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#15 データ ダイエット

  遠隔授業を開始して,はじめて気づくことが幾つもあった.情報を伝える通信回線もその一つ.

 多くの学校で遠隔授業が始まり,日本のインターネット回線全体の情報を流すことができる速度の上限に近づきつつある.不要な大量データは削減(ダイエット)して,必要な時にだけ顔画像情報などを送ろうという取り組み.

 身近な水道に例えるなら,水道管の太さについて,普段気づかされることはない.もし気づくということは,何らかの不便を感じるときだろう.家族全員が水道の蛇口を開けたら水の出が悪くなるということは,最近の住宅では少ないだろう.

 インターネットを用いた遠隔授業をスマートフォンで受信する際には,wifi接続ができない場所では回線契約での最大値を超えるといわゆる”ギガ不足”になりかねないが,ニュース報道によると各通信会社が学生の遠隔授業配信を期間限定でサポートするとのこと.

 もういちど水に例えるなら,水道から汲みだせる水のトータル量を言っているだけで,水道管の太さを変えたわけではない.日本中の水道の蛇口が同時にすべて開けられたらどうなるだろう?たぶん,水の流れは滞るに違いない.遠隔授業で,映像を配信続けると多くの情報が回線を流れる.

 教科書を読んでノートに文字を書いている時間など通信しなくてもよい時間帯を,みんながネットワーク回線の使用を中断することで回線に余裕ができる.自分が配信する授業でも心がけようと思う。”情報の水道管ネットワーク”に,ほんの少しの優しい気づかいをする”思いやりの蛇口”をみんなで開こう.

 目に見えないものに気づくのは難しい.サンテクジュベリの”星の王子さま”も,確か バラ? 蛇? に向かってつぶやいていた気がする.久しぶりにあの本も読んでみよう.

  遠隔授業を開始して,はじめて気づくことが幾つもあった.目に見えない,みんなの”やさしさ”もその一つ.

(写真:古代ローマの遺跡:水道橋)