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異常遠征狂記(16)〜夏旅2019❶〜


夏休みだ!遠征だ!!!


前回の遠征以来メッセージのやり取りをするようになったハンガリーのおじさんに、「夏またヨーロッパ行くよ〜」と送ったところ「ハンガリーに来る予定ある?」と聞かれる。今のところはない、と返事したところ「悲しい🥲」と日本語でメッセージが来ました。
...そんなこと言われたら行くしかないでは...

まあ1週間弱予定が決まっていない区間があったので丁度いいや、と思って「ここからここまで暇だから行ってみたい」と言ったら「いつでも歓迎だからね」とのお誘いをいただきました。全力で乗っからせていただくことにします。

結果、今回の日程はざっくりこんな感じに。

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出国→Boarstream open air 🇩🇪
→ハンガリー滞在🇭🇺
→Anthrax/ミュンヘン🇩🇪
→Savage Messiah/ハンブルク🇩🇪
→Party San open air🇩🇪
→Decapitated/オーバーハウゼン🇩🇪
→Summer Breeze🇩🇪
→帰国
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初のハンガリー滞在にワクワクしつつ、出発。

1 Boarstream Open Air

まずはフランクフルト空港から入国、Boarstream open airというフェスに行きます。

このフェスを知ったのは確かEllendeの投稿か何かでした。その時はへぇーいいな行きたいな、くらいの感じだったのですが、その後フェスの情報を見たところDark Fortressの名前があり事態は急変。
こ れ は 行くしかないでは、となりリサーチを始めました。

ラインナップはこんな感じ。

スペインの激烈ブラックメタルNoctemやフィンランドの沼メタルKalmahなどのとても私得ラインナップ。何よりも大好きな推しと同じく大好きでライブ観たい観たいと思っていたEllendeがいる...!!

ところがまずチケットを買おうとしたところで、日本への配送オプションがないとの事でチケットが買えない事態に。ダメ元で主催に連絡したところ、システムの仕様だったらしく直した、とのお返事があり一安心。
更にチケット代の支払いが銀行振込だけだったのですが、日本からだと大変だろうとのことでPayPalでの支払いでもいいよ、とのありがたいご提案をいただき無事チケットを購入することができました。
そりゃそうだよな、大規模なフェスでもないし日本人が日本から来るなんて想定してないよな...と思いました。困った時はとりあえず公式に聞くのが1番ですね。

更にもうひとつの問題が宿と交通手段。

このフェスの会場はBuchenbachという小さな村です。
(地図参照)

通過するバスの本数も少なく、ホテルなどは1軒もなし。前日に日本発では完全に間に合わないことが判明したので、出国を前倒ししました。
ちなみに車で行くとフランクフルトから2時間くらいで着きます。くっ...
宿に関しては奇跡的にというか、1軒民泊があったのでそこに泊まることに。宿がなければ諦めていたので本当に良かった...!

民泊のご主人に到着時刻の連絡を入れて、フランクフルトから電車とバスを乗り継いで到着。辺りを見渡すと、少し大きめの立派な家から紳士が姿を現す。民泊のご主人でした。挨拶をして、鍵の取り扱いなどの説明を受け部屋を案内していただきます(ドイツ語)。
その後奥様が来て、「スーパーに買い物に行くけど一緒に行く?」とのことで 買い出しに連れて行ってくださることに。Buchenbachにはスーパーがないので、隣村まで車で行くしか方法がないそうです。
ドイツ語と英語を混じえて、ここは昔燃えたことがあるなど色んなお話をしてくださいました。

車がないと生きていくのは厳しそうな地ですが、のどかで心が穏やかになれる村でしたね。

小川が流れていました

買い出しも無事完了し、食糧の心配はなくなったのでゆっくり散歩しながら景色を満喫します。

フェス会場付近には、既に前乗り組のテントがいっぱい並んでました。

ドイツ人なんであんなアウトドア好きなん


夜中、お腹が気持ち悪くて冷や汗で目を覚ましたりと、時差に勝てない自律神経が乱れたりしましたがいつの間にか朝焼け、フェス初日です。

タイテはこんな感じ。


ステージはひとつで、初日は夕方17時くらいからのスタートだったのでのーんびり出発しました。

手作り感溢れる看板

到着したところで、「I Hate People」とポップな字で書かれた面白Tシャツを着用したおじさんとすれ違います。

Rotten Hopeをチラ見して、お目当てのDecembre Noirが登場。

...なんとさっきの面白Tシャツおじさんがステージにいるではありませんか。
面白Tシャツおじさん、Decembre Noirのドラマーさんでした。

Decembre Noir

鬱重のメロディックドゥームを浴びて満足。

お腹も空いてきたので、Obscenityを遠目にフェス飯をいただきます。
バーベキュー機器が充実していて、温かくて美味しいフェス飯が食べられました。ローカルなフェスは丁寧なフェス飯が美味しい。

だいぶ肌寒くなり日も暮れてきた午後9時過ぎ、続いてはすっかりお馴染みHFTSの登場です。

Harakiri for the Sky

MCもせずひたすら甘く儚い狂気を轟かせるステージですが、何回観ても好き。
かなり積極的にライブやフェスに出るし、急なキャンセルの代替もしていたりするいい人たちなので、観れる機会はかなり多い方ですね。ありがたいことです...

