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異常遠征狂記(28)~秋旅2022❸~

前回の狂記はこちら
現在地はオーストリアのウィーンです。

7.Vienna Metal Meeting

ウィーンに到着した日は特に予定もなく、ちょっと疲れも出てきていたので、スーパーに行った後は早々に休みました。

夜のウィーン

翌日から2日間は、こちらのフェスに行きます。

つええ

Arenaというライブハウスを貸し切って行う屋内型のフェスで、DEMMに近いスタイルです。ステージは大きめのArena Stageと小さめのD19 Stageの2つで、タイムテーブルの被りはあり、サイン会もありました。

今回は見てのとおり我が推しのいるTriptykonにスイスの重鎮SamaelNecrophobicHFTSThe Ruins of BeverastSaorGaereaなど素敵なブラックメタルバンドがずらり。更に技巧派スラッシュVektorや強靭デスメタルAsphyxもいて間違いなしの良メンツです。
ジャーマンブラック好き的にはPlaguepreacherLichtblickがいるのも高ポイントでした。

会場となっているArenaは中央駅からもトラムで30分ほどとさほど遠くはないので比較的行きやすいフェスだと思います。

・1日目

初日はHFTSから後が目当てだったので、夕方17時過ぎにゆるっと出発。Infernoでも一緒だったチェコの友人と合流して、大きい方のArena Stageに行ったら丁度Carnationがやっていたので鑑賞します。
血にまみれたおどろおどろしいデスメタルが鳴り響いていました。

その後はそのまま念願のHFTSです。

H F T S

コロナ禍でリリースされた新作「Mære」がとても素晴らしかったので久々に観られるのをとても楽しみにしていましたが、甘い狂気が燃える『Fire, Walk With Me』に激情と儚い旋律が仲良く歌う『Sing for the Damage We've Done』を連続でやられた時は感情のキャパを超えて情緒が行方不明になりました。更に優しさと悲痛に溢れた『Funeral Dreams』や絶望に切々と踊る『Heroin Walz』まで聴かされればもう狂うほかない。
多分かなり酷い顔をしていたと思います。コロナ禍で最も恋しかったライブの音のうちのひとつは、間違いなく彼らの音でした。

続いて登場したVektorは、巧みに音を操り心地よいサウンドで観客を惹き付けていました。

Vektor

難しい演奏をサラッとこなしつつも笑顔を振りまき愛嬌のあるパフォーマンスでなんだか和みました。来日時も楽しそうにしてて微笑ましかったですね。

その次に出てきたのは本日のヘッドライナー、スイスの暗黒帝Triptykonです。

『Procreation (of the Wicked)』に始まり、『Mesmerized』などCeltic Frostの曲が多めの重低音セトリだったので昔からのファンも満足なのではないでしょうか。UGH!
ウォリアー様の重く存在感のある声も冴えており、さんとぅーら様のギターも繊細に大胆に唸りをあげていました。

...何回観ても推しは尊いですね。

1日目はここで撤退しましたが、今になって振り返るとTriptykon待機しててIn Aphelion観られなかったのがちょっと心残りかなあと思いました(が推し最前は譲れない)。

・2日目

朝起きてテレビをつけてなんとなくチャンネルを回したらF1をやっていたので見つつ、昼過ぎまでゆっくり英気を養って備えていきます。

この日は小さめのD19 Stageで、おやつ時にオーストリア産ブラックメタルPlaguepreacherを観るところからスタート。

ボードまで持ち込んでた

邪悪で殺意のこもった鋭い音を浴びながらも、十字架を振り回す、ステージに腰掛けて最前の客にちょっかいを出すなどボーカルの若干危なくもコミカルなパフォーマンスを楽しみました。どことなくCarpathian ForestのNattefrostさんを思い出しました。楽しかったです。

続いて観たのはArena Stageでやってたポルトガルのポストブラック、Gaereaです。
頭をすっぽり覆う紋様入りマスクに黒装束と見た目はどことなくショッカーを連想しますが、非常に重く感情的な音楽を轟かせており、ステージもエネルギッシュでした。観客もフロアが埋まるくらいにはいたと記憶しています。

