見出し画像

#62 飛行機 と F1

前回は鈴鹿とF1について書きました。今回はNHKBSで放送された番組の感想について書かせてもらいます。BS1スペシャル「13年ぶりの栄冠!ホンダF1はなぜ勝てたのか」2020年1月1日(水)午後20時から2時間 https://formula1-data.com/article/nhk-bs-special-why-honda-win-f1

 F1に復帰してしばらくはホンダは勝てずに、すぐに壊れるエンジン(パワーユニット)で苦しんでいました。昔のように自由な開発はできず、いろいろな制限のある中での技術的な戦いです。ターボエンジンで常勝ホンダだったころのノウハウは何も使えず、新入生として先輩チームに追いつこうとしていました。

 番組で紹介されていてホンダのすごさの一端が垣間見れました。ヨーロッパの強豪チームとの違いです。ホンダは、飛行機と市販車の両方を製作しているという強みを発揮してシーズン終盤で驚異的な勝利を獲得し始めていました。新型コロナの影響がなければ、今頃ホンダは優勝後のお祭り騒ぎをいっぱいできたであろうに、本当に残念です。エンジンの高速・大出力の回転を伝える軸がレースごとに振動で途中で故障してリタイアを繰り返していたそうで、開発チームがお手上げの時に、ホンダJETチームに助言を求めたら、飛行機のジェットエンジンの開発者が一瞬で不調の原因と対策を指摘し、それを対処したら安定してレースを完走し他チームよりも良い結果が出るようになったそうです。例えば、フェラーリは、飛行機を作っていません。F1は高速走行するようになり、飛行機と同じような空気の抵抗を抑えるための設計が必要となり、それは飛行機の設計と同じだと以前から言われていました。パワーユニットも、ジェット機の開発に近い高速領域に入りつつあるようで、ここでホンダの総合力が発揮されました。宗一郎さんが、いつか飛行機を飛ばしたいと言っていた夢が、F1にも還元されたことになります。きっと天国で、二つの夢がかなって喜んでいることでしょう。

 もう一つは、市販車を作っているというホンダの強みです。ホンダは、全国の事業所に製造と合わせて部品試作・現場開発も分散させているようで、F1マシンの部品作成を、中央の研究所以外に国内の事業所にも部品供給を依頼して完成させ、短納期で仕上げ海外に発送したそうです。スポーツカーのメーカには無理な仕事です。また、事業者が中央からの指示だけで動いているメーカでもこれはたぶんできません。自分たちで考えてモノづくりをするという宗一郎さんの精神が息づいているからできたのだと思います。

 Hondaという会社はすごいなと思います。本田技研工業という社名からして、「二輪・四輪以外も作りますよ」という精神がぎらぎらと伝わってきます。技術を研究してモノ作りするという社長のmotto(モットー)が伝わってきます。

 本田宗一郎さんと同じくすごいなーと思う人に、建築家の安藤忠雄さんがいます。彼の会社名も奮って(ふるって)います。「安藤忠雄建築研究所」であって、”設計事務所”ではないんですね。周りの会社名を、もう一度正式名称を見返してみてはいかがでしょうか?コマーシャルなどでは略称であったりするので登記された名前とは違う場合もあります。規模の小さい会社、創業間もない社歴の短い会社、ウェブページの”沿革”というところに「社名の由来」が書かれてあれば、そこには創業者のmottoが書かれてあるはずです。motto会社のことがよくわかるようになるかもしれません。、、、お後がよろしいようで。

(写真:前回記事で紹介したマン島レース出場マシンのエンジンシリンダの紹介をしていただいたときの様子)