SCM 実話 桜庭支配人の現場一直線  第十一話

桜庭支配人の現場一直線 第十一話

<登場人物>

桜庭支配人~ このシリーズの主人公。
株式会社アジア開発 入社2年目の新人にして現場の支配人の辞令を受けた。
35歳 結婚式場の責任者の経験はまったく無く、営業の経験も無い。ないない尽くしで自信もないまま 指導を受けて独り立ち上がる。
河野俊一~ 隣町の結婚式場の支配人。同じアジア開発の社員で、やはり支配人として人材派遣された。桜庭より1年早く入社して現場に配属されいた。30歳。
後藤部長~ハートロード結婚式場の営業部長。営業部10年目。現場のたたき上げで
     規則を守ることに厳しい。現場の鬼と呼ばれている。32歳
石原とよ~ バンケットマネージャー。ハートロード結婚式場の創立メンバーで、地元の顧客には顔きき役。親分肌で面倒見もよく、影のボスといわれている。52歳。
白石庄平~地元の生命保険のトレーナーで引退後も後輩の面倒を見ながら研修会に参加している中で桜庭と出会う。72歳。

大林友子~ハートロード結婚式場の専務婦人。フロント予約課課長。
内田悟~ハートロード結婚式場営業部課長代理。
柏崎理恵~ハートロード営業課長で最古株社員。営業の実力ナンバーワン。
小森友和~ハートロード結婚式場営業部主任。

現場の方々を巻き込み 同意を得て さらに納得を得ながら進める方法が最良なのだ。
今まで自分は孤立して一人で答えを出し一人で考えの洞窟の中にはまり込んで解決してきたが、結局それは本当の解決ではなかったのだ。

桜庭は、こうして宴会の申し込み客の過去の名簿を丁寧に書き写して、幹事さん一人ひとりに丁寧に御礼の挨拶の手紙を書き始めた。また、宴会があるたびに挨拶に入り、翌日には御礼の訪問を繰り返した。そうする中にも、決して宴会を申し込んでください、という営業の言葉は使わないようにした。
使っていただいた御礼と不行き届きの取材、そしてさらに幹事さんの家まで訪問して、お茶を飲みながら仕事上の苦労話や家庭の事情を聞き続けた。


こうして訪問してみて、桜庭はびっくりすることが多かった。
訪問するといろいろと難しいことを言われるのではないか、文句を言われたらどうしよう、さまざまな桜庭の悪なる想定を裏切って、
「イヤー、よく来てくれました。」
「熱心ですね、上げってお茶でもどうぞ」
という反応ばかりだったのである。

中には 宴会を何回もやっているのに、こうして挨拶に来てくれたのは初めてだ、というところもあり、実は宴会を利用した方々は、集金されたあと、何かの営業的な用事が無い限りは声をかけられることが無く、この済み客名簿はいわゆる「見捨てられて名簿」となっていたのだった。


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