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花束を、私に

またしつこく、元旦那の話

やけに勘が鋭いというか
虫の音というか

知らなくてもいいことに辿り着くのは
私がドMってことなのだろう

結婚したのを知ったのは、今年の春
地元のクリエーター同士、と言うのだろうか
それはそれは祝福される結婚だったようだ

奥さんは私も元々知っていた人で
文句のつけようがない
素晴らしい人だ

たくさんの人から好かれて応援される
それでいて、しっかり自分のビジョンも持っている
何というか、心底素敵な人だ

結婚もさることながら
何がきつかったかって、
子どもができてたことだ
これはなかなかに、胸を貫いた

不妊治療をしてたけど授からなかった過去
そして今、子どもを授かったという事実

自分とはもう何の関係もないし
これからも繋がることはない他人だけど
やっぱりどうして、この事実はキツイ

先週、無事誕生したとのこと
各種SNSで報告されてるのを
ご丁寧に見て回る元嫁←ワタシ

そっかーそっかー
おめでたいことだよね
おめでとうです

溢れる祝福の言葉の外で
その光景を眺める私がいた

これは虚しいのか?
虚しいかもしれない

悲しいのか?
悲しいかもしれない

ポツンと外から眺める私に、
花束を持って近づく私がいた

去年の春、離婚して5年目にして初めて元旦那に会いに行ったことがある
お互いの十字架をおろした日だったと思っている

その後、彼は新たなパートナーと人生を共にすることを決意し、新たな命も授かった

彼や彼女は祝福する人で囲まれている
私は、私に近づく

「あの春の日があったからこその、この光景だよ」

そう、自分に言いたい
誰もそうは思わないだろう

でも、自分は知ってる
あの春の日のことを
一歩踏み出したのは、私だったってことを

そう思ったら
もう少し素直に「おめでとう」が言える気がした

私に、花束を送ろう
悲しいことではない

勇気を出した私を、誇りに思う日だ