1/19 【放浪者】
「メーデー、メーデー。未だ砂漠。繰り返す、未だ砂漠。」
あれから3回、日と月が交互に入れ替わりましたが、まだ目的地には着きません。
ラクダがいなくなった今、勘を頼りに歩くばかりです。
喉がカラカラになって今にも意識がなくなりかけていたその時、砂漠の真ん中で泣いている1人の少年を見つけました。
話を聞くと、どうやらお腹が痛くて動けないそうです。
常備していた胃薬を飲んでもらうと、しばらくして無事回復したようで、お礼に少年が住んでいる集落まで案内してくれました。
少年宅の近くに水が流れていたので一目散に駆け寄り、夢中で飲みました。満腹になるまで飲み終えた後、少年が一言。
「それ排水だよ。」
辛い時こそまずは自分から他者に手を差し伸べましょう。きっとその恩恵は自分に返ってきます。
とりあえず今、これだけは言わせてください。
ラクダよ、多分今からそっちに行きます。
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