イーッ!
魔法使えそうなマイクスタンド

しかしステージ上で黒装束は暑そうだなあと思いながら観ていました。

Gaerea後は間髪入れずD19 Stageに戻り、デプレブラックLichtblickをしんみりと堪能します。

紅いなあ


夕日と午後5時には合わない気だるく儚く悲痛な音を奏でていて大変感動しました。空間の密度も相まってちょっとした非現実への小旅行でした。

現実に戻った後は友人に付き添ってSamaelのサイン会に行き、フェス飯といえばのフライドポテトを食べ、物販エリアをふらふらします。

ハーブが効いてて美味しいです

物販エリアでは売り子をしていたPlaguepreacherのボーカルさんに遭遇しましたが、危ない匂いがするステージとは違っていい人そうな感じでした。コープスペイントはメイク以上に顔が変わるのでご本人だと認識するのにかなり時間がかかりました。

その後、今度はオタクが友人に付き添ってもらいつつNecrophobicのサイン会へ。

オタクがサインを貰おうと持っていったのはRagnarokの時に頂いたセットリストだったのですが、Andersさんがセトリを眺めながら「Ragnarokの時のか」とニコニコしていてあああ可愛い

...皆様穏やかで優しい雰囲気が漂っていました。尊い。

666

サイン会ミッションもクリアしたところでステージエリアに戻り、Arena StageでAsphyxを観ます。渋みと勢いを兼ね備えたかっこいいステージで良かったです。

続いて登場した本日の大本命、観るのは2回目のNecrophobicは今回も最高でした。
セトリは上記Ragnarokの時と同じで、鮮やかな旋律で聴きやすい『Mirror Black』と『Tsar Bomba』、〆に『The Nocturnal Silence』もアツかったです。何度でも観たい。

Ragnarokの時よりもステージとの距離が近かったので、より可愛い迫力がありました。ファンサは変わらず致死量でした。

Necrophobicでほぼ完全燃焼して足の痛みを感じ始めたため、ヘッドライナーのSamaelは、2階後方からゆっくり鑑賞です。友人は元気に最前に残ってて実にタフだなと思いました。

なかなかいい眺めです

重厚な音に優雅な黒が漂う素敵なステージでした。

物販で見た瞬間に謎の使命感に駆られた黒い衣類を増やして、本フェスは終了です。

のくたーなるさいれんす...

みたところ普段は一日開催のこじんまりとしたフェスのようなので、また行ってみたいなと思いました。

翌日はウィーンから長距離電車で2時間半、ハンガリーのブダペストへ向かいます。

8.ブダペスト滞在

...本当は2時間半程のはずなんですが何故か電車は1時間遅れ、ブダペスト到着後トラムに乗り換えてなんとかホテルの最寄り駅まで着いたはいいものの、なんか複雑に入り組んだ道路には横断歩道が見当たらず、向こう側にあるホテルは見えているのに辿り着けないバグみたいな状況で彷徨うことに。
結局道路下の通路を抜けて鬼の形相で階段を登り、30分後ようやくホテルに到着できました。

凄まじく疲れました。食糧あるし日曜だし、ということでその日はホテルに引き篭もりました。ふかふかのベッド最高!

・ブダペスト滞在2日目

朝、まずは両替と買い出しのために外出します。

この時はハンガリーフォリントを持ってきていなかったので、ネットの情報を頼りに街中の両替所でユーロからフォリントに両替し、無事フォリントをゲット。でも物販以外であんまり使わなかったので余りました。塩梅が難しい...

オタクはハンガリー語の知識があまりなく、スーパーに行っても書いてあることが分からないと困るので、買い出しはドイツ系のスーパーAldiとドラッグストアdmに行きましたが、ドイツやスイスで同じようなものを買った時と比べるとだいぶお安かったです。ただ、ライブの物販で売られていたTシャツなどの値段はドイツと同じくらいでした。

どことなく顔に見える


お昼を食べてしばらく休んだら、夜はこちらのライブを観に行きます。

タイトルにもFestと銘打たれていますが、5バンドもいるとなると、確かにもはやちょっとしたフェスですね。
元々はMoonspellとMy Dying Brideのゴシック勢でダブルヘッドライナーだったのですが、MDBの代わりにInsomniumとなり北欧色強めになりました。

果たして何時に終わるのかとちょっとヒヤヒヤしながらトラムで移動、会場のBarba Negraに到着した頃には、テキサスのメロデス/ドゥームHinayanaのステージが始まっていました。
重苦しい中にも一筋の美しさがありなかなか素敵な音楽でした。

次に出てきたWolfheartはムキムキが増えてて見た目が大変強くなっていましたが、凛とした旋律が響くどことなく繊細な音は変わらずで不思議な感じがしました。来日懐かしいですね...

BorknagarはVortexさんの力強く美しい歌声と素朴さがある旋律が北欧の雄大な景色を運んできて思わず笑顔になってしまうステージで、最前ではファンが大変盛り上がっていました。Borknagar目当てにきた人がそこそこいそうな雰囲気がありました。

続くフィンランドの美メロデスInsomniumは、ギターにニックコードルとヤニリーマタイネンという豪華さ。

真っ白な憂愁の美麗旋律をこれでもかと降らせる、冷たく瑞々しい世界は至福でしたし、ヤニの柔らかなクリーンボーカルも良かったですね。

そして午後10時過ぎ、北欧連合軍がもたらした清涼な空気を突き破ってMoonspellの登場です(白目)。
憂いと力強さと威厳を迫力あるステージで、背景のスクリーンに浮かぶ満月も妖しく、『Night Eternal』が聴けただけで弊オタクは満足しました。

なお、18時過ぎに着いて、ライブが終わったのは日付が変わるちょっと前でした。6時間近く立ちっぱなしで足腰には多大なダメージでしたが、ライブはとても楽しかったです。
ブダペスト市内は公共交通のトラムやバスが張り巡らされていてかなり夜遅くまで走っているので、終演後にホテルに帰れないという事態を心配しなくてもいいのは楽でしたね。

・ブダペスト滞在3日目

この日はまずコインランドリーに行き、洗濯中暇だったので近場にあった中央市場、Nagy Vásárcsarnokに行ってみることにします。

でかい

野菜、肉、きのこにパプリカパウダーなど食料品からお土産まで様々に売られていて、観光客の姿も多く賑わいがありました。

追加の買い出しも済ませ一休みしたところで、今夜はこちらのプログレッシブなライブを観に行きます。

会場は2回目のBarba Negraで昨日と同じルートを辿るだけだったので到着余裕でした。

この日のオタクの目当てはフランス産プログレデスFractal Universeでしたが、彼らの特徴の一つでもあるギターソロならぬサックスソロも高らかに、耳をくすぐる音が宇宙を駆け巡っていて素敵でした。

7弦

フロアに降りてきてサックスソロやってたのは激アツでした。

オタクはこの日ObscuraのTシャツを着ていったのですが、前回ブダペストに来たのはObscuraと一緒にツアーした時だったとMCのネタになっていました。終演後にも物販スペースにいたらTシャツが気になって、と話しかけてくださいました。Obscura大好きなようなのでぜひObscuraと来日してくださいと思いました。頼む誰か...呼んで...

