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1. はじめての入院

私は乗り物酔いしやすいんだ。
私は今から知らない病院で急に入院するんだ。
私は今40度近くの熱と、耳まで届く喉の痛みがあるんだ。
とにかくタクシーの運転が攻めてた。酔った。
その上機械のトラブルでカード使えなかった。


入院予定の病院に到着。
係の方からCOVID-19予防についての説明や消毒を受ける。
高熱でふらつきながら、受付へ。紹介状を渡す。
携帯の電波が悪い。乗り物酔いも相まって気持ち悪い。助けてくれ。

しばらくして名前を呼ばれ、診察と様々な検査を受けることに。
正直、そんなに一気にいろいろ覚えられない。既に脳が限界に近いから。

診察を受けると、喉と鼻の奥がえらいことになっていた。
鼻に管を通すのが死ぬほど痛かったが、
医師の方が癒し系美人さんだったので、なんとか耐えることができた。
人間が好きでよかった。
ひとまず5日間を目安に入院が決まった。3点セットしか持ってないのに。

血液検査や尿検査(ここで自分の脱水状態を思い知る)、はじめてのCT検査など。
ぼーっとした頭のままどんどん進んでいく。ここはどこだ。
金髪にCAPSULEのTシャツに黒ジャージにピンクゴールドのエアハラチ。
見た目だけは誰よりも強かった。


もしかすると、事務手続きが一番辛かったかもしれない。
誰も付き添いのいない、急に入院が決まった高熱の人が、
いろんな契約を案内され、サインする。
もう頭の中は大混乱を通り越し、「無」だった。
聴覚過敏のため、大部屋は避けたい。二人部屋を獲得。NICE。


よくわからないけど着替えなんて持っていないし、
言われるがままにパジャマ類をレンタル。
部屋に案内される。
これが「入院」か。


緊急時連絡先等の書類には、「家族」を書かなければならなかった。
私は東京で一人暮らしをしている。家族は全員は九州に住んでいる。
母と父の名前や連絡先を、力の抜けた字で記入。
【病院までの所要時間 ( )分】という欄に、「?」と記入。
【病院までの移動手段 徒歩・自動車・電車】という欄に、「飛行機」と書き足す。
こんなところで、日本の結婚制度について考えを巡らせる羽目になるとは。
【持病】【服用中の薬】欄も大変だった。多いので。
健康な方にも、電子版おくすり手帳をお勧めします。私は愛用中です。


諸々の手続きは、ある程度意識がはっきりしてから確認しなおそう。
唯一合鍵を持っている彼氏に、最低限の荷物の手配を頼んだ。
院内の売店へ行く元気すら私には残されていなかった。
距離も手間もあるし突然のことで、感謝してもしきれない。ありがとう。
絵心やばい手紙が何通か入っていた。


点滴、気持ちいい。怖がっている余裕などなかった。
夕飯をまさかの食べ過ぎ(病院食が美味しかったです!)、休む。


針の通った腕の違和感、換気の影響で聞こえてくる別室の騒音、
聴覚過敏、体調不調、大量の汗と張り付く布団…
様々なことが相まって、その日は1,2時間寝ては目が覚めての繰り返しだった。


忙しさと心身の辛さで、この日のことはあまり事細かに覚えていない。
入院1日目は、たしかこんなかんじ。

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