小説家になれなかった私が、半年間マンガを描き続けてわかったこと #コルクラボマンガ専科
この記事は、
20年以上小説家を目指しながら、一作書き上げることすらできなかった私が、マンガを始めて半年で、メディアで取り上げられたり、フォロワーが5000人増えたり、電子書籍が出版できたり…
半歩だけでも前に進めたような気がするのは何故なのか?
という、創作について自分なりに考察したnoteです。
ちなみに、マンガを始めた半年というのはコルクラボマンガ専科というマンガスクールをオンラインで受講していた半年間でもあるため、マンガ専科自体の振り返りにもなっています。
先に結論を言うと、
①創作は「才能」だと思っていた。
②作品は、完璧になってから人に見せるものだと思っていた
③いきなり創作・アート作品を目指していた
④仲間がいなかった
の4つが小説家を目指していた20年以上で私が作品を作れなかった原因だなと思っています。
創作で悩んでいる方がいたら是非読んでみてください。
【前段1】 20年以上小説家を夢見ながら、作品を完成させることできなかった
物心ついたときから本が好きだった。図書室に何時間でもいられる子供だった。
「作家になりたい」と思ったのは小学校四年生のとき。学芸会の劇の台本を書いて採用され、本番も大成功し、先生や生徒が喜んでくれたという成功体験がきっかけだった。
その後、何回か短編小説を書いて賞に応募したりはしていたのだけど、中高生になると友達付き合いや部活などで忙しくなり、だんだん書かなくなってしまった。
大学生になると映画が大好きになり、映画の原作になるような脚本を描く人になりたいと思った。
でも、現実を考えるとお金は必要だったので、とりあえず就職することにした。
就職すると次は・・・仕事や恋愛が忙しくてやっぱり書かなかった。
それでも、仕事がうまくいかなかったり、私生活での辛いことがあって(あーもう死んでもいいなー)などとぼんやり考えるとき、
世の中に何が一番未練があるか?と考えると・・・
そこには「死ぬ前に1作でいいから書きたい!」という気持ちがいつも残っていた。
20代後半、私は小説に再び取り組みだした。
しかし、冒頭を描くだけで一向に完成させることができないのだ。
「こんなの駄作だ!」「つまらん!」と、仕事の合間に冒頭を書き、消して、ということが何年も続いた。
その頃私がよく悩んでいたのは、「芥川賞を目指すか、直木賞を目指すか」ということだった。
本当にバカバカしい悩みだが、当時は過去の芥川賞や直木賞を受賞した小説を読んで傾向と対策を考えるくらい、本気で悩んでいた。
ちなみに、受賞式に何を着ていくかとか、受賞後に有名になったときはどういうメディア戦略でいくかまで考えていた。「取らぬ狸の皮算用」とはこのことである。
そして小説家になりたいという夢ばかり膨らんでいき、小説は完成しないまま20代は終わってしまった。
【前段2】マンガを半年間描き続けたら電子書籍になった
30代になり、周りの友達や家族の面白かった言動などをメモして、暇な時にチラシの裏に落書きのような4コママンガにしていた。
(こんなやつ) https://twitter.com/jyudenkireta/status/1222800221610004480?s=20
それを夫が褒めてくれて、ツイッターにたまにアップするようになった。フォロワーは200人いないくらい。いいねが10件つくだけでも嬉しかった。
そんなとき、マンガ専科の応募を知った。
(もうちょっとうまくなりたいな・・・)(でもマンガ家になりたいのかと言われるとわからない・・・)というふわっとした感じだったので迷った。
夫が「無駄にはならないからやってみなよ、子どもは俺が見るし」と背中を押してくれた。
自粛や妊娠で暇だった上にオンライン講座が決定したのも追い風となって応募してみた。
そして、講座開始時はコマ割りもできなかった素人の私が、半年間マンガを描き続けることになった。
(5月の最初に講師の佐渡島さんにもらったコメント。「全ての絵にコマを入れてみよう!」)https://twitter.com/sadycork/status/1261419535757795329?s=20
ツイッターのフォロワーが5000人になり、バズった作品がメディアに取り上げられ、ヤフーニュースにも何回か載った。
最終的には連載していたエッセイマンガをまとめて電子書籍を出して、新しく卒業課題の32ページの創作マンガのネームを完成させることもできた。
