DTM制作裏話『ぐるぐる』
どうも、ロックが好きなボカロPの本田あいるです。今回は1/16に投稿した『ぐるぐる』について書いていきたいと思います。
裏話の前にアイコンの話
実は昨年の年末から新しいアイコンに変更しました。これは絵師をしている妹が描いてくれたもので、長年の夢が叶ったので凄く嬉しいです。このイラストに負けないような良い曲を作っていきたいと思います。
制作のきっかけ
この曲は現在メインで制作している曲が停滞してしまったので気分転換に作り始めました。王道進行のシャッフル曲というテーマだけ作って少しずつ肉付けしていくように進めていきました。僕には珍しく10日ほどであっさり完成した貴重な曲です。歌詞とメロディだけなら3日で仕上がっていたくらい安産でした。
歌詞について
この曲の歌詞は僕の恋愛観がもろに反映されています。主人公は自分の悩みやトラウマを恋人に打ち明けようとせず、独りで悶々と考えるメンヘラ野郎です。幸せになりたいけどなれない、大切にしたいけどできない、僕がどんなに辛くても君は横で何も知らずに笑ってる。他人とは心の底から分かり合うことはできない世界で、愛情という目に見えない物を頼りに生きている人間の滑稽さや儚さを書いてみました。ただこの歌詞の根幹は『それでも君と一緒にいたい』という希望(太陽)を信じて生きていくという前向きなものなんです。かなり分かり難いですが。
コード進行について
Key=A♭ 転調後=B
イントロ
D♭M7 E♭ Cm7 Fm7
Aメロ
D♭M7 E♭ Cm7 Fm7 / D♭M7 E♭ Edim7 Fm7
Bメロ
D♭M7 E♭ Cm7 Fm7 / D♭M7 E♭ A♭7 F#7
サビ
EM7 F# D#m7 G#m7 / EM7 F# Gdim7 G#m7
アウトロ
EM7 F# D#m7 G#m7 / EM7 F# D#m7 Dm7 C#m7 Cm7
この曲のコードはかなりシンプルでⅣ△7→Ⅴ→Ⅵm7→Ⅲm7の王道進行を繰り返すだけです。たまに挟むdim7でメロディにフックを作る感じですね。一番の特徴はサビでの短三度転調になります。考え方としてはA♭からA♭mへ同主調転調して更にA♭mからBへ平行調転調する感じです。実際に使う時はそんな事は考えずにMIDIを3つ上げるだけでOKです。あとはアウトロの最後に半音ずつ下げて帳尻を合わせればA♭に戻ってこれます。
使用したプラグイン
ドラム
ドラムはEZ Drumer3のBright room Artistというプリセットをそのまま使ってます。パラアウトで書き出した後にドラムバスにまとめてSmart Comp2で軽く整えただけの音が一番格好良いという事実がもうヤバ過ぎます。ヒューマナイズ機能も充実しているので機械ぽくもならないし、操作も簡単で音も良い最強のコスパを誇るドラム音源ですね。
ベース
ベースはMODO BASS2のジャズベタイプを指弾きで鳴らしています。今回はアンプも内蔵されているものを使用しているので100%MODO BASSの音になります。仕上げにTrackspacerを挿してキックが鳴った時だけ80Hz以下を少し抑えるようにすることで低音がダブつかないようにしています。キックとベースは低音の住み分けが重要だと思っているのでいつも試行錯誤してます。
ピアノ
ピアノはAddictive KeysのTight Studioというプリセットを少し高音を強調するように調整した音です。ソロで聴くと低音がスカスカなんですがオケに混ぜると良い感じになります。低音はベースとキックに譲るように意識しています。
シンセサイザー
シンセのリードサウンドは2種類の音をレイヤーしています。Pigments4のアタックの弱い優しい音とMASSIVE Xのマレットのようなアタックの強い音を混ぜることで「優しいけど輪郭のある音」を作ることができます。僕はシンセが苦手なので音が良いプラグインよりもプリセットが多いプラグインが好きですね。
ギター
今回はメインギターのYAMAHA RSS20のハーフトーンをML Sound LabのML5というアンプシミュレーターで鳴らしています。このML5はメサブギーのマークⅤという有名な高級アンプをモデリングしていて、クリーン~ハイゲインまで綺麗に出力してくれます。歪みの質感にマーシャルのようなザラつきがなく、とても滑らかでリッチなリードトーンがメッチャ弾きやすいです。EQの後段についているグライコで細かく音を作り込むこともできるので、音に拘るギタリストにもお勧めできます。たまたまセールで安くなっていたので買ってみましたが、予想以上に音が良かったので今後も使っていきたいと思います。CPU負荷はAMPLITUBE5よりは軽い感じです。
ボーカル
この曲は新しく導入した裏命(RIME)に歌ってもらっています。このライブラリは少年ぽい雰囲気が特徴でflowerが好きな人には刺さるんじゃないかなって思っています。歌い方の癖が強くて音程など修正する箇所が多かったですが可不には無い魅力があるので満足しています。そこにTR5のWhite 2Aで-7dBほどコンプレッションさせNectar3のAIアシスタントで仕上げてます。簡単で音が良いのは正義ですね。
マスタリング
マスタートラックにはsonible Smart Comp2のMIX Rockというプリセットを使い-2dBくらいのリダクション量になるようにスレッショルドを調整した後、izotope Ozone10で音圧を上げて完成です。昨年の年末にOzone9からアップグレードしたんですが、かなり進化していて更に使いやすくなってます。音像の幅も調整しやすいし、トランジェントの調整も分かりやすくなっています。もし購入するか悩んでる人がいるなら「時間が勿体ないからさっさと買ってしまった方が良いよ」と言えるくらいのプラグインです。izotopeさん本当にありがとうございます。
以上で『ぐるぐる』の制作裏話を終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?