『One of Your Tears』朗読
プリンスの曲を聴いて
浮かんできた情景・物語・言葉等を
オリジナルの詩として起こした
【プリンス曲妄想文】の朗読
*
鳥類は大抵、雄が美しいとされているが。
この密林の女王として君臨する彼女は別。
若草色のボディに、
たてがみは、紅、橙、黄金色へのグラデーション、
くちばしは、フューシャピンクで、
瞳はサファイアのような高貴な輝きを見せる。
時折、気まぐれに姿を現す彼女に、
皆、敬意を払う。
その美しさを目にすることは、
僕達人間や他の動物達の喜びであり、
その鮮明な色彩を目にするだけで
活力を与えられる。
数日降り続いた雨。
太陽は雲に身を隠し、
地上への光と熱は遮断される。
体の芯から冷えきって、
心まで凍てつきそうになる。
翌朝、
やっと現れた太陽と共に、
神々しいまでの彼女の姿が。
彼女のくちばしから、朝露が一粒。
僕の手の中に零れ落ちる。
それは僕たちの心を代弁してくれている
彼女の涙のようで。
その結晶に一瞬にして、
昨日までの心は消え去り、
今日という日が新たな希望の光となって、
煌めきながら僕の全身を包み込む。
*
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