獺祭パフェから日常を切り取る
11年と6ヶ月働いた会社。今日で仕事〆日でした。
最終日なので日本酒飲むのも解禁して何か自分にご褒美を…と。久しぶりに獺祭パフェやるか。
なんだよ。獺祭パフェって。
これは私が勝手に表現した造語。
ロイヤルホストというファミレスがある。
ロイヤルというだけあってファミレスにしては少しお値段高めなのだけれど、デザートメニューにあるパフェが何とも絶品なのだ。
季節のフルーツで期間限定パフェメニューの提供もあるのだが、熱々のチョコレートをチョコレートづくしのパフェにかけるホットファッジサンデーやブルーベリーの爽やかさが嬉しいヨーグルトジャーマニーなど定番メニューのパフェもレベルが高い。
そして、ロイヤルホストは獺祭という日本酒をメニューに載せ、提供をしている。私個人の意見だが、この獺祭をファミレスで提供するということは本当に凄いことだと思っている。
だって、そもそも皆ファミレスで日本酒ってそんなに飲まなくない?酒を飲むとしてもガストで唐揚げ頼んでビールとかサイゼリヤでワインとか、日本酒以外の酒の方がイメージつくでしょう。
例え、メニューにあったとしても「冷酒」だとか「熱燗」だとか記載されて、何のお酒か正体も分からない、適切に管理されているかもどうかも分からないまま提供されて「何これ、まっず(不味)。頼まなきゃ良かった~」ってオチまで先が見える。
チェーンの居酒屋でもこういうことがあるから、油断ならない。最近は減ったと思うけれど。
この「獺祭」という日本酒は何なのか。
山口県を日本酒県へと導いたお酒と言ってもいい。
現実、山口県の日本酒出荷量の7割は獺祭なのだ。
海外でも名が知れている日本酒である。
映画のエヴァンゲリオンに出て来たことも有名で、それが火付け役となって一時期、手に入りづらくなったこともある。
ちょうど自分の日本酒ブームと世間の獺祭ブームが被ってしまい、手に入らず飲めずで悔しい思いをしたことがあった。
そんな悔しい思いをしても飲めなかった日本酒が日常的に飲めるようになった。
しかもファミレスで、レベルの高いパフェと共に。
ロイヤルホストのパフェと提供される獺祭を合わせて頂くことを「獺祭パフェ」と私が勝手に呼んでいる。
なんて贅沢なのだろう。
というか、パフェと日本酒って合うのかよ?という話。
ロイヤルホストで提供している「獺祭 磨き三割九分 純米大吟醸」は日本酒の味わいや香りが、フルーツや生クリームに合う組成なのである。
これに関しては私自身の結婚式の試食会で日本酒と食事のペアリングを考え綴ったnoteがあるので、そちらを読んで欲しい。
味覚というのはシチュエーションや体の状態で感じ方が変わってくる。
学生の時に就活して初めて正社員として働いた会社。仕事を終えて疲れきった最終日の夜は今日という日しかない。
終わったという解放感、今日くらいはいいやというお酒への気の緩みを気軽に満たすにはちょうどいい。
その自由度が味覚に影響するのか、とても酒が美味しく感じる。
仕事終わった記念にロイヤルホストなんて…いつでも行けるだろう、と。そう思われるかもしれない。
そうはいかないのである。
私が今年の冬以降、移住する先の会津にはロイヤルホストがない。
福島県のロイヤルホストは郡山しかないのである。
今、日常的に出来ることが非日常的に、いつ出来るかなんて分からなくなるのだ。
とても不思議な感覚であるけれど、日常が非日常になるからと言って嘆いている訳ではない。
福島県に行ったら福島県に行ったなりの日常が待っている。それが埼玉県で過ごしている時の私から見たら、きっと非日常になることには間違いないのだ。
日常的に私が勝手に楽しんできた「獺祭パフェ」
当たり前にある日常を噛みしめながら出勤最終日の夜を楽しませてもらった。
今日、職場でパートナーさんに最後の挨拶をした際、彼女に言われたことに対して私は即答だった。
「sainokuniさん、もう仕事やりきったー!って感じでしょ。悔いなんか無いんじゃない?」
間髪なく答えた。
「無いです。仕事、楽しかったです。本当にありがとうございました」
この会社で苦しいことが無かったなんてことは、ない。
でも、楽しかった。
色んな人に会えたし勉強させてもらった。
過ごしてきた日常はいつか非日常に変わることもある。
飲めなかった獺祭が飲めるようになるのも、好きな時に食べていた美味しいパフェがいきなり食べれなくなるのも。
何がきっかけで日常になるか、非日常になるかなんて分からない。だから生きてる過程の1つ1つ大切にする。
日々、感謝の気持ちをもって次に挑もうと思う。
11年と6ヶ月、ドラッグストアに務めたsainokuniを見守ってくださった皆様、ありがとうございました。
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