楽し気な様子に顔を綻ばせたり、無茶をするジョーたちや事件にはらはらしたりしていたが、今、大人になってこの映画を見て、懐かしさと戻れない寂しさで胸が一杯になった。
この映画の、過去と現在を対比するという構造もあり、どれだけ過去に戻りたいと思っても、人は過去には戻ることができない、という事実を痛感した。だが、この映画は寂しく悲しいだけの作品ではない。女である無力感を噛み締めながらも執筆を続けるジョーをはじめとして、貧しい家庭で我慢を続けるメグ、病に倒れ死を覚悟するベス、追い続けた夢を諦めたエイミー、失恋から立ち直れず怠惰に過ごしていたローリー、それぞれが苦しみの先の未来に懸命に踏み出していく。ラストシーンでは、ジョーの念願が叶い、家族皆が集って幸せそうな場面で終わって、その景色がとても希望に満ちていて、なんだか勇気をもらった気がした。

とても素敵な映画で満足しているし、時間が経ったらまた見返してみたい。その時にもまた、新しい感じ方が出来るのだろうと思える、深みのある作品だった。 

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