(note、twitterでセルフ連載していた「偽装キラキラ女子」。4ヶ月かけて毎週1話ずつアップし、70ページ描きました↓)
もちろんこれでマンガ家になれたとは全く思っていないし、プロから見たら「ツイッターだけでウケる落書きね」というレベルなのだというのはわかっている。
決して自惚れているわけではない。
でも、でも・・・
20年くらいなりたかったのに一歩も進めなかった小説家よりは、マンガ家のほうが半年で半歩だけでも近づけたのは間違いないと思う。
ちなみに、忙しさで言えば、育児中なこともあり、20代の頃より今の方が時間がない。
では、なぜなのだろう、というのを考えたのでまとめてみようと思う。
【小説家になれなかった理由①】創作は才能だと思っていた。
コルクラボマンガ専科は、「秘伝のテクニック」ではなく、「努力の仕方」を教えてくれる場所だった。
感情を知る、感情の表現方法を知る、情報を伝える力をつける、毎日描く習慣をつける、お話の型を覚える・・・
小説を書くときに私がイメージしていたのは、「ある日すごいアイデアが天から降ってきて、それを一気に書き上げる」みたいな、天才の姿だった。
しかし、マンガ専科に入ってわかったのは、創作も料理やスポーツと一緒。地力を鍛え、ルールと基本を知り、一度型通りに作れるようになってから、自分の型を見つけていく。
村上春樹のように野球場でなぜか自分は作家になれるぞとひらめき、最初に書いた作品が新人賞を受賞し、デビューしてどんどんスター街道へ…みたいな人もたまにはいるのかもしれない。
が、他の多くの人はコツコツと書いて勉強して書いて勉強して書いて、その果てに何かがあるのだ。と気がついた。
なので、「コルクラボマンガ専科」は天才型の人や、もう基本はばっちりだからテクニックを増やしたい!という人には向いていないだろう。
努力して上手くなりたい、基本を身に付けたい(おさらいしたい)という人にはぴったりだったと思う。
【小説家になれなかった理由②】作品は、完璧になってから人に見せるものだと思っていた
わたしは自分の小説を、完璧なものができるまでは人に見せるつもりがなかった。
誰にも小説を書いていることを言っていなくて恥ずかしかったのもあるし、中途半端なものを見せてつまらない、才能がないと思われるのが怖かったのだ。
これが作品を書き上げられなかった大きな理由だったと思う。
マンガ専科で最初に言われたのは、「ネーム状態、下書き状態でいいから毎日1ページアップしなさい」ということだった。これは最初すごく辛かった。
(こんなの本当のわたしの実力じゃないんです!)という言い訳、(いいねやコメントが0件だったらどうしよう)という不安、(毎日ってなに書けばいいねん)という戸惑い、、、
でも、みんなやってるから、課題だから、仕方ないと思って素直にやってみることにした。
もちろん、全くいいねがつかなくて寂しいときも、批判のコメントがついたこともあった。
でも、それ以上に得るものがあった。
それは自分の中にあるものを出して並べてみて、人の反応がみられるということの大切さだった。
こういうのが面白いと思ってもらえるのか、自分はこういうのが得意なのか、本当はこれが書きたかったのか・・・と、一人では気がつけなかったいろんなことに気がつくことができた。
(下書き状態でアップしたのにたくさん反応をもらって、バズフィードさんなどにも取り上げられたマンガ↓)https://twitter.com/jyudenkireta/status/1299382308005269504?s=20
当初、夫婦のほっこり4コママンガを描いていたわたしが評価されたのは、そことはあまり関係ない、自分が感じてきた生きづらさと、そこからの解放を表現したマンガが多かった。
講師からは「感情表現が上手い」という評価をいただいた。
これは毎日いろんな作品を出してみないとわからなかったことだ。
小説を書いていたときも、少しでもネットに出してみたり、人に見せてみたら方向性が見えたりしたのかもしれない。
【小説家になれなかった理由③】いきなり創作・アート作品を目指していた
わたしは小説家を目指していたわりには、文章を全然書いていなかった。
副業でライターをしてみたこともあったのだが、すぐやめてしまったし、ブログもアカウントはあるもののほとんど書いていなかった。
理由はひとつ…わたしは、小説家になりたいという夢を大切にしすぎて、自分が創作以外の文章で評価されるのがイヤだったのだ!!!
