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もしも「死にたい」と言われたら

#死にたい 」と誰かに告げることは
"死にたいくらいつらい"ということです。
  
そして、もしもこの辛さを少しでも
やわらげることができるなら…
#本当は生きたい 」のです。

自殺を考える人は「死にたい」のではなく、
「自分が抱えている困難な問題を解決したい」
だけなのです。
 
-ーー引用: 松本俊彦著
『もしも「死にたい」と言われたら』


 
わたしは元々
日本の自殺者数の多さに問題意識をもち
新卒で精神科病棟配属を希望して
看護師として働き始めました。
 
そこでは沢山の
自殺企図をした患者さんたちに出逢いました。
 
自殺企図をきっかけにして
家族との絆が強く結ばれた方もいたし、
 
あんなに穏やかな笑顔を見せていたけど
退院後すぐに
風のようにこの世を去っていった方もいた。
 
「死んで欲しくない」
「どうか生きて…」
そう思うけど、
 
でもわたしは未だに、
自殺がいけないことなのかそうじゃないのか
その答えは出ていません。
 
その人の抱える辛さを
わたしが代わることは、できないから…
 
でも、やっぱり、
自分が一瞬でも関わった人には
生きていて欲しいから、
 
さまざまな仕事を通して
「あなたはかけがえない人だよ」
というメッセージを送り続けているのかも
しれません。


日本の自殺の現状


日本では毎年2万5千人以上の方が
自殺者で亡くなっています。
 
先月、8月だけで自殺で亡くなった方は
1849名(警察庁Hpより)にものぼります。
 
いまこの瞬間「死のう」と真剣に考えている人は
あなたのすぐ身近にいます。
 
約50名の方が昨日命を落として、
また今日も別の50名の方が
自ら命を経ちます。
 
小中高生の自殺者数は毎年300名あまりです。
妊産婦の死亡理由の第一位は自殺です。
去年、親子の無理心中で亡くなった
子どもは21人います。
20〜39歳の死因の第一位は自殺です。
 
これを読んで、あなたがもし胸を痛めたなら、
あなたができる小さなことを
今日から行動に移してください。
 
なにをすればよいかわからない方、
あともう少しだけ、
この先の文章を読んでください。
 

「死にたい」気持ちの背景


「死にたい」と思う人の背景には
「所属感の減弱」と「負担感の知覚」
があります。
 
「所属感の減弱」とは、
「居場所がない」
「自分を必要とする人などいない」
という感覚です。
 
「負担感の知覚」とは、
「自分が周囲の迷惑になっている」
「自分がいない方が周囲は幸せになれる」
という認識です。これが、自身の存在に対する
罪悪感を生じさせます。
 
そうした所属感や負担感というのは、
案外日常の小さな出来事の中で
増えたり減ったりします。

私たち一人一人にできること

例えば、
レジでお釣りを丁寧に渡してもらったり
気持ちの良い挨拶をしてもらったとき
落としたものを通りがかりの人が拾ってくれたとき
自分の投稿にいいねやコメントをもらったとき
たまたま入ったトイレに花が飾ってあるのを見たとき
 
そんなとき、気持ちがふっと軽くなったり
心が癒されたりしませんか?
 
そうした小さなことが集まって、
私たちの日常は形成されています。
 
社会を作っているのは、
わたしたち一人一人、なんですよね。
 
すごく特別なことを、
する必要はないのだと思います。
 
あなたの小さな優しさに
救われる人がいます。
 
そして、身近な人を自殺企図で亡くされた方、
どうか勘違いしないで欲しいのは、
あなたのせいで、その人が自殺してしまった
わけではないということ。
 
人の命は、一人では守れません。
人の命は、社会で守るものです。
 
だからあなたの大切な人を守れなかったのは、 
決して「あなたのせい」ではなく
「私たちのせい」なのだということを
どうか心においてほしいです。


さいごに

昨日、才能あふれる女優さんが、亡くなられましたね。
心安らかに、ご冥福をお祈りします。
 
今日の投稿は、冒頭でも紹介した
松本俊彦著 『もしも「死にたい」と言われたら』
を参考に書いています。 
 
この本は、
日本の自殺予防の研究・治療の第一人者である
松本俊彦先生が、自殺リスクの評価と対応に
ついて、医療者や患者を取り巻く人々に向けて
書き下ろした一冊です。
 
自殺に及ぶ背景から具体的な支援まで、
詳細に書かれており、大変参考になる本です。
 
より深く学ばれたい方は、
どうぞお手に取ってください。

松本俊彦著『もしも「死にたい」と言われたら』

 
ここまで投稿を読んでくださった方、
本当にありがとうございました。

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