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バンクシーの話

今日は最近鑑賞したバンクシー展で感じたことのお話を。

まず、このバンクシーについてだが、【バンクシー(Banksy, 生年月日未公表)は、英国を拠点とする匿名のアーティスト(路上芸術家)、政治活動家、映画監督。彼の風刺ストリートアートと破壊的なエピグラムは、独特のステンシル技法で実行された落書きとダークユーモアを組み合わせたものである。】とされている。※Wikipedia参照

ステンシルとは、デザインを切り抜いた型紙の上からスプレーなどで塗料を吹きかけて絵や文字を生み出すアート制作における手法の一つで、色やデザインごとに型紙を用意し、塗料を重ねて影や細かいラインを描くことで立体的に見せることも可能。型紙とスプレーを駆使し、複雑で緻密なデザインを表現することができ、バンクシーの代名詞でもある。

バンクシーがステンシルを使用し始めた背景には、警察に捕まることを免れながら街中にアートを描き続けるために「短時間で思い通りの作品を仕上げる手法」が必要であったことが挙げられている。しかし、単にステンシルが簡単なアート制作方法であるというわけではない。

ステンシルはアーティストの発想や工夫によって様々な可能性を秘める手法であり、活用の仕方は千差万別。作品の制作背景には多くの型紙を切り抜くといった血のにじむような努力も隠されている。

私はこのステンシルをバンクシー展を鑑賞した後に調べて知り、彼の全作品には確かに称賛に値する緻密なデザインが施されていたことを感じた。そしてもう一つ、彼がアートで表現する強いメッセージ性に心が動き、虜となった。

彼の作品で頻繁に取り上げられるテーマの1つで、私の言語化できない思いを表現してくれたのが「反消費社会主義」だ。人生の真の価値は、あちこちからやってくる大量のマーケティング情報に取って代わられ、それらは時として恐怖となる。なぜなら、私たちの周りにあるものの多くが嘘で、経済を回すために生み出されたものだから。私たちの暮らしに欠かせない物やイベント、休暇、習慣などはその多くがマーケターが特定の経済的問題を解消するために編み出したもの。

資本主義システムは、常により多く金を稼ぎ、多くのものを買うことで、内なる空虚さや孤独感という主観的な感覚を埋めるように私たちを促す。例えば新車を運転させ、より大きな家に住まわせ、流行を追いかけ服を取っかえひっかえさせようとしている。こうして私たちは、最後には自由を奪われてしまう。果たしてそれで幸せになれるのだろうか?バンクシーは展示されていた数々の作品で、私にこのような問いかけをしてきた。

そして非常におもしろいのが、作品から発せられるメッセージの解釈が人それぞれに異なり、その解釈する権利を見る人が自分で決めるように促している点だ。ここで例をひとつ。

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これは、動物保護から消費主義まで、様々な解釈が可能な作品だろう。ヒョウは折り曲げられた柵の間を通り抜け、消費社会のシンボルであるバーコードを後に残して、檻から出て前に歩いている。これが1つ目の解釈である。次に、ヒョウのような模様を持つ動物は他にはいない。この模様とバーコードの組み合わせがユニークであるのはもちろんのこと、ヒョウの模様は自然を称えるものであり、またバーコードの線はテクノロジーの功績を表す。それが2つ目の解釈。また、ネコ科の野生動物の自由きままな生き方と、バーコードというシンボルにおける体制順応主義とを関連付けて見ることもできるだろう。これが3つ目の解釈だ。そして、動物たちは人間の楽しみのために動物園に閉じ込められている。この作品の解釈のなかで最もよく知られているものは、このような動物の商品化に対する抗議であるというものである。これが4つ目の解釈だが、しかしまだほかにも解釈はし得る。

果たして私たちは、消費の檻から逃げ出したこの肉食動物を恐れるべきなのだろうか。それとも、この動物は消費崇拝に支配されることのない稀有な人間を表しているのだろうか。バンクシーは見る人に自由に解釈する権利を与え、その解釈を自分で決めるよう促しているのだ。

私はバンクシー展の鑑賞以降、街のあらゆるアートに目を配るようになった。もともと芸術に興味はあったが、なかなか展示会に赴くまでの行動は伴っていなかった。しかし、これが大きなきっかけを与えてくれた。

街に目を配るとさまざまなメッセージ性のあるアートを発見することができる。最近ではそのメッセージを自分なりに解釈をすることが好きになった。

資産家の方たちの多くは共通して芸術を好むが、これは偶然ではなく必然なのかもしれないと思うようになった。お金に余裕がある者が芸術に走るのではなく、芸術的感性を持っている者が社会的な成功をするのかもしれない。なぜなら、芸術的感性とはすなわち洞察力と創造力の賜物であるからだ。

私も1日のスケジュールにアートと向き合う時間をつくろうと思う。

まとめると、毎日約900kgの宇宙のゴミが地球に降ってきているらしい。

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