#125 「分配」と「配分」に 気を配る

今日で8月も終わり。この5か月間、イタリア語をNHKラジオとテレビで、ひとりコツコツ勉強し始めて思ったのは、言葉は「何を大切にするか」「どうやって他人とわかりあおうとするか」が国によって、似ているところと違うところがたくさんあって、面白いということです。また、言葉を”探って”行くと、文化や歴史の”過去から現在までの流れ”が少し見えてくることがあります。(奥が深い。)

 海外旅行に行くと、自分の故郷の良さについて、あらためて気づくことがあります。(新型コロナ感染症がおさまったら、ぜひ海外に行って、自分の住んでいる場所について考えることをオススメします。)「イタリア語」をかじり始めて、「日本語」の”奥深さ”を垣間見た例をおひとつ。

 もし自分が日本語教師になって、海外の人に教えるとしたら、これは難しいだろうなと思う言葉に時々気づきます。その筆頭が、「分配」と「配分」です。学校で習う前から、生まれてから日本語の会話を日常的に行っている私たちにとって、「どうしてそうなるの?」と聞かれたら答えられないこと多いですね。「分配」と「配分」も、「社員に利益を配る」のは「分配」で、「一月の給料の使い道を分ける」のは「配分」というのは、理屈ではなくて「知っている」からという”理屈でない理屈(?)”で、使い分けができます。こうした慣用的な表現に、自分なりの納得のいく”自分の理屈”を作り上げることができると、頭の中に”スーっ”と記憶できると思います。

 もし、私が海外の人に教えるなら、「後ろがメイン!」と言います。
 「分配」の後ろは「配る」なので、「分けて、配る」
 「配分」の後ろは「分ける」なので、「区切りをどこに設定するかに気を配り、分ける!」

(うーん、我ながらうまい説明!!)と自画自賛。実はこの方法、NHKラジオのイタリア語講座の応用編「言えそうで言えないイタリア語」の中で講師の方が、毎回わかりやすい紹介をしていただく方法です。

 「覚える」のは難しいとき、「わかる」(わかった気になる)のはとても脳に記憶するのに有利な方法だと思います。いわゆる受験勉強やテスト前の”暗記”が必要な時にも、何か「ストーリー」が頭の中で出来上がると記憶できるのは、誰もが経験済みだと思います。単なるダジャレやこじつけでは、時間が経つと忘れるのは脳の短期記憶の宿命です。

 脳科学の研究で有名な事実なので、皆さんご存じかと思いますが、脳の”海馬”から長期記憶の場所に移すには、まず”寝ること”(睡眠)が必要です。寝ないと長期記憶に移りません。そして、繰り返し使うこと(3日を過ぎると、次回の復習は何もしていないときと同じです。3日以内の復習以外は、ほぼ意味がありません。同じ時間をかけるなら、是非3日以内に。)

 毎日の時間の使い方の「配分」に、どう気を使うかは個人の”自由”と”責任”かと思います。他人から強制される前に、よい自分にとっての配分を見つけれるといいですね。人生の長い時間も同じかも。もし自由と金銭的余裕があるのであれば、年代ごとの配分も考えるとよいかもしれません。ふつうは、配分計画を考える前に、目の前のことを全力でこなすことで精一杯だと思います。(それも悪くないと個人的には考えます。)

 一人一人に「分配」された一日の長さは、みな同じ24時間です。短期的だけでなく、長期的に見て、一番良い成果と満足・充実・幸福が得られるよう、まずは栄養と睡眠をとり、それからコツコツやることですね。焦らず、マイペースで。