マンガに対してはそんなプライドも特にないので、最初からエッセイを投稿した。
するとだんだんマンガっぽいものが描けるようになっていき、描く時間もどんどん早くなった。(最初は4コマで3時間くらいかかっていたのが、1ページで6コマ程度のマンガを30分で描けるようになった。)
佐渡島さんも、「まずは知っていることを描いてみよう」とよく言っていた。
授業で聞いたことをまとめたこの図をみて欲しい。
最初は、エッセイマンガなどの自分の体験を描けるようになるほうがハードルが低い。
マンガ専科では山田ズーニーさん講師による、「感情表現ワークショップ」というものが3回あった。
自分の人生でもっとも影響があった出来事や感情を文章で表現するワークショップを行い、それを後日マンガにするという取り組みだ。
(ズーニーさんの授業を元にわたしが作ったマンガはこちら。反応をたくさんもらい、ヤフーニュースやねとらぼ等にも取り上げられた↓)
https://twitter.com/jyudenkireta/status/1289890620157210625?s=20
まずは感情を知り、表現の仕方を身につけることが下地となり、創作を目指せるのだ。
余談だが、わたしは子供の頃からビートルズが大好きで、彼らの楽曲も完全にこの道を辿っているのだ。
初期は一人称で恋を歌う歌、シンプルでロックンロールな演奏だったのが、徐々に二人称になり、三人称の歌詞になり、恋愛だけでなく社会へのメッセージや人生の孤独や生きる意味を問うような作品が増えて行く。そしていろいろな楽器や演奏手法を実験的に試し、新しいサウンドを切り開いていく。
創作は全てこの道を辿っているのだろうと思った。まずは自分の知っている感情や出来事を表現できるようになり、そこからだんだん創作の領域に入っていく。
わたしが小説家を目指す上でも、日常の出来事を表現する力をまずつけていったらよかったのかもしれない。
【小説家になれなかった理由④】仲間がいなかった
わたしは小説を完全に一人で書いていた。親友や恋人にさえ打ち明けることがなかった。
何回か話してみたことがあったのだが、相手の反応が「あー…」みたいな感じだったのもあり、だんだん話さなくなったのだ。
今回、マンガ専科で、マンガという領域で初めて創作仲間ができたのだが、仲間がいることってこんなに力になるのかと気がつかされた。
弱気になったり、展開に悩んで、立ち直れなくなり、書けなくなることは良くあると思う。
仲間がいると、励まされたり相談に乗ってもらえる。
作った作品が無視されずに、バカにされずに、だれかに感想をもらうことができる。
それだけで少し描いてみようと思えるものだとわかった。
毎日描くという習慣に関しても、32ページを描き切るという経験にしても、みんなが頑張ってるからわたしも描こう!という良い意味での同調圧力がなければ続けられなかったと思う。
ツイッターでバズったのも、先輩や同期が反応してくれたおかげだ。
(偽装キラキラ女子を描くきっかけになったネーム?落書き?のようなもの。これにマンガ専科の同期たちが面白いとコメントをくれたことがきっかけで連載を始めた。↓)
https://twitter.com/jyudenkireta/status/1267084164664184833?s=20
マンガ専科での一番の収穫は「仲間」だと言っても過言ではないなと感じる。
【まとめ】マンガ専科を卒業し、私は今後どうしていくか
以上、4つのことが、わたしがコルクラボマンガ専科を通じて気がついた、小説を書けなかった理由の考察です。
まだまだ上手くなったわけではないし、マンガ家になれたわけでもないし、創作へのステップはまだ突破できていないけど、半年前に比べたらかなり成長はしたと思います。
そして、先日、ついに半年間の講座が終了し、卒業となりました。
このあと、もう一度小説家を目指すのか、このままマンガ家を目指すのか、それとも創作は趣味として楽しむのか・・・正直決めてはいない。
でも、どの道を選ぶにしても、マンガ専科で教えてもらった「正しい努力」を忘れずに日々作り続けていくことが、理想にしばられて立ち止まっているよりも、確実に1ミリでも前に進む方法だと思う。そういう実感のある半年間でした。
講師のみなさんや受講生のみなさんから本当にたくさんのことを学びました。
ありがとうございました!!!
コルクラボマンガ専科 は、今後4期生の募集もあるそうなので、気になる方は是非チェックしてみてください。
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ここでは努力の仕方に焦点を当てて描きましたが、創作で大事にしたい気持ちについてのnoteも書いたので合わせてどうぞ
マンガを描くのはなんのため?「マンガを描くのは自分が優れていると証明するためではない、マンガはコミュニケーションの道具だ」
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今度もtwitterやnoteでマンガ作品や、創作への道を投稿していく予定です。よかったらフォローしてください!
そして最後に、10/25より、電子書籍も発売中です!!
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