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私が井上尚弥の試合を最後まで見れなかった理由。

昨日は8時50分に退社して、最寄りの電気店ヨドバシカメラにダッシュしたら、9時10分から始める井上尚弥の試合にギリギリ間に合った。

到着すると、アクオスの超巨大高画質テレビの前で、五人のおっさんが腕を組み、真剣な表情を浮かべていた。

私はおっさんをかきわけて、アクオスの真正面で観戦した。

試合が始まると、最初五人だった観戦者は徐々に増えていって、15人くらいになった。

井上尚弥がパンチをもらうと私は思わず「うっ」と言ってしまい、隣のおじさんも「うっ」とうなり、その隣のおじさんは「ヤバ」と言った。

最初は攻勢だった井上尚弥は、目の上を出血してから明らかに調子が悪くなった。クリーンヒットを何発かもらった。いつもだったら速攻でKO勝ちするのに、すごいひやひやする試合展開になった。

9Rあたりでドネアの強烈パンチをもろに浴び、フラフラになる場面があった。「やば、これ負けるんじゃね?」私がそう思ったとほぼ同時、目の前に人が来て画面を遮った。

「閉店の時間です」店員が無情にもテレビを消した

まじかあああよおおおおお、とその場にいた15人全員が思ったのだった。


最大の誤算は井上尚弥がどうせ2Rくらいで勝つだろうという甘い見立てを持っていたことだった。だからこそ、ヨドバシカメラの閉店時間を考慮に入れていなかったのだ。

もう、NHKの料金払うの嫌だからテレビ買わない、なんて考えるのやめようと私は思ったのだった。

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