ヘッドライナーのEvergreyは時に爽やかに時に哀愁が滲み、余裕と安心感のあるステージでした。ほぼ曲を知らずに行ったオタクも気づけば聴き入っていました。

照明もどことなく爽やか

とっても心が浄化されるライブでした。

なお昨日とは異なり、この日は22時と結構健全な時間に終わりました。
Evergreyのメンバーも終演後フロアに現れたのはちょっとびっくりでしたが、フレンドリーな雰囲気でファンと会話されていました。

楽しいライブ後にドナウ川を渡る夜道を行くのはなかなか素敵な体験ですね。

橋の上からはこんな感じ

身体に鞭打って来た甲斐があるというものです。

翌日は必要最低限の荷物をリュックに詰めて、チェコのブルノへ小旅行をします。

9.CoFとAlcest

ブルノへ行く目的はこちらのライブ。

イギリスのヴァンパイアゴシックブラックCradle of Filthと、フランスの夢見る天空シューゲイザーブラックAlcestという、ダークファンタジーな組み合わせです。ゴシックにシューゲイザーとだいぶカラーが異なるので、弊オタクはどちらも好きですがこれ客層合うんか?とは思いました。

ブダペストからブルノまでは、ブラチスラヴァもしくはウィーンを通るルートで、長距離電車1本で行くことができます。

渋めの面構え

なおブルノも経由地なので、そのまま乗っていればプラハまで行くことができます。電車1本でよその国に行けるのは不思議な感覚ですね。

またしても1時間遅れでブルノに到着後は、トラムでホテルへ向かいます。東欧の長距離電車は1時間遅れがデフォルトなんでしょうか。

着いたホテルの部屋は、四つ星ホテルだけあってグレードの高そうな上品な部屋でした。お値段的には相当リーズナブルだったので大満足です。

広いなあ

ジムやスパもあるようなので、時間が許せば3泊くらいしたかったです。

なお今回の旅はe-simを使っていたのですが、チェコのみすぐモバイル通信が途切れるなどかなり不安定でした。これで地図を頼りに会場まで行かないといけないとかだったら結構詰んでたんですが、幸い会場はホテルから直線に進んで曲がってすぐ、という立地だったため助かりました。

会場に着くとやはりメタルのライブとは若干客層が違う雰囲気で、ゴシックなお姉さんお兄さんがちらほら。あまり平和的でない雰囲気の方もいたのでちょっとビビりました。

楽しみにしていたAlcestのライブは、舞い降りる光がゆらゆらと空間を揺らし音が躍動する心地よいステージでした。

天使のたまご

『Protection』『Écailles de lune - Part 2』に『Délivrance』など、現実に足をつけながら空想を旅しました。

そしてAlcestが終わり、だんだんとCoF仕様に変わっていくステージ。
巨大な木のオブジェというかお立ち台が出現しました。

オタクの視界

...どうしようこれ、な ん も 見 え な い

ガチめに視界不良で、CoFのライブ中ドラムやキーボードなど奥はほとんど見えませんでした。最前の方が視界不良なことあるんだ...と思いました。なおダニフィルスさんだけはとっても見えました。

見上げすぎて首が死ぬ

ライブ自体は最新アルバム「Existence is Futile」からの曲の他、『Nymhetamine』や『Desire in Violent Overture』、『Her Ghost in the Fog』などトータルで13曲ほどたっぷりと妖しく美しい世界を堪能しました。『Us, Dark, Invincible』は荘厳かつキャッチーでライブ映えするなあと思いました。

なおCoFの時には隣に私よりも小さな可愛らしい子どもがいたのですが、近くにいた酔っ払ってんのかトリップしてるのか足元がおぼつかないカップルがところ構わずぶつかってくるため、後半は女の子を守るのに必死で半分ステージどころじゃなかったのがちょっと残念。(カップルは周辺から大顰蹙を買っていました。)

そして終演後に物販を見にいったところ、AlcestのNeigeさんに遭遇しました。突然始まる日本語会話にあたふたするオタク。「おでん大好き、大根が一番好き」「茶碗蒸しも好き」など、「日本の食べ物を食べるためだけでも日本に行きたい」ということをとてもおっしゃっていたので誰か早めに召喚してさしあげてください。

翌朝は30分ほと遅延しながら6人がけコンパートメントに詰め込まれブラチスラヴァを経由してブダペストに戻りました。

次回はLOTLからです。

ブダペスト街中のリサイクルのやつ

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