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#189 「前書き」「後書き」読みのススメ

私の最近の楽しみは,書籍の「まえがき」「あとがき」を読むことです.

一番力の入った文章はどこにある?

 もしも自分が本の著者になったなら? さて,どこに最もエネルギーをかけて文章を書くでしょうか? 「全て同じ」と言う人もいるかもしれません. もし私なら,一番最初に書く「書き出し」あるいは最後の「むすび」だと考えます.

本文を読み始める前に

 「あとがき」から読むというのは,何か礼儀に反したり,ずるいことをするように感じるかもしれません.読み物的な場合には,最後の落ちを先に読んでしまい”ネタバレ”となり面白さが半減する可能性が高いです.

 しかし,特に授業の理解のために読むような本の場合には,「想定される読者とレベル」「本の内容の概略」が分かるのはとても意味があります.ときには,概要(Abstract)と図面・グラフだけを”パラパラ”と呼んで,本文を読まずに次の本を探して読むということ,専門書の場合多いと思います.例えば,学術論文の場合には,そのように行動することで,沢山の情報の中から必要なものを探し出し,目的のモノに出会えたら,じっくりと読むのが普通です.

講談社 ブルーバックス

 私が高校生の頃からの愛読書,ブルーバックスシリーズ(講談社)は,今でも時々図書館で借りて読んでいます.創刊は1963年で、新書版で多くの本は初めてでもわかりやすく読めます。(時々?本格的に専門用語が冒頭から出てきて少し難しいものもある気がします。そんな時には、他の読みやすい面白そうな本を探して読んでいます。)

『はじめての解析学 微分、積分から量子力学まで』 の 「はじめに」に感動!

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000275160

自然の本質は「変化」です。「変化」を調べる数学である解析学は、その誕生から自然科学と共に歩んできました。代数学、幾何学と並ぶ数学の中心的研究分野である解析学は、奇跡の19世紀を経て、20世紀になりさらに深化と抽象化が進みました。

 本文の最初に「哲学」と「数学」「天文学」との関わりのエピソードがあり、コレがとても面白かったです。ギリシアの数学、今にも脈々と繋がっているのがすごいと思います。後半の章は、内容が難しかったので”駆け足”で読み進めました。(前半が面白かったです。)

『論点・西洋史学』の「はじめ」と「おわり」は秀逸

 図書館の「新着コーナー」に置かれた本の表紙に惹かれて借りた一冊です.やはりその絵の意味は,「はじめ」に書かれてあり、思わず”なるほど”と頷けます.(ネタバレになるので詳細は書きませんが,,)

出版社のリンク https://www.minervashobo.co.jp/book/b505245.html

表紙画像のリンク

 タイトルに「論点」とか書かれてある理由や、「歴史を学ぶ」理由がとても面白かったです.この前書き文章の中の「歴史」という文字をを別のモノに置き換えてても、見事にその意味が当てはまると思えました。学ぶ意味の本質が書かれてあります。監修の金澤周作先生の頭の良さ(キレ)を感じる,「はじめ」と「おわり」だけでもこの本を読む価値はあります.

 多くの著者による「論点」は,歴史を専門にしない私たちにとっては,知らないことが多いですが,現在何が分かっていて,何が意見が分かれ議論されているかがわかり、歴史素人でもそれなりに楽しめました.この本の全てをしっかり楽しむのは多分無理なので,興味のある所を”通り過ぎながら眺めて楽しむ”ことができます.

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 この記事の写真は、図書館で最近購入し配置された書棚です。館内で人が必ず通る”メイン通り”に置かれ、”当然”、表面と裏面の両側には「ブルーバックス」が並んで皆さんとの出会いをお待ちしています。