SCM 実話 桜庭支配人の現場一直線  第十四話

桜庭支配人の現場一直線 第十四話

<登場人物>

桜庭支配人~ このシリーズの主人公。
株式会社アジア開発 入社2年目の新人にして現場の支配人の辞令を受けた。
35歳 結婚式場の責任者の経験はまったく無く、営業の経験も無い。ないない尽くしで自信もないまま 指導を受けて独り立ち上がる。
河野俊一~ 隣町の結婚式場の支配人。同じアジア開発の社員で、やはり支配人として人材派遣された。桜庭より1年早く入社して現場に配属されいた。30歳。
後藤部長~ハートロード結婚式場の営業部長。営業部10年目。現場のたたき上げで
     規則を守ることに厳しい。現場の鬼と呼ばれている。32歳
石原とよ~ バンケットマネージャー。ハートロード結婚式場の創立メンバーで、地元の顧客には顔きき役。親分肌で面倒見もよく、影のボスといわれている。52歳。
白石庄平~地元の生命保険のトレーナーで引退後も後輩の面倒を見ながら研修会に参加している中で桜庭と出会う。72歳。

大林友子~ハートロード結婚式場の専務婦人。フロント予約課課長。
内田悟~ハートロード結婚式場営業部課長代理。
柏崎理恵~ハートロード営業課長で最古株社員。営業の実力ナンバーワン。
小森友和~ハートロード結婚式場営業部主任。

・毎日やってくる老人営業マン

次の日の朝礼で 後藤部長もサルのぬいぐるみを着た感想を述べてもらい、女性スタッフが大笑いしている最中に、突然白石さんが自転車でやってきた。
何でも運動の為 毎朝 自転車で10キロほど走っているのだそうだ。
「今日からね サイクリングコースの中にここを入れるからね。」
「ところで、宴会のパンフレットあったら10部くらいくれないかい?」
桜庭があっけに取られていると、女性スタッフがあっというまに50部くらい多めにチラシをもってきて
「営業お願いします」
といつの間にかここの社員のようにお願いすると、あっという間にいなくなってしまった。

桜庭は白石さんの話をする為に、そのあと2階のバンケット控え室にいって井戸端会議を始めることとなってしまった。
「ところで 白石さんが石原マネージャーに答えを聞いてみたら、といっていたんだけれど どう思う?」
「それはね、息子さんが帰ってきてくれることだと思うわ」
「そんなこと不可能じゃない」
「だから 支配人を息子のように思っているんじゃないんですか、、、本当に鈍感ね、この人は、、」
「そ、そんな まだ会って間もないのに。、、、、」
「それが 何よりの証拠に 明日も 明後日も 毎日あの人来るわよ。」
石原さんの予言は的中した。
この熱心な老人営業マンは次の日もその次の日も、ぴったりの時間にチラシをもらいに来て自転車コースの家々にビラを配り続けた。やがて、白石さんが自分で申込書を書かせて宴会が入りだした。

其の宴会がある日には白石さんも必ず一緒に来て桜庭支配人の補佐をした。
「支配人 誕生日のお祝いパーティなんかもやってくれるのかね」
「小学校の先生方が運動会の後に先生の慰労会をやるというだが、なんかいいメニューはないかね。」
「小児科の病院で佐々木病院というのがあるのだが、今度看護婦さんたちの慰労会を30名ほどでやるというのだが、、、」
「内の保険営業マンの顧客に家族のミニパーティをプレゼントしたいのだが、、、」
こうして、白石さんから止め処も無く宴会の紹介と企画を頂くようになり、白石さんはこの式場の無償の営業マンとしていつの間にか定着した。
そしてついに、桜庭支配人にとって記念すべき日が来た。

「支配人 実は私の教え子が結婚するというのでここを紹介したいのだが、面倒見てもらえないだろうか。」


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