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風穴を開ければ【#スナイパーの意外な使い方 #毎週ショートショートnote】

我が社は実力至上主義。

社員全員がチームというよりもライバル。他人を蹴落としてでも自分がのし上がらなければ、会社に居場所がなくなる。

どんな手を使っても。

俺はそんな社風にうんざりしていた。アットホームという言葉に惑わされ、入社したのが最後。黒い闇に染まったこの世界では、もうあの手段を使うしかなかった。

電話をかける。

「お疲れ様です。すみません、風邪を引いちゃって、今日は休ませていただきます」

スマホのスピーカーから何か汚い言葉が聞こえた気がしたが、俺の耳には届かなかった。そしてまた電話をかける。

「お待たせしました。それでは契約通りにお願いします。スナイパーさん」

俺は持っていた双眼鏡を覗く。視界の先には、闇に染まった我が社。

数秒後、爆発音とともに……闇に大きな風穴が開いた。

「任務完了っと」


すると「ハッピーバースデー!」と我が社から声が聞こえてくる。

窓の外から風船を割る上司へのサプライズパーティーは無事に盛り上がった。これで昇進できる、はず。

(421文字)


たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
先週は色々あって参加できませんでした。
スナイパーといえばゴルゴ13か赤井秀一のイメージを勝手に連想してしまう今日この頃。



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