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全ての女性は異なるトンマナを持つ

昔からピンクが苦手だ。
正確に言うとピンク色自体は好きだけど、まとめられるのが苦手なのだ。
「女の子は小さくて華奢でおとなしくて可愛いものが好きで…」と目指すべき姿のようになっているものに、昔から従えない。それを世間が一言で言っているのが「女の子ならピンクが好きだよね」だと感じている。

可愛くなりたかった頃は、ピンクを纏ってみようともした。ピンクに限らず、一般的に可愛いとされるものを身につけて、周りから「女の子枠」として認めてもらえるようにともがいていた。20代半ばの頃にハッと気づいて、自分にとっての似合うもの・気分の上がるものを理解するまで長い道のりだった。

昨年7月に女性だけのオンラインスクールSHElikesに入会した。
健康で権威を欲するタイプの男性をベースとして作られた組織で働いて怒ったり疲れたりしていたので、男性ベースの立ち振る舞いをしなくて良い所に所属できたことにホッとしていた。
それでもやっぱり最初は「女性なら〇〇」を感じてしまうものを避けたがった。当たり前だけどSHEには「女性らしさ」があった。女性らしい色、空間、雰囲気、性格、話し方…

自分が女性であることからは逃れられないし、男性になりたいわけでもないし、考え事の根底には常に自分の女性性がある。
でも、「女性なら〇〇」に当てはまれない。「私なんて…」と自分の能力を卑下したことはない。
「参加できただけで偉い」とも特に思わない。
マイナスからの飛躍、というドラマを自分に求めていない。
様々な盛り上がりを眺めながら、自分はSHEが型取る「女性」ではないんだなと思った。

勉強して技術を身につけられればいいや。私はそれで充分。
そう思ってしばらくはひたすら受講ばかりしていた。
一人で構わないと思っていたものの、幸いなことにTwitterで交流してくれる人達がいてだんだん楽しくなってきた。クラスの中心で輝いている女の子達の存在を意識しつつ、教室のすみっこでいつもの数人と過ごしている。そんな高校生の頃の身の置き方とほとんど同じ感覚だった。(ごく数人で互いにしか分からない漫画やバンドの話をするのは、それはそれで格別に楽しい)


捉え方が一気に変わってきたのは、イベントに参加し始めたことがきっかけだった。受講生の女性達が企画しているイベントに次第に顔を出すようにしてみたら、「個人の輪郭」がはっきり見えるようになった。教室の中心の輝いている女の子達だとぼんやり思っていた一つのまとまりが、一人一人違う姿をしていることが鮮明に分かるようになった。

同じ場所に集まっていてもSHEの活用や参加の仕方は自分で決めているし、一様にキラキラして見えた笑顔も、笑っている理由が皆違う。
教えを乞う側といってもそれぞれ背負ってきた経歴や特技があって決して弱い存在ではない。自分とは全く違う世界を踏ん張って歩いてきた女性達が、それぞれの世界で身につけてきた強みを発揮している。
これはキャリアに限らず物事の捉え方や人との関わり方、自分との向き合い方など様々な面で言えることだった。

そして彼女達は一概に「女性のピンク」を纏っているわけではなかった。もちろんピンクを好む女性もいる。ただそれは「女性ならピンクが好きだよね〜」と外から押し付けられた型ではない。ピンクを好む人にはそれぞれが見定めるピンクがあるのだ。

トーン&マナー(文章やデザインなど表現の一貫性・統一性。SHEで勉強しているとよく耳にする)いわゆるトンマナを、皆はっきりと持っている。
好きな色やテイストに限らず、マインドや人との関わり方や目指していることや全てに、その人だけのトンマナを持っている。

でも自分のトンマナを自分で理解できていないと、「女性なら〇〇だよね」に自ら当てはまりに行って安心したくなるのかもしれない。
それが決めつけから来るピンク色に始まり、他者との関わり方や生き方にも影響する。なんとなく世間の声に従って、自分は本当は望んでいないのに周りが勧める方向を選んでしまったりするのだろう。


イベントに参加するようになって良かったと思う。近づいたら解像度が高くなった。一様に見えて実ははっきりと違う。内省して努力して、自分の人生を自分で決めようとしている女性達がよく見える。

その解像度の高さは自分にも返ってくる。私はどうだろうか。
SHEにいる間に自分のトンマナの精度を上げていきたい。

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