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#72 百円玉を初めて使った日

前回は、「初めて音楽を聴いて泣いた日」について書きました。今日は、私が40年以上前に「百円玉」を、生まれて初めて使った日の巻です。

歩いて30分

私が小学校2年生?くらいのとき、宿題を自宅でやろうと思ったら、ノートがないことに気づきました。母親にノートがないと言うと、「自分で買っておいで」と言われ、百円玉を渡されました。実家は田舎だったので、家の近くに文房具を売っているお店はありません。3kmくらい離れた小学校の前の、文房具と駄菓子を売っている小さな店が一番近くの文房具が買える場所です。自宅から歩いて片道30分くらいかかったと思います。

ノート一冊40円?

当時の私が母親にお使いを言われたノート一冊は、多分、50円しなかったと思います。(記憶が曖昧ですが、、。)小学2年生の私は、それまで100円玉を使ったことがありませんでしたが、この時初めて手に持ち出かけました。(本当にこれ一個で、ノート一冊買えるのかなー。)と思い、百円玉一つを握りしめて30分の道のりを歩き始めました。

”クッピーラムネ”が5円

当時の小学生の遠足の楽しみの一つに、バスの中で食べる「おやつ」を前日に駄菓子屋に買いに行くことがありました。合計120円?までの予算範囲で、どの組み合わせで何を買うかを、お店の中で小学生が”ナップサック問題”を考えながら、うろうろしていました。端数が出ると一個5円のラムネ菓子が、予算枠をしっかり埋め活躍しました。

不安な列の中で

遠足のおやつを買いに行く小学校前の店に着き、ノートを一冊手にして列に並び、一人一人とお金を払い、いよいよあと一人で自分の順番という時に、(本当に、この百円玉一つでノートが買えるんだろうか?前、買いに来た時には10円玉を4つ払ったんだったなぁー。どうしよう。どうしよう。)と不安でいっぱいになりました。

「ただいま。」

結局、100円玉の価値を知らない”気の小さな少年”は、ノートを元の場所に戻しまた自宅まで、トボトボと歩いて帰りました。「本当に、この100円玉って言うモンで、ノートが買えるの??」と母親に聞いたら、笑いながら「大丈夫やで、もう一度行ってこやぁー。」と言うばかりなので、また同じ道を100円玉を持って歩い店に行きました。

お釣りがもらえた

当たり前なのですが、100円玉を恐る恐るお店のオバちゃんにノートと一緒に差し出したら、「ありがとうね。」と言いながら60円のお釣り(50円玉と10円玉)を渡してもらいました。ノート一冊と硬貨が2枚もらえて驚きました。(そうか、100円玉って、10円玉より”強いんだな”)と子供心に思いました。多分、算数の授業で引き算を習っていたと思うのですが、生活の中で自分でお金を持って買い物することがない田舎の子供だった自分には、初めての100円玉を使った日が、本当の引き算を勉強した日でした。

2時間の算数演習

きっと、今時の子どもたちは、幼稚園の頃から、環境があらかじめ用意された「初めてのお使い」や、”知育玩具”と呼ばれるセットでいろいろな引き算を経験してから小学生になるんでしょうね。片道30分の4セットで、ドキドキしながらノートをお店のおばちゃんに差し出す小学二年生、まだ日本にいるかなぁー?まさか、今時はスマート決済だったりして。

500円札は?

100円玉の初めての日は覚えているのですが、500円札を初めて使った日のことは覚えていません。えっ、岩倉具視の500円札を知らない? 世代の差を感じる今日の記事でした。 おしまい。