この春リニューアル!東洋陶磁器美術館 特別記念展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」
桜の開花を迎えた4月中旬、東洋陶磁器美術館がおよそ2年の改修工事を経て4月12日よりリニューアルオープンとなりました。
特別記念展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」が9月29日まで開催されています。
煉瓦造りが印象的な外観を一新し、増築された全面ガラス張りの開放感のあるエントランスホールが新たに美術館の顔に。コンクリートとの親和性も素敵でした。
展示構成としては、1〜13のテーマに分けられます。
東洋陶磁器美術館(MOCO)が誇る安宅コレクションを中心に、
1.「天下無敵」、2. 「翡色幽玄」、3.「粉青尚白(ふんせいしょうはく)」、4.「清廉美白(せいれんびはく)」、5.「優艶質朴(ゆうえんしつぼく)」をはじめとした珠玉の東洋陶磁器の約380点を一挙に公開。
童女形水滴(左)は頭の蓮の部分を取り外して水をいれ、抱えられた壺が注ぎ口になっているようです。見た目のかわいらしさと機能性も相まって個人的にお気に入りです。
粉青(ふんせい)というのは、「粉粧灰青沙器(ふんしょうかいせいさき)」の略語で、15〜16世紀の朝鮮半島で作られた代表的な陶磁器のひとつ。当時、朝鮮半島の中心となっていた清らかな白を尊ぶ儒教精神が形として表れています。強調された線とシンプルでプリミティブなデザインが他とは一線を画す雰囲気を放っていました。
いいですね、東洋というよりアフリカの民族工芸品のような感じにも見えました。その中でも粉引(こひき)はその詫びた風情から桃山時代の茶の湯の流行とともに珍重されたそう。
力強い筆勢で描かれた悠々と歩くトラの姿。現代にも通用するようなゆるいデザインに、見ていて自然と顔がほころびました。
展示室9でのテーマ「明器幽遠」では、古代中国の墓葬や遺跡から出土した副葬品が展示されていました。
その中で副葬専用の器物は、「明器(冥器)」と呼ばれ、主人に仕えるとされた人形や動物模型、生活器皿など様々でした。
まだまだ有りますが、きりがないので本展の目玉まで一気に割愛します。
今回の主役!
国宝・油滴天目茶碗!
そしてやっとお目見え。本展のメインイメージにも掲載されている、国宝《油滴天目茶碗(ゆてきてんもくちゃわん)》です。
そもそも油滴天目茶碗とはなんなの?と思われた方も多いはず。
天目茶碗は、中国において茶葉の産地だった天目山にある寺院で使われていた茶道具で、日本に広まった鎌倉時代には保温性が高いことから多くの茶人に愛好されていたそう。
天目茶碗の中にもさまざまな種類があって、特に曜変天目茶碗は最高級で世界に3つしか有りません。青色と青紫のグラデーションのなかに広がる斑点模様は、まるで「器の中に宇宙が見える」とも評されるほど。
その曜変天目茶碗に次いで最高級の茶碗とされるのが、この油滴天目茶碗です。焼成中に分離した結晶が金、銀、青といった斑点が模様となってできたものだそうです。
同館では繊細な斑点と光彩の魅力を引き出す為、スポット照明、紫励起LEDのベース照明、さらにより透明度の高いガラスケースを導入するなど見せ方にこだわり抜いたそう。
写真ではなかなかその輝きがお伝えできないのが非常に残念です。
今回新設されたカフェには行けなかったのですが、オリジナルの限定メニューも色々あるそうなので次回はカフェでのんびり出来たらいいなぁと思います。
すぐ隣には建築家・安藤忠雄氏が設計した子ども本の森や重要文化財の中央公会堂なんかもあるので合わせて行ってみるのもいいですね。
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