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一日一句【菜根譚】#93『高絕褊急,君子謹戒』バランスを保つことの重要性

高絕褊急,君子謹戒

訳文:

高山の処には往往にして草も生えず、溪谷が巡る処には草木が繁茂する;水流が急な処には魚は生きられず、深潭(しんたん:深い淵)が静水する処には魚が群がる。過度に高潔であれば生気がなく、行動が激しけば仁愛が欠ける。君子はこの点について特に戒めなければならない。

解説:

この『菜根譚』の警句は、人々が世の中を渡っていく上で、傲慢で急躁な態度を慎むべきであると諭しています。自然界においても、峻険な山嶺には草木が生えず、激流には魚が生きられないように、過度な清高さは孤独を生み、過激な行動は反感を買うものです。高潔すぎると生気が欠け、行動が急進的だと仁愛が欠けるとも言えます。

真の君子たる者は、中庸平和の道を歩みます。彼らは自身の信念を貫きながらも、他者の意見を尊重し、高尚な境地を目指しつつも、普通の人々の気持ちにも寄り添います。深潭が百川を受け入れるように、君子もまた、広大な胸襟で万物を包容するべきです。

私たちは、社会で生きる上で自分の基準を持つことが大切ですが、「過ぎたるは及ばざるが如し」という古い教えを忘れてはいけません。何事もやり過ぎると、その効果は何もしないよりも悪くなります。自分の意見が正しいとしても、他人の考えを受け入れる包容力が必要です。

自らの人格力をもって周囲の人々を感化し、説得することが求められます。これが、真の君子の在り方です。

バランスを保つためのヒント

日常生活においてバランスを保つためのいくつかのヒントを紹介します。

  • 柔軟な姿勢を持つ: 自分の意見を持ちながらも、他人の意見を尊重し、必要に応じて調整する。

  • 感情を考慮する: 理性的な判断だけでなく、人々の感情や状況を理解し、配慮する。

  • 持続可能なアプローチ: 急進的な変化ではなく、段階的な改善を目指す。

この教えを心に留め、日常生活に生かしていきましょう。バランスを保つことで、私たちはより豊かな人生を送ることができるのです。


このように、古い教えには現代にも通じる重要なメッセージが含まれています。これからも皆さんと一緒に、様々な古典から学び、それを現代の生活にどう生かしていくかを考えていきたいと思います。

一日一句【菜根譚】#94「居官杜幸端,居鄉敦舊好」「古の知恵から学ぶ:役人としての心得と地元での振る舞い」


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