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「声優になりたい」と言ったら会社の内定をもらった話

「内定です」


東京。高層ビル。
ガラス張りの部屋の中で
長崎の大学生が言われた言葉。

数ヶ月前までは、
"どうやって上京するかなぁ"なんて
考えていたのに。



数ヶ月前。

就活サイトでみつけた会社説明会に参加した。
社長の話に感銘を受け、
「せっかくだからこの会社受けてみたいな」
と思った。

当時の私は
「声優になりたい。
でも東京にいくきっかけがない。」
と考え込んでいた。

専門学校や養成所に入りたいという想いも
親には言えず、
こっそり受けた
オンラインの声優スクールで
学ぶくらいだった。

今思うと、”まずは上京しなよ”とおもうが
”どこを受けるか……いやでも、
就職活動もとりあえず……”と思ったのだ。

そして、受けたのが、
この転職支援の会社だった。



一次面接。
学生2人と面接官1人だった。

面接の雰囲気は、とてもフランクで、
楽しくお話できた。

はずだった。


男性の面接官が
こんな質問をした。


「将来の夢はなんですか?」



このとき、
”普通は御社でこのくらいの実績をとり〜、
なんて話すんだよなぁ”とおもいつつ

ふと
”まぁ、落ちてもいいから言ってみるか”
という気分になってしまった。

そして、
面接官の目をまっすぐとみて
「声優になりたいです」
といった。

隣の学生も目を丸くしていた。

面接官は驚いた顔をしたあと、
すぐにこう言った。


「え?面白いね。
どうしてなりたいの?」

私もまさか受け入れられるとは思わず、
拍子抜けした。

「え、あぁ。あの。
ずっとなりたいと思ってましたが、
親の病気もあり、
なかなか長崎からでられず…
でも、やっぱり自分がやりたいのは
演じること、声優をしてみたいんだな、
と就職活動を通して思い………」

なんてつらつら話はじめたのを
覚えている。

転職支援の会社で何を話しているんだ、と
我ながら思ったが、
社風として
「仕事をしながら自分のやりたいことをやる。
プライベートも充実させる」
という姿勢が評価されたようだ。

その後も会話が弾み、隣の学生も
「こんなことやってみたいんです」と
話し始めた。

一通りしゃべり終わったあと、我に返り、
「楽しかったけど、これは落ちたな」
と思った。
が、その場で二次面接の話になった。


後日、二次面接を受け、
「じゃあそれを実現するためにはどうするの?」
「うちの会社でどう働いていく?」
などの話が出たが、
自分の思いの丈をおもいっきり話した。


ただの夢物語で終わらせないために。

社会人経験をつんで、一人で社会を
わたっていくために。

そして、最終面接を受けることとなり、
東京都内の高層ビルに入っているオフィスのなかで
内定を告げられたのだった。

驚きと、感動と、上京が現実となった実感。
いろんな感情が混ざり合う中、
ふと、ガラスの向こうの景色をみる。

ガラス越しに見る東京の景色は
あまりにもキラキラしていた。

「私、上京できるんだ…」



その後上京して、
この会社には社会人の基礎を
みっちり教えてもらった。 

今でもその知識は私の役にたっている。

仕事をしながら、自分が入りたい養成所を
見つけることができ、
声優への道を駆け出すことができた。

とても、とても充実した日々だった。
大変なこともあったけど、いつもキラキラして
刺激的だった。

結果としては、
アニメ声優にはなれなかったけど、
声の仕事として「ナレーター」
「ラジオパーソナリティ」になれた。
ラジオCMで声優としての出演があり、
自分の夢を叶えることができた。


この上京があったからこそ
始まった物語だったと思う。

#上京のはなし


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