次はこの日のヘッドライナー、フィンランドの沼メタルKalmahです。

Kalmah


観ている側は最初の方こそ静かでしたが、泥臭く熱い演奏にのせられて最後は大盛り上がりに。弊オタクも大いに慟哭し満喫しました。ここで力尽きて初日は終わり。

2日目、寝不足もあって動けないオタク。
観たさレベルと体力温存を考えつつ、ひとまずドイツのブラックメタルGrozaを観ました。気づいたら始まる時間だったので慌てて会場へ向かいます。

湿ったトレモロ美旋律が駆け抜ける音楽に、今流行りの?覆面スタイルです。
真っ黒だし暑くないんだろうかと密かに疑問。

Groza

DEMMの時に知り合っていたオーストリアの友人とも再会してちょっと嬉しくなりました。

仮眠とフェス飯を挟んだ後は、優しく感傷的なポストブラックEllendeからお目当てが続きます。

Ellende

念願叶ってようやく観ることができましたが、期待を裏切らないもの悲しく美しいライブでした。2019年リリースのアルバム「Lebensnehmer」の曲を中心に演奏し、最も好きな曲「Ballade auf den Tod」も聴けて感無量です。 そろそろまたライブ観たいな...と思っています。

続いてはスペインの激烈ブラックメタルNoctem

Noctem

恐ろしくも熱い曲に似合う、アグレッシブで強めのステージで観客を魅了します。途中から天候の雲行きが怪しくなってきていましたが、無事に終了。

弊オタクはベースのVaruさんのとっても綺麗なロン毛に魅了されていました。

Varuさん

やったね!推しが増えたよ!

次はいよいよ大本命Dark Fortressの登場...のはずが、雨がかなり強くなってきてしまい演奏できない状態に。

みんなでテントに避難して様子見すること30分くらい、ようやく落ち着いてきたのでステージ準備が再開されました。

サウンドチェックの間にThe Silver Gateのイントロが流れて歓喜するDFオタク2名(弊オタク、オーストリア友人)。
この日は当時のドラマーSeraphが出られず、代役としてHannes Grossmannが参加。
手練のSeraphでもThe Silver Gateをライブでやるのはかなり難しいそうですが、Hannesがドラム担当の時はほぼ演奏されている、妖しく美しいキラーチューンです。
なお、現在はSeraph脱退に伴い、Hannesはほぼ正式メンバー状態です。なので最近はだいたいセトリに入っています。

この時のライブは11分の大曲「Venereal Dawn」から始まり、邪悪で攻撃的な「Baphomet」まで、ベテランの安定感あるパフォーマンスで暗く深い深海のブラックメタルを響かせていました。

推しはギターソロを慈しむように奏でていていつも通り尊かったです。

推しチャマ
Dark Fortress

大好きなDark Fortressを全身で体感した後、物販テントに行ったら物覚えのある人影が。
Ellendeのメンバーでした...
みんなステージだとコープスペイントなので、すっぴんでいられると誰か分からないのはブラックメタルアーティストあるあるだと思います。

そしてヘッドライナー、ポーランドのデスメタルVaderが降臨。

Vader


深夜の静かな村に鳴り響く、分厚くて強くてかっけぇデスメタルで語彙力のなくなるステージでした。

これでステージは全て終了したので友人のところに行ってみると、Dark FortressのボーカルMoreanがいらっしゃいました。
こちらが挨拶も終わらないうちに、「久しぶり!!!!びっくりした!!!もうこっち(ドイツ)に住んでるのか?!!!」といった感じでハイテンションのハグをされました。流石イケメンフロントマン...

「ドイツに住んではいない、日本在住だ、夏休みなので来ただけ」と言ったら「クレイジー」と言われました。

Summer Breezeなどの大型のフェスは各国から人が集まるので「どこから来たの?」と聞かれることが多いですが、Boarstreamみたいなローカルフェスは地元民しか想定されてないので、「ドイツに住んでるの?」と聞かれます。日本在住というとだいたい上記みたいなクレイジーとかWahnsinnとか、「ヤバ!」という系統の答えが返ってきます。

天候不順で押したのもあって既に午前1時半超えてるんだが元気だなこの人...と思いました。
人懐こくてよく喋るとても優秀なフロントマンです。おかげで我が推しの存在感がますます薄い。

セトリに可愛いメロイックサインを描いてくださいました。

next timeっていつだよ...と思った


眠気で白目をむきつつ宿に帰還。即寝ます。

翌日はハンガリーへの移動日。
まずはバスと電車を乗り継ぎミュンヘンへ向かいます。
ミュンヘンからブダペストまでは電車でおよそ7時間ほどですが、日中の長距離列車の他に夜行列車も走っています。
夜行列車に乗りたかったオタクは、迷わず夜行を選択。

駅のホームにとってもアートな列車がやってきました。夜行列車です。

運行はオーストリア連邦鉄道(ÖBB)です。


豪華なツインやシングルは当然かなりの金額なので、女性用3人部屋で予約しました。チケットには、コンパートメントの番号が書かれているのでドアの番号をみつつ入室。

部屋には洗面台や電源が備わっており、ベットは椅子を変形させて3段になる仕組み。大柄な欧米の人達には狭く感じられるだろうなという広さでしたが、チビなので余裕です。快適に寝ることができました。

9時過ぎにブダペストに到着。列車をおりてホームをキョロキョロすると、一際大柄なロン毛の男性がいました。

おじさーーーーん!!!
わざわざブダペストまで迎えに来てくれていました。
荷物の重さに若干呆れられつつ移動を開始。

Budapest-Keleti駅は、駅かどうか分からなくなるほど芸術に溢れた美しい建物でした。

※駅です。

次回はおじさんに子守りをされるハンガリー紀行です。

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