くじら
夕陽がリビングの窓を紅く染める時
大きなくじらが世界を飲み込む
吐き捨てられた誰かの言葉
居るのに居ないような言葉の意味
ひとりじゃないと唇を強く噛み締める女の子
もういいか。と強く何かを諦めようとする男の子
大丈夫だと微笑むあなた
いつもより早い速さで思考は時を超える
全てを要約するように桜は咲き
そして地面となった
くじらは大きな口でそれらを飲み込んだ
何も無かった
何も無かった
ただいまと声がした
大丈夫だと微笑む私
気付くと夕陽は沈み笑い声が響く
くじらは嫌いだった
でも今は
くじらも愛